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この夏が、大学生最後の夏休みだった。
(……なのに)
長い夏休みのどこにも、最愛の恋人である
ヒュー・ヒューバート
と会う予定は入っていない。
最後に逢ったのは七夕の夜。ゆかた祭りに賑わう寝子温泉を浴衣で並んで歩いて、──そうして、タイへの一人旅で一夜を過ごした女性とすれ違った。あの日の過ちが夢でも幻でもないことを突きつけられた。
(ヒュー……)
恋人への罪悪感と己の犯した過ちの悔悟に泣き濡れて、けれど恋人に真実を告げることは叶わなかった。言えるはずもなかった。
心に重く蟠るあの一夜を秘めたまま、モデルの仕事が多忙であることを言い訳した。彼への想いもあの一夜も振り払うようにして仕事に没頭して、そうするうちに一ヶ月が過ぎていた。
ほおずき市の今日も、仕事だ。
MewTubeの寝子島観光協会の公式チャンネルにおけるほおずき市の案内役。地元出身でもあるモデル、
城山 水樹
にお鉢が回って来るのは当然と言えば当然なのかも知れなかった。
「それでは、ほおずき市を覗いてみましょう!」
紺地に竜胆の花の咲く浴衣を纏い、水樹は華やかに微笑む。
撮影スタッフが手にしたカメラに向ける一点の曇りもない鮮やかな笑顔に、その心の内に沈ませた懊悩は──行きずりとは言え最愛の人を裏切ったという後悔の色は微塵もない。
七夕の夜と同じ浴衣の裾を夏の夕風に揺らし、水樹はほおずき市の人込みを軽やかに案内して巡る。手にしたマイクを道行く人や露店の人に向けてインタビューをしたり、風鈴の音を拾ったり、屋台に並ぶさまざまのほおずきを紹介してみたり。
境内を一巡りして後、撮影スタッフから休憩を告げられ、水樹は小さく息を吐いた。指定された休憩所のベンチに腰を下ろし、スタッフから差し入れられた苺のかき氷を手に一休み。
この夏が、大学生の彼女にとって最後の夏休みだった。
(……けれど)
七夕の夜以来、水樹とは会っていない。
仕事が多忙なのはいつものことだった。彼女は売れっ子モデルでいつだってスケジュールが詰まっていて、フォトグラファーの己も日々さまざまの撮影にあちらこちらの土地を飛び回っている。
それでも、以前であればNYAINEでのやり取りは欠かさなかった。
(……でも、今は)
連絡を取ろうとする度、七夕の夜の彼女の泣き顔が脳裏を過った。ひどく傷ついた顔をしていた。己が伸ばす手さえ余計に彼女を傷つけてしまいそうな気がして、ここ一ヶ月は携帯電話での連絡さえしていない。
(水樹──)
この島のどこかに居るだろう水樹を思いながら、この島で行われるほおずき市の景色を写し取る。
寝子島観光協会の仕事だった。
──ひなまつりのときの写真、とっても評判だったんですよ
ほおずき市の取材を依頼して来た観光協会スタッフの言葉は、フォトグラファーの己にとってとてもありがたかった。仕事の評価は、いくつもの次の仕事に繋がる。
ひなまつりのときの仕事も然りで、だからヒューにとって、今の寝子島がどれだけ胸を苦しくさせる場所であろうと、ほおずき市取材の仕事を断る動機にはならなかった。
提灯のようなひごほおずき、風鈴の取り付けられた鉢入りほおずき。夏の夕空に揺れる風鈴、行き交う浴衣姿の人々──夏の風物詩を、その質感や音や風を感じられるよう、丁寧なまなざしで撮影してゆく。
(そろそろ一息入れようか)
デジタルカメラのメモリーをチェックし、真剣そのものだった面持ちを僅かに緩めて顔を上げる。視線の先にはかき氷の屋台と、その傍らに設けられた簡易休憩所。そうして、そこのベンチに楚々として座す、浴衣姿で髪を結い上げた恋人──
苺のかき氷を手にゆっくり休んでいた水樹がふと顔を上げる。
カメラを手にした恋人の姿に息を飲む。
その仕草のひとつひとつさえ美しくて、けれど目が合った途端、互いに息を飲む気配を感じてしまった。言葉を閉ざしてしまう互いを感じてしまった。
ふたりの視界のうちを、ほおずき市を楽しむ人々が行き交う。
それはほんの数瞬のことで、ふたりにとっては酷く長い沈黙だった。
「ヒュー、お久しぶり」
先に声を掛けたのは水樹だった。艶やかな花を思わせる顔に鮮やかな笑みが浮かぶ。けれどそれが取り繕ったものであることをヒューは知ってしまっている。
「水樹、」
呼びかけた次の言葉が浮かばず、それを誤魔化すために水樹の居る休憩所の前まで足を運ぶ。
「何をしてるんだい?」
「仕事よ」
短く応じてから、
「……観光協会の公式チャンネルの」
素っ気なさを悔いるように付け足す水樹の視線が俯いてゆくのを止めたくて、ヒューは殊更に明るい声で応じた。
「僕も仕事なんだ。観光協会の依頼でね」
PR誌のね、と取って付けたように笑うヒューのまなざしから逃れたくて、水樹は瞳を伏せる。
「そうなんだ」
自分の爪先を見下ろしたまま、まるで他人のような言葉のやりとりに唇を噛む。続かない言葉に頬を強張らせる。
以前であれば、次から次へと話したい言葉が溢れた。目を合わせては頬を赤らめて、いつまでも変わらぬ互いの初々しさにはにかんで笑い合った。それだけで楽しかった。嬉しかった。それなのに。
(以前はこんなことなかったのに)
原因は己にあると分かっている。それでも、沈んでしまうまなざしを、ヒューの前では隠すことが出来なかった。
消えた言葉を胸に探すも見つけられず、ヒューは俯く水樹をどうしてやることも出来ずに瞳を伏せる。どれだけ近くで言葉を交わしても、どこか言葉が遠かった。ふたりの間に見えない壁があるようだった。
互いに言葉を見つけられないうちに、水樹が撮影スタッフに呼ばれて立ち上がる。ヒューも仕事に戻るためその場を離れる。
最後の一枚を取り終えた頃には、空に星が瞬いていた。
機材の片付けをしようとしているヒューの背に、
「あっ、良かった、まだいらっしゃった!」
休憩中だった水樹を呼びに来た撮影スタッフが声を掛けて来た。何事かと首を捻るヒューに、スタッフは無理をお願いして申し訳ないんですがと両手を合わせて懇願の態を取る。
「写真、お願いできないでしょうか!」
折角なのでポスター用の写真も、と観光協会のお偉いさんが言い出したらしかった。低頭平身なスタッフに大丈夫ですよと微笑み、ヒューはもう一度カメラを取り出す。
撮影スタッフに連れられてきたのは、手折りのほおずきの束を抱えた水樹。
よろしくお願いしますと他人行儀なお辞儀をする水樹に、ヒューは言葉も返せないまま頭を下げた。
ほおずき市と鳥居を背景に、ほおずきの束を抱えた水樹が微笑む。
夕風に揺れる風鈴つきの鉢入りほおずきを仰いで笑む水樹の横顔。
赤い提灯の光とほおずきの屋台を背に振り返り、瞳を細める水樹。
カメラのファインダーに映る水樹はどれも眩しい笑顔を浮かべている。周囲の誰が見ても艶やかに鮮やかな笑顔のはずなのに、
(水樹)
ヒューの瞳には、今にも彼女がくずおれてしまいそうに見えた。あの七夕の夜のように、透明な涙をぽろぽろと零して泣きじゃくってしまいそうに見えて、
(水樹……)
けれど、ヒューは彼女に手を差し伸べられない。
助けたいのに。手を差し伸べて、肩を抱いて、大丈夫だからと伝えたいのに。何があっても大好きだからと告げたいのに。
今は、そうしたところで逆に彼女を傷つけてしまう気がして、
(……水樹)
ヒューは震える指をきつく拳にする。
今は堪えなくてはならないと自分に言い聞かせる。
今は、まだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
5人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
23人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年04月09日
参加申し込みの期限
2022年04月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年04月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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