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書棚の前に立った
津島 直治
が頁をめくる音さえ店内に響いてしまうほど、真夏の休日の古書喫茶『思ひ出』にお客の姿はない。
「……暇だ……」
カウンター内で頬杖をついて呟く店主、
柏村 文也
の呟きに、直治は眼鏡の奥の黒い瞳を瞬かせた。
「……皆ほおずき市に行ってるのかも」
やる気のなさそうな文也をちらりと見遣り、素っ気ない口調で返す。ぱらり、手にした本の頁をめくる。
「ほおずき市か。ナオは行かないのか」
「……別に」
叔父の言葉に軽く首を横に振ったとき、入口のドアが開いた。冷房の効いた店内に夏の暑気と蝉の鳴き声が雪崩れ込む。
「やっほー、元気にしてますー?」
真夏の空にも似たあっけらかんとした明るさを静かな店内に連れ込んで来たお客を振り返るなり、文也はあからさまにげんなりした顔を見せた。
「シュウ……?」
他県に暮らし寝子島島外の大学に通うもう一人の甥っ子──直治の兄である津島 修一は、まるで常連客のような気安さで店内に入り、あまつさえ当然のようにカウンター内にするりと潜り込む。
「勝手にこっちに入るな」
「いやー今日も暑いですねー。あ、二人ともアイスコーヒー飲む?」
「当たり前のように珈琲淹れようとするのをやめろ」
お前の家じゃないんだぞ、と不機嫌に眉を寄せる文也に一向に構わず、修一は流れる動作で三人分のアイスコーヒーを淹れる。ついでに戸棚の中から個包のクッキーを出して適当な皿に乗せ、カウンター席に置く。
「直くん、コーヒー飲もー」
「え、……あ、はい」
唐突にやってきて自由過ぎる振舞いを見せる兄の姿を呆然と眺めていた直治は、兄にひらひらと手招きされるまま素直にカウンター席に腰を下ろした。カウンター内から出てやっぱり当然のように隣の席に座る修一と、
「で、何しに来たんだよお前」
カウンター内から疲れたようなまなざしを兄に投げやる叔父を交互に見る。
(なぜ寝子島に兄様が……?)
叔父と同じ問いを口にするより先、
「直くん、一口飲んでみて。僕ってばコーヒー淹れるのも上手だから」
「……いただきます」
兄の勢いに圧され、兄の淹れたコーヒーを大人しく飲むに至る。
(……この自由さ、とても真似できそうにない)
兄に会う度、つくづくそう思う。
「……シュウ」
目の前のコーヒーに口もつけずに問う叔父に、自由過ぎる大学生の兄はにこにこと笑みを返した。
「遊びに来ましたよ」
「……大学生って暇なのか?」
「ながーい夏休みですしねー」
嫌味にも聞こえそうな叔父の言葉にもすこぶる素直に返事して、修一は自分で勝手に用意したアイスコーヒーとクッキーに口をつける。冷房の効いた店内の空気と冷たい飲み物で暑気にあたった身体を休ませてから、
「直くん、ほおずき市に行こうよ」
不意に直の顔を覗き込んだ。
「ほおずき市、ですか?」
兄に勧められるまま、ちびちびとコーヒーを飲んではクッキーを齧っていた直治は瞬きを繰り返す。以前は実家を離れて叔父の家で暮らす弟の様子を見に来ただけだった兄は、今回は純粋にこの島へ遊びに来たらしい。
「行かない?」
「いえ、参ります」
誘われるままに首肯してから、直治はカウンター越しの叔父を見つめる。兄がいる時の叔父は、なんとなくいつもと雰囲気が違うように感じてしまう。
(ピリピリしている……というのかな)
兄は叔父を慕っているように見えるのに、叔父はもしかしたら兄のことが嫌いなのだろうか──そう思った途端、胸を塞がれたような気持ちになった。
「……叔父さんは」
そっと口にすると、叔父はたじろいだように目を瞠った。
「一緒に行かないの……?」
訴えるような直治のまなざしに、言外に修一を嫌っているのではと問われているような気がして、文也は口をもごもごさせる。
(いや、別に俺はシュウのこと嫌いってわけじゃ……)
ただ、
(……似ているから)
苦手とする姉と──二人の甥っ子の母と、修一はよく似た性格をしている。
「兄さんも一緒に行きます?」
(そういうところだぞ)
直治との会話に割って入って来ては悪戯っぽく笑う修一を軽く見遣り、文也は直治を真っすぐに見た。
「わかった。一緒に行こうか」
臨時休業の貼り紙をして三人で歩き出した途端、夏の風が頬を撫でた。
潮の香を含んだ湿った風は、ほんの僅かに夕宵の涼を帯びている。
「風鈴の音がしますね」
「するねー」
境内に至る前の参道商店街にも出店している祭りの屋台をキョロキョロと眺める甥っ子たちの足取りが弾んで見えて、文也は黒い瞳を和ませた。顔を見合わせて話すと話がかみ合わなかったり性格の不一致に眉をひそめてしまったりもするけれど、お祭りに二人してわくわくしている姿は年下らしくて可愛いと思う。
(かくいう自分も)
くすり、思わず小さな笑みが零れる。夏の夕暮れ迫る商店街や神社に並ぶ露店の景色は、どうしたって胸をわくわくさせてくれる。
綿あめ、たい焼き、焼きそば、たこ焼き。定番の屋台に混ざって、涼し気な和菓子やほおずきモチーフのアクセサリーを扱う露店も、
(本だ……!)
古本を並べている屋台までもある。品台を埋め尽くす古本を一目見た途端、知らず足が止まる。目が本に釘付けになる。
(掘り出し物の予感……!)
叔父さん、と直治に声を掛けられ、文也ははたと気が付いた。二人を見遣り、古本屋台を見遣る。どちらに向かうかなんて決まっている。
「後から追いかける」
「えっ」
告げたきり振り返りもせずにそわそわと歩き去ってしまった叔父の背を眺める直治の背を、修一がぽんと叩く。あっち、と兄が指し示す先に古本の屋台を見つけ、直治はなるほどと頷いた。
「兄さんは変わらないね」
「そうですね」
顔を見合わせてちらりと笑い合い、兄弟は参道に向けて再度歩き始める。夕空の下の商店街を過ぎ、風鈴の音が聞こえる石段を上り、ほおずきの屋台からの呼び込みもかしましい参道に至っても、ふたりの視線はあちらにこちらに楽しく迷う。
(……なんだかんだお祭りは気分が高揚する)
ほおずき市を訪れる目的はこれと言ってないけれど、たくさんの屋台が並ぶ景色も、たくさんのひとが楽しそうにそぞろ歩く様子も、見ているだけで心が弾む。
「お祭りだねー」
「何もしなくても、この雰囲気だけで楽しめる気がします」
周囲を見回す直治の顔を、修一がひょいと覗き込んだ。
「何しようか」
「……えっと、何する?」
思わずぱちりと瞬いて足を止める直治に修一が提案したのは金魚すくい。
「やったことないから」
提案に続く兄の言葉に、直治はほおずきの屋台群から少し離れた場所にある金魚すくいへと視線を移して頷いた。
「じゃあ、俺も」
「一緒にやろー」
「はい」
わくわくと近づいて金魚の水槽の前に並んでしゃがむ高校生と大学生の男子ふたりに、屋台の店主はポイを渡しながら微笑まし気に金魚すくいのコツを語る。緊張して寡黙になってしまった直治のポイはひとすくい目であっという間に破れてしまったのに、
「こうやって、こうだね。うん」
対する修一は軽やかに次々と金魚をすくっては椀に入れて行く。
(す、すごい……)
直治が目を瞠るばかりの間に、椀の中は黒や赤の金魚で溢れんばかり。
「……ねえナオ」
思わず拍手する直治の背後、ぬ、と文也が立った。
「お前の兄さんは一体何をしているのかな?」
「金魚すくいですよ、兄さん」
一椀では足らず二椀めに金魚をすくっては入れつつ直治の代わりに応じる修一と、
「兄様、金魚すくい初めてなんだ」
直治の言葉にお目当ての本が大量に入った袋を両手に提げた文也はますます困惑する。
「……いや、本当に初めて? 乱獲しすぎでは?」
「乱獲。確かに乱獲ですね」
文也の呟きに、修一はポイを動かす手を止めた。楽しかったです、と店主にまだ破れてもいないポイを返し、しゃがみこんだ位置から文也を仰ぐ。
「僕は連れて帰れないから、兄さんの家に連れて帰ってくださいね」
当然のように言い放たれ、文也は頭を抱えたくなるも、両手は本でふさがっている。
「……お前、そういうところだぞ」
「なにがですか?」
げんなりと言って見せても、修一には一向に通じない。キョトンとした顔を見せられ、文也は息を吐いた。
「この金魚はどうする?」
「あー……」
心配そうに聞いてくる直治に小さく笑み返し、文也は店主に頼んで元気の良い三匹を水入りの透明袋に入れてもらう。
「ありがとう、兄さん」
「良かったですね、兄様」
嬉しそうに笑う修一を眺め、直治を見遣り、文也はさまざまな店が並ぶほおずき市へと視線を巡らせた。
「……金魚鉢を見繕わなくてはな」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
5人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
23人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年04月09日
参加申し込みの期限
2022年04月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年04月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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