LUCK COMING ～いつもそばに猫がいた～｜リアクション

LUCK COMING ～いつもそばに猫がいた～

　修達の話を聞いた子夜は、「そういえば……」と噂話を思い出した。
「咲と、ルーシーも……件の猫、気になる？」
　何気なく問いかければ、ルーシーは「もちろんじゃ！」と胸を張った。
「実は、お主らも誘って『見たら幸せになれる猫』を探そうと考えておったのじゃ」
「寝子高でも噂になっているのね……」
　咲が相槌を打つと、一匹の猫が彼女にすりすり。どうやらご飯をねだっているようだ。苦笑して温泉卵の白身をちぎって与えると、猫は「みゃっ」と鳴いて美味しそうに食べる。
「私も気にはなっていたの。だけど、こうして身近で触れられる猫と遊ぶのもいいなと思って、ここに来たのよ」
　なるほど、と相槌を打つ子夜はそれとなく自分も同じだ、と頷いた。
「その『見たら幸せになれる猫』って、どんな猫なんだろうな……。なんかこう、みるからに幸せって感じかなぁ」
「むにゃ……、さわりたいかも……」
　流がそれとなく呟けば、海斗はうとうと。温泉のあったかさに負けたらしい。このまま温泉に落ちたら大変だ、と流はとりあえず起こすことに。
「どこにいるのかなぁ。会えたらいいなぁ」
　小枝はにこにこと辺りを見合し、このあたりにいたらいいな、とわくわく。それは萌も同じらしく、ポニーテールを揺らしきょろきょろ。
「いたらスクープに……は、しないほうがいいのかな？」
「だね。そっとみて、幸せ貰うのがいいのかも？」
　ユウがお饅頭を齧りながら頷く。それにはその場にいる者達も同感らしく頷いたりした。
「そもそも、どうしてそんな噂が流れたのも気になるが……、確かにどんな猫かは気になるな」
　修もイメージを膨らませようとする。が、脳裏に浮かぶのは家族として暮らす猫たちばかり。
（なら、俺は既に『見たら幸せになれる猫』と暮らしているも同然かもしれない）
　なんて内心で蕩けそうになった心を但し、あおいを見る。
「やっぱり、会ってみたい……かも？」
　あおいもまた、愛らしい猫をイメージしてにっこりした。

　その後、彼らはしばし『見たら幸せになれる猫』についてあれこれ話し合う。まぁ、海斗がうたた寝モードに入りかけたり、小枝がうっかり己のろっこんを発動させそうになるくらい眠たくなったり、猫を飼ってる修が思わず家族自慢したくなったり、あれこれ脱線しかけたりもしたが、なかなか充実とした会話になった。
　その間も周りの猫達は入れ替わりながらも足湯の客たちにじゃれついたり、温泉の近くでまどろんだり、と自由に過ごしている。
「ここは、猫にも人気……？」
　子夜がぽつりと首をかしげて呟けば、小枝も猫を抱っこしながら「そうかも～」と相槌を打つ。
「猫が多い島、寝子島……。だから、その件の猫も来たのかもしれないな……」
　流は、ぽつりと呟いた。