【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者｜リアクション

【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者

●ねこねこ記者の取材ノート『キラキラ！　走る王子さま』

　今日はまつりにゃ？
　真夜中にお魚みたいにキラキラした王子がはしってたにゃ。

　この集団はどこにいくのかにゃ～？
　きらきらゆらゆらしてるのがいっぱいで目移りするにゃ。
　あっちこっちに「かそマラ！」って紙が貼ってあるにゃ。
　
　その後の取材によると、キラキラは行列になって寝子島街道を星ヶ丘のほうへ向かい、それから寝子島高校のほうに戻って来て旧市街の中も通ったみたいにゃ。目撃情報によると、吸血鬼とか、でっかいちくわもいたみたいにゃ。

「かそマラ……寝子島仮装マラソン大会のことか！　なっつかし！　王子コスプレして走ったんだっけ。即興芝居ものりのりで周りも異世界に迷い込んだみてーで走っててテンション上がったっけ」
　読んで満足したのか、ラッセル君は吾輩に取材ノートの紙片を返してくれたにゃ。
　吾輩も『にゃ～る』を食べ終え満足したので、それを受け取っておさらば、と思ったら。

「ねこねこ記者くん。僕も連れて行ってよ」
　タルトちゃんが付いてくる。
　吾輩、細い路地とか穴とか屋根の上とか、猫の通路を通るから人間には無理にゃん。
　そう目で訴えると、タルトちゃんはまたウィンクして、ちょっと待ってて、とどこかへきえたにゃ。
　しばらくして……。

「にゃー（お待たせー）」

　タルトちゃんは猫になって戻ってきたにゃ。
　なんで猫になれるかはしらにゃいけど、そういうこともあるみたいにゃ。
「にゃにゃあ～にゃにゃ（週刊かぎしっぽ、僕も愛読してるんだけど、BL要素がなくて物足りなかったんだよねえ。若い猫のニーズを押えないと！　ネタは僕に任せてよ）」
　BL要素？　……よくわからにゃいけど、吾輩の弟子になりたいってことかにゃ？
「にゃ～（イラストも描くよ～）」
　にゃるほど。そういう趣向もいいかもにゃ。
「にゃ（弟子よ、ついてくるにゃ！）」

　――さてそのころ。
　猫集会が開かれる猫広場。
　広場の奥には人間に忘れ去られた古い土管が打ち捨てられていて、そこに週刊かぎしっぽのバックナンバーが置いてあったりする。
　猫たちはバックナンバーを囲んでにゃあにゃあわいわい。

　どんな記事が載っているのか、こっそり覗いてみることにしよう――。

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