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寝子島神社のほおずき市
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耳福池のほとりを歩く浴衣姿の
愛猫 萌々子
のてのひらには、屋台で買った透かしほおずき。
「提灯みたいですね」
振り返って微笑む付き合い始めて一ヶ月も経っていない『彼女』の可愛らしさに、
万条 幸次
は立ち尽くしてしまいそうになる。
(すっごく可愛い!)
ほおずき市当日に、突然に誘ったというのにわざわざ浴衣を纏って来てくれた彼女がもうとんでもなく可愛くて可愛らしくて、目にする度に悶えてしまいそうになる。
(に対して俺)
すごくすごーく可愛らしい恰好をして来てくれた彼女に対して、彼氏たる自分はと言えば、Tシャツにハーフパンツにサンダル。どこまでも普段着。
(俺って……)
デートなのに、と肩を落としながら、幸次は愛猫がどこからか駆けて来はすまいかと振り返る。ぱたぱたっとやってきて『シッカリしろ!』と猫パンチのひとつもくれて気合を入れてくれれば助かるのに。
途中まで一緒だった飼い猫の花遊は、耳福池に至る道の途中で不意にそれまでぶら下がっていた幸次の背中から飛び降りた。ネコ科の動物と会話できるろっこんを持つ幸次にだけ聞こえる声で、『あとは若いお二人でー』とだけ残して参道の方へ行ってしまった。
(どこで覚えたんだ……)
ちょっぴり現実逃避気味に花遊のことを罵っていた幸次は、
「夜に池の方を歩くとほおずきが光って亡くなった人と相まみえるなんて言われてますけど」
透かしほおずきを夜空に透かし見る浴衣の彼女の姿に思わずまた見惚れる。
(こういう時にロマンチックな台詞の一つでも言えれば……)
無理か、と早々に見切りをつけて改めて萌々子を見遣れば、萌々子は不意に足を止めた。声を掛けようとした幸次に気づくでもなく、ほおずきを手に池をじっと見つめている。
「……お母様?」
夢見るように呟いた萌々子の呟きに、萌々子の視線を追いかけてみるも、萌々子が見えてるはずの『お母様』を幸次は見ることができない。
(あの噂って本当だったの!?)
それでも、幸次は萌々子が見ているナニカを信じた。
「愛猫さん、」
「見えてるのに、声が聞こえなくて」
でも、とうなされるように萌々子は呟く。
「今ならきっと会えるはず……そう、もう少し近づけば」
「愛猫さん……!」
「待ってください」
池の水面に立つらしい『お母様』に向け、萌々子は迷いのない足取りで踏み出す。
「待って、そっちは池だから!」
「すぐそちらに行きますから」
「危なっ……!」
ほおずきを持った萌々子の手を幸次は咄嗟に掴む。ぐいと引き寄せようとして、体勢を崩した。それでも意地で萌々子を地面のある方へと押す。自分の身体が水面に傾いても、幸次の胸にあるのは萌々子が池に落ちずに良かったという安堵。
どぼーん、という派手な水の音と、
「えっ……」
尻もちをついた衝撃とで、萌々子はぱちりと瞬きをした。訳も分からず瞬きを繰り返しているうちに、頭からサンダルまでずぶ濡れになった幸次がよいしょと池から上がって来る。
「あ……」
「ごめん、せっかくの浴衣だったのに土が……」
自分の惨状には全く構わず、幸次は申し訳なさそうな顔をする。ほおずきも今ので池に落ちちゃったみたいだし、と肩を落とす。
「私を庇って……?」
「俺は平気、浅かったし」
声を震わせる萌々子に、幸次はあっけらかんと笑う。
「今日は昼暑かったからクールダウンにはちょうどいいって、」
「浴衣もほおずきもどうでもいいです!」
幸次の言葉を遮り、萌々子はびしょびしょの幸次にぎゅっと抱き着いた。
「わっ」
驚いた幸次の声も、悔悟の念に身を震わせる萌々子には聞こえない。だって今、幸次が水に落ちてしまった。
(お母様が亡くなってから家族がバラバラになって、もう大切な人を失いたくないって思ったのに……)
それなのに、今。
「わ、私のせいで……」
「大丈夫」
「大丈夫じゃないです、もし深いところに落ちて先輩が溺れてたら、岩場で頭を打ったりしてたら」
あり得たかもしれない未来を口にすればするほど悲しくなってきて、萌々子は幸次の胸にすがりつく。水に濡れた服を通してうるさいほどに聞こえる幸次の胸の音に、幸次が無事だった安堵と自分のせいで池に落としてしまった申し訳なさがどうしようもなく入り混じって涙が次々に零れた。
「大丈夫だから」
背中をぽんぽんと叩き続けてくれる幸次のてのひらが優しくて、それがとても胸を苦しくさせた。こんなに優しいひとを、自分のせいで。
「ごめんなさい……ごめんなさいっ……」
「大丈夫」
「全部私の身勝手で……」
「大丈夫だいじょうぶ」
夜風にさざなみを立てるばかりの耳福池の水面に、母の姿はもう無い。
それでも、一瞬でも会えた。一瞬しか会えなかった。
幸次に抱き着いたまま、幸次への気持ちと母への気持ちがぐちゃぐちゃに混ざって収集がつかなくなる。乱れた心を落ち着けられないまま、萌々子は幸次の優しさに縋ってただただ泣いた。
(……初めて見た)
普段は温和で礼儀正しい彼女が子どものように泣きじゃくる姿に戸惑いながらも、幸次は萌々子が落ち着くまでその背中をぽんぽんと叩き続ける。自分の言葉の少なさをもどかしく思いつつ、大丈夫だから、と繰り返す。
「すみません……」
「大丈夫」
小さく息を吐いた萌々子に胸をそっと押され、幸次は小さく笑った。ようやく落ち着いた表情を見せたかと思えば不意に頬を赤くする萌々子に、随分と長い間抱き合っていたことに思い至る。
「そ、そそそろそろ神社に戻ろうかと思ったけど、このずぶ濡れじゃ変に注目されそうだし、ろっこんで猫の姿になるからそれで戻ろうか!」
どこまでも照れてしまいそうな自分を誤魔化して一息でそこまで言うなり、幸次はろっこん『猫チェンジ』で猫の姿に変身した。
にゃあ、と鳴く幸次に、萌々子はちょっぴり熱を帯びた眦を指先で擦りながら頷く。
「そうしましょう」
静まり返る池のほとりを並んで歩き、にぎやかな境内にまで戻って来たとき、
「あ、花遊さん──」
ほおずきの屋台の間からこちらに向けてまっすぐに走って来るハチワレ猫の姿に萌々子が気付いた。こちらです、と手を差し伸べる萌々子の指先に冷たい鼻先をそっと押し付けた次の瞬間、花遊はくるりと尻尾を翻すなり、
『こんの野郎!』
萌々子の足元にちょんと前肢を揃えて座っていた幸次の横面に突然の猫パンチを浴びせた。
『……へぶっ!』
『お前……彼女何で泣いてんだ!』
ぷるぷると身を震わせ、花遊はきょとんとした顔の萌々子を仰ぐ。その頬や目元に赤く残る涙の跡を確かめ、もう一度、今度は反対の横面に猫パンチ。
『アレか、無理やりアレしたのか!』
『アレって……』
『見損なったぞ!』
『いや違うんだよ話聞けー』
聞く耳持たずに連続猫パンチを食らわせてくる花遊に、幸次は話を聞けと反撃の猫パンチ。
『うにゃー!』
『ぎにゃー!』
揃って毛を逆立てて言い争い猫パンチの応酬を繰り返した挙句、今度は取っ組み合ってごろごろにゃごにゃご転がり始める猫たちの姿に、猫の言葉が分からぬ萌々子は涙で腫れた瞼を瞬かせるばかり。
(激しい喧嘩ではなさそうなので見てましょう)
それに、二匹がくっついて転がる姿はひとつのボールみたいでとても可愛い。眺めているうちに可笑しくなってきて、萌々子は思わずふふっ、と笑い声を零した。
『反撃の猫パンチにゃー!』
『連続の猫パンチにゃー!』
ぺちぺちと殴り合う頭上から聞こえた萌々子の鈴を転がすような笑い声に、幸次は思わず頭をもたげる。その拍子に花遊の突進をくらって地面に仰向けに倒れてしまったけれど、
(よかった)
ぴかぴかの満天の星空と屋台の光を背にした浴衣姿の彼女の笑顔に心の底から嬉しくなった。
(もう大丈夫そうだ)
だから、みんなでいっしょにほおずき市を回ろう──
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。ほおずき市の一幕をお届けにあがりました。
夏の風物詩、とても楽しく描かせていただきました。実際のほおずき市もとてもいい雰囲気ですねえ、みなさまのお陰で、わたしもたくさんほおずき市の風景を楽しむことができました気がいたします。
みなさまも、それぞれのほおずき市をお楽しみ頂けましたらと願うばかりです。
お読みくださいまして、ご参加くださいましてありがとうございました!
またいつか、お会いできましたら幸いです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
5人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
23人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年04月09日
参加申し込みの期限
2022年04月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年04月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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