トライアド・ディフェンダーズ｜リアクション

トライアド・ディフェンダーズ

【ネコナキの塔・３】

「おい指揮官！　俺が敵を食い止める！　ついでに退路も作ってやる！」
　ロボに変身中のクロウディアは剣を両手に携え、燃え盛る火の海へ突っ込むと燃える枝木を剣で削ぎ落としていく。
　すると何とか人間２人程度は通れる道が完成した。
「ありがとう、クロウディアくん！」
「さっさといけ。巫女のリカを連れて城へ逃げるんだ、さぁ早く！」
　桜庭は後木と小山内を抱えて森から脱出していった。
　それを見届けたクロウディアはリミットオーバーを宣言すると、変身持続時間を延長させた。

「さあ、俺が相手だ！　死にたい奴から掛かって来やがれ！」
　剣を４本背負ったクロウディアの総重量はかなりのもの。
　森の中という足場の悪いところではさらにその影響は大きい。
　つまり回避はできない。このロボの装甲だけが頼りだ。
　幸いにも罵詈雑言を並べ立てたおかげでゴブリンの１体が彼に飛び掛ってきた。
　それをクロウディアは一太刀で切り伏せた。
「なんだぁ？　そんなぬるい攻撃じゃ蚊も潰せないぞ！　全力で来い！」
　シャーマンは目の前のロボを驚異と見做し、一部の兵力を割いて向かわせた。
「私も手伝うよ♪」
　花村は葉っぱのお面を被り、指を連続で弾いてろっこんを発動させる。
「リミットオーバー！　これで同士討ちを誘えば、ってあれ？」
　花村は目を疑った。
　花村のろっこん『欺く道化』は自分を視認する半径１００ｍ以内の生物に違う動きをする自分の幻影を見せ、惑わすことができるのだが……。
　リミットオーバーで想定したのは『敵と幻影の同化』。
　だがそれは叶わず、単純に幻影の数が３倍に膨れ上がっただけだった。
「うおっ！？　なんだこれは！！」
　むしろクロウディアのほうが戸惑って攻撃をやめてしまった。
「どれが本物の花村だ！？　くそっ！　迂闊に攻撃できねぇ！」
　味方が迷ってしまうのは誤算であった。
「うわー、大失敗、てへ♪」
　茶目っ気たっぷりに誤魔化した。
　ゴブリンたちは増殖する幻影を無視してクロウディアを集中攻撃！
　幻影、まるで意味がない！！
「や、やべぇ！　ろっこんが切れる！」
　ろっこんの持続時間が消え、高強度の装甲がなくなったクロウディアは、装備の重量で回避ができず呆気なくゴブリン達に討ち取られてしまった。
「で、でも、足止めには、なった、よ……な……？」
　力尽きるクロウディアの表情は、どこか満足そうだった。
「私も逃ーげよーっと♪」
　だが、逃げようとゴブリンに背を向けた花村の動きは、幻影たちのそれとは明らかに不自然な行動であった。
　結果、花村はシャーマンの火炎弾に狙われ、紅蓮の炎に身を焦がすのであった。
「ドジッたなぁ……！　でも、これで元の世界に戻れる、かな♪」

　クロウディア・W：ナインヒルにて戦死
　花村チカこと添木千唐：ナインヒルにて戦死
　後木真央：戦闘不能
　小山内海：戦闘不能
　桜庭円：敗走、塔の巫女の保護へ急行
　一般兵：生存者３名
　
　ネコナキの塔・地上戦：大敗！！