【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者｜リアクション

【１０周年】吾輩は見た～週刊かぎしっぽのねこねこ記者

●週刊かぎしっぽvol.XX003『ニューガクシキにゃ！』

　吾輩は寝子島高校の校門前に来てるにゃ。
　今日は『ニューガクシキ』っていうらしくて、新顔の少年少女がいっぱいこの学校に集まってきてるにゃ。
　校門前にはクマがいるにゃ。
　吉田熊吉っていうクマにゃ。
　クマはおっかない顔して、みんなに声をかけてるにゃ。
　おっかないから鞄で顔を隠して通り過ぎようとする女の子もいるにゃ。
　にゃにゃ。クマが何か声をかけてるから聞いてみるにゃ。
「おまえも今日から寝子島高校の生徒だ。しっかりやれよ」
　まあまあいいやつみたいにゃ。

　あっちではフーキイインの北風貴子ちゃんが眼鏡の子を呼び止めてるにゃ。
「服装チェックよ。リボンが曲がっているわ。……あらっ」
　ふにゃっ！　吾輩、貴子ちゃんに首根っこ掴まれて校門から追い出されてしまったにゃ！
　落っこちた先はクマの目の前！
　万事休す、と思ったら、さっき鞄で顔を隠してた子がよしよししてくれたにゃ。
　そうにゃ、こんなことで挫ける吾輩じゃないにゃ。
「にゃーにゃーにゃー！（吾輩も入りたいにゃ）」
「どうしたの？　猫さんも入学式に出たいの？」
「にゃ（取材にゃ）」
「あたしと一緒に行く？　じつはあたしも、ひとりじゃちょっと心細かったんだぁ」
　鞄の子は吾輩を抱きかかえて校門に入れてくれたにゃ。
　潜入取材開始にゃ！

「にゃにゃー。この鞄で顔を隠してる子、よく見たら夢宮瑠奈ちゃんにゃ！」
「瑠奈ちゃんっていうとお歌の上手なアイドルの『せれな』ちゃんかにゃ？　やさしいところは変わらずにゃ」
　瑠奈は猫たちにも大人気。
　猫たちの話は弾む。
「にゃー。このころはまだアイドルじゃなかったにゃ。せれなちゃん、いーっぱい頑張ったにゃ！」
「せれなちゃんが歌うとふわ～～って風が吹くにゃ。気持ちいいにゃ～」
「続きがあるにゃ」

●週刊かぎしっぽvol.XX004『どっかん！　女の子が落ちてきたにゃ』

　週刊かぎしっぽ始まって以来の大大大スクープをお届けするにゃ！
　鞄の子が黄色いリボンを貰っているすきに講堂に忍び込んだ吾輩は、時計塔から屋根に出て取材を続けていたにゃ。
　そこで吾輩は目撃してしまったのにゃ！

　空から、女の子が落っこちてきたのにゃ！！

　どっかんって音がして、建物も揺れたにゃ！
　見かけない灰色猫が講堂の中に入っていったにゃ！
　しばらくするとおっきな声で
「青春、や、やりますっ！！！」
　って聞こえたにゃ。
　セイシュン？　っておいしいのかにゃ～？
　取材によって、落っこちてきた女の子の名前は『野々ののこ』と判明したにゃ。
　見かけない灰色猫といい、にゃ～んか起こりそうな予感にゃ。
　吾輩はこれからも『セイシュン』について取材を続けることを心に誓ったにゃ！

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