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【七夕】鵲の翼を渡って ~七夕ゆかたまつり 1371~
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絡めた指先から伝わる恋人の優しい力に、
城山 水樹
は睫毛を伏せる。
歩く足元を彩るのは、紺地に竜胆の花が揺れる浴衣。結い上げた黒髪からうなじにこぼれた髪を気にしながら、傍らをちらりと見遣った途端、同じ高さにある恋人──
ヒュー・ヒューバート
の優しいまなざしと出逢ってしまった。
ヒューが片手に持った提灯の光が彼自身を柔らかく照らし出している。
視線が重なった途端、胸がドキドキと跳ねた。頬に熱が昇った。
(同じ身長じゃなかったら)
こんなにたくさん目が合うこともなかったかもしれないと思えば、こんなにドキドキすることもなかったかもしれないと思えば、175センチの己の身長がちょっぴり恨めしかった。
(でも)
目が合うたびに胸が高鳴ってしまう感覚は、今まで付き合ったことのある誰にも感じたことはなかった。
ファーストキスを交わした中学二年のときの初恋相手にも、高校二年のクリスマスに初体験をした相手にも、もちろん、最悪の別れ方をした前の彼氏のときにも。
出逢って二年にもなるというのに、未だにこんな気持ちになってしまうのは、
(……ヒューだけよ)
心の中でそう呟いてみる。
以前であればそう呟くだけで胸がふわふわと温かくなったのに、恋人への想いだけで胸がしあわせでいっぱいになったのに、
(ヒューだけよ)
今は、己に確かめるように何度呟いても心はどこか虚ろだった。しあわせでいっぱいになるはずの胸に暗く重く澱のように淀んでいるのは、この前のタイへの一人旅で犯した過ち。
眩いばかりの光と熱に溢れたあの異国で出会った、同郷の女。冴え冴えとした美貌を、己には計り知れぬほど哀しいまでの想いに曇らせていたあの女。
縋りついてくる白い腕を振りほどけず、流されるままに彼女との情事に溺れてしまったあの一夜が、今もまだ胸に沈み込んでいる。
(……ヒュー)
傍らを歩く恋人の横顔を見遣る。揺らぐ灯りに照らされて楽し気に歩く恋人。折に触れてはこちらを見遣り、優しく微笑んでくれる恋人。
彼がもし、彼女との過ちを知ったとしたら。
(……私のこと、軽蔑する?)
彼の優しいまなざしが変わってしまうとしたら。
繋いだ手が振りほどかれてしまうとしたら。
考えた途端、背筋が凍った。心臓が不穏に轟いた。
(……っ……)
唇の内側を噛む。内面の嵐を辛うじて隠し、常と変わらぬ態度を保とうとする。恋人の微笑みに微笑みを返そうとして、──その顔が凍り付いた。
「……!」
恋人のまなざしに笑みを返そうとした視線の先、身体をぴたりとくっつけあって歩いてくる二人の女性。互いに寄り添っているというよりは、濃紫の朝顔柄の浴衣を纏った密やかな甘い毒孕んだような女性がもうひとりの女性に纏わりついているような印象が強い。
どこか投げやりな表情をしていてさえ人目を引く恐ろしいほどに美しい女──名も知らぬ、その女。もう二度と会うこともあるまいと、手を振り合うことすらせず異国で別れた女。
あの熱い国で体温を分け与えるように抱き合った女が、こちらへと歩いてきている。立ち止まる己に見向きもせず、おそらくは気付きもせず、歩き去って行く。
振り返ることすら出来なかった。
(こんな、ところで)
足元が崩れ去ってしまうような感覚を覚え、思わず下駄の足を踏みかえる。
言葉もなく立ち尽くすばかりの手を、温かな指が握りしめた。
「水樹、……水樹」
優しい声で繰り返し呼ばれ、水樹は瞬きを繰り返す。呆然と立ち尽くしていたことに思い至り、やっとの思いで見遣った傍らには、白地に柳の葉をあしらった浴衣姿に提灯を手にした恋人の姿。
間違いなく傍らに居たはずの恋人の存在を一瞬忘れてしまうほどの衝撃を受けた己の心を容易くは立て直せず、水樹は震える息をそっと吐きだす。
「水樹」
こちらの様子がおかしいことに気付いているはずなのに、絡めた指先を解きもせずにそっと呼びかけてくれるばかりの恋人の優しさが今はとても辛かった。
(私にはヒューだけなのに)
己に向けられる優しいまなざしが、声が、てのひらが、何よりも大好きで何よりも大切なはずだったのに。絶対に失くしたくないはずなのに。
それなのに、
(私は、ヒューを)
その場にくずおれてしまいそうな水樹の肩を、ヒューは優しく抱きしめる。
いつもと変わらぬデートのはずだった。
その最中にも、彼女の様子がどうにもおかしいことには気づいてはいた。
(五月頃からだ)
タイへの一人旅から帰ったときから、どこか影にも似たものを感じていた。先月のデートのときにも、それは感じていた。表面上は普段と変わらぬ態度をとりながらも、普段と変わらぬ華やかな笑顔を見せてくれながらも、変わらぬ想いを伝えてくれながらも、ふとした瞬間に瞳を伏せた。ひどく苦しい眸をした。
彼女が心の奥に何かをしまい込んでいる気配には気づいていた。けれどそれは、──何かを隠しているということは、彼女がその何かに今は触れたくないということ。
彼女が大切だった。なによりもなによりも。
だからこそ、彼女が隠したいと願っているものに安易に触れるわけにはいかないと信じた。
(あの、二人……?)
水樹の様子がおかしくなったその瞬間に目にしていた女性ふたりを振り返る。夏の陽射しのように眩しく明るい水樹とはまた違う種類の、真夜中の湖じみて踏み込むことを躊躇ってしまうような暗さと美しさを持つふたり。表情を失くして尚美しいひとりと、触れれば切り裂かれてしまいそうな癇性な笑みを浮かべながらもまた美しいもうひとり。
夏の夜の温泉街を散策していて偶然行き会ったふたり──もしくはそのうちのひとりと、水樹に何があったのか、水樹がどんな思いを抱えているのか、ヒューには思い当たる節もなかった。
藍染浴衣の女に身体をぴたりとつけていた朝顔柄の浴衣の女がちらりと振り返る。闇の底を思わせるまなざしの暗さにヒューは瞬くも、女はすぐにこちらに興味を失くしたようだった。傍らの女になにごとかを囁きかける。無視されるも構わずひとりでくすくすと笑う。そうしながら、ふたりは夏の夜に幻のように消えて行く。
暗闇で悪魔に行き会ったような冷え冷えとした感覚を覚える胸に首を捻りながら、ヒューは小さく息を吐いた。彼女らのことよりも、水樹だ。
「大丈夫?」
どこかで休もうか、とつなぎ直した水樹の手がひどく冷たかった。
その冷たい指先に、水樹は縋りついてくるような力を籠めてくる。
「ヒュー……」
囁く水樹の声が震えていた。提灯の光に赤く照らし出された水樹の白い頬に、次々と大粒の涙が伝う。
「ごめんなさい」
とても悪いことをしたことを後悔するこどものように謝る恋人の姿があまりにも辛くて、ヒューは言葉を失う。
「水樹、……」
何かあったのかを問おうとしてやめる。何があったのかは分からないけれど、問い詰める気にはなれなかった。それをしてしまえば、彼女はきっともっと泣いてしまう。それがヒューには何より辛かった。
「ごめんなさい、今の人とちょっと……」
「……大丈夫」
「今は、いえなくて」
嗚咽に震える肩をそっと抱きしめる。今の己には、ただそれだけしかできなかった。
「……ごめんなさい……」
「大丈夫」
水樹、と優しく名を呼ぶ。
「大丈夫だから、水樹」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
38人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年12月20日
参加申し込みの期限
2021年12月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年12月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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