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- 00月00日生 00歳
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枯れ木も花咲く寝子島で
【花の王子とお姫さま】
────枯れ木に花を咲かせましょう
────日本一の花咲か印ー！
そんな声が風に乗って届いた、とある初夏の日。
「……おお？」
星ヶ丘寮の自室の庭へ下り、八神 修は寝起きの眠気も吹きとぶような、鮮烈な光景を目の当たりにします。
カトレア、デンドロビウムにシンビジウム……胡蝶蘭！ 色鮮やかに、ゴージャスに咲き乱れるランたちに、修は思わず目を細めました。
「神魂か？ ふふ、粋なことをするじゃないか」
時におそろしく、時にはっちゃけて、遠慮というものをしらない寝子島的神魂現象の数々ですけれど、本日のコレは豪華絢爛。イケてます。いつもこんなカンジなら苦労はないのだけど、と修は苦笑い。彩りや香りで楽しませてくれるこんな現象なら、大歓迎です。
そんでもって花に埋もれた寝子島で、まずはなにをすべきかと言えば、修の心は決まっています。
取り出したスマホでぺもぺもぺっとダイヤルをタップ。
「……やあ、あおい。良かったら、いっしょに出かけないか？ 今日の寝子島は、どこもかしこも満開だよ」
というわけで、ぱたぱたとやってきた七夜 あおいちゃん。花であふれた星ヶ丘の景色に、にこにこにっこり、上機嫌です。
「うわぁ、ほんとに満開だ♪ シーサイドタウンも綺麗ですごかったけど、星ヶ丘に咲いてる花はなんていうか、こう……」
「気高い？」
「あ、その表現ぴったりかも」
親しみあるシーサイドタウンの花たち、旧市街の雅な咲きっぷりのご紹介は後に回すとしまして。
ふたりは人出でにぎわう星ヶ丘を道なりに歩きます。往来の街路樹に、建物の壁や窓枠に、舗装された路上にも花たちは咲き誇り、まるで輝く宝石のような彩りです。
そんな中を歩くあおいの服装は、先日、これまた別の神魂現象が寝子島を覆った際に着る機会のあった、お姫さま風ロリータファッションです。修がプレゼントしたもので、普段から着こなすにはいささか難度の高いコーディネートですけれど、今日のような日ならピッタリでしょう。修が頼むと、あおいも存外ノリノリで着てきてくれました。
「では姫、お城へ向かうといたしましょう」
「もう、修くんったら……あ、見て！ ステッラ・デッラ・コリーナが……！」
星ヶ丘地区を象徴する高級ホテルは、壁面のいたるところを蔦が覆い、そこに咲く花々は桃色から青へと順に並ぶ見事なグラデーションを表現しています。なんだかこの世の光景とは思えない、荘厳な美しさです。
「花と緑に覆われて、まるでファンタジーの世界みたいだな」
「うんうん、雰囲気あるよね。あっちはオープンガーデンになってるみたい、行ってみよ！」
今や緑と花がいっぱいなホテル周辺は、ティータイムが楽しめるカフェになっているようです。
修はそんな秘密の花園へ、あおいをエスコートします。清潔な白がまぶしいテラス席へ着くと、執事やメイドさん風の衣装に身を包んだスタッフたちがエレガントな所作で運んでくるのは、ニャッジウッドのカップにソーサー。お茶請けにはパウンドケーキにタルト、アップルパイ！ 素敵なフレーバーの紅茶とともにいただきます。
「ふふ。ほんとにお姫さまになった気分」
「あおいはいつだってお姫さまだよ」
歯の浮くようなセリフも、修が口にするとびしりと様になるのだから不思議です。
こもれ日とかぐわしい花たちの香りの中、ふたりは紅茶を楽しみながら談笑にふけりました。
花でいっぱいな本日の寝子島、および星ヶ丘地区。これ幸いとオープンガーデンで急遽催されている、もうひとつのイベントがありました。
「ね、ねえ修君。ヘンじゃないかなあ？」
修に言葉はありません。彼は大いに、見とれていたので。
折しも６月。ジューンブライドに乗っかって、ステッラ・デッラ・コリーナのオープンガーデンでは、ウェディングドレス＆タキシードの試着体験、そして記念撮影会が行われておりました。
純白のドレス……白いバラをあしらった花嫁衣裳をしおらしく着こなすあおいに目を奪われて、修は二の句を告げられません。やっとのことで絞り出した言葉はと言いますと、
「前のも良かったが、今回のも……すごく、いい」
と、彼らしからぬしどろもどろでありました。
「ごめん。大人っぽくて、見惚れた」
「あ、ありがと。修君のタキシードも、似合ってるよ」
以前にもふたりして、花嫁・花婿衣装を着たことはあります。
その時と比べて、ふたりに変わったところがあるといえば……時を経てちょっぴり、心身ともに成長したということ。
「俺たち……自分では気づかないうちに、大人になっていくんだな」
「うん。そうだね、少しずつ……」
子どもというには大人びて、大人というには幼さ残す。そんな微妙で繊細な、なにかと迷いがちなお年ごろ。
このまま真っすぐに、迷わず成長していけるのでしょうか？
「なんて、な。今はもう少し、この時を楽しもうか」
「……そだね♪」
思いわずらうのは後あと！ なにしろ、花の命は短いのです。今は目の前の幸せを堪能するのみ。
修が手を伸ばせば、あおいはやわらかくそこに手のひらを重ね、不器用にはにかみました。
────枯れ木に花を咲かせましょう
────日本一の花咲か印ー！
そんな声が風に乗って届いた、とある初夏の日。
「……おお？」
星ヶ丘寮の自室の庭へ下り、八神 修は寝起きの眠気も吹きとぶような、鮮烈な光景を目の当たりにします。
カトレア、デンドロビウムにシンビジウム……胡蝶蘭！ 色鮮やかに、ゴージャスに咲き乱れるランたちに、修は思わず目を細めました。
「神魂か？ ふふ、粋なことをするじゃないか」
時におそろしく、時にはっちゃけて、遠慮というものをしらない寝子島的神魂現象の数々ですけれど、本日のコレは豪華絢爛。イケてます。いつもこんなカンジなら苦労はないのだけど、と修は苦笑い。彩りや香りで楽しませてくれるこんな現象なら、大歓迎です。
そんでもって花に埋もれた寝子島で、まずはなにをすべきかと言えば、修の心は決まっています。
取り出したスマホでぺもぺもぺっとダイヤルをタップ。
「……やあ、あおい。良かったら、いっしょに出かけないか？ 今日の寝子島は、どこもかしこも満開だよ」
というわけで、ぱたぱたとやってきた七夜 あおいちゃん。花であふれた星ヶ丘の景色に、にこにこにっこり、上機嫌です。
「うわぁ、ほんとに満開だ♪ シーサイドタウンも綺麗ですごかったけど、星ヶ丘に咲いてる花はなんていうか、こう……」
「気高い？」
「あ、その表現ぴったりかも」
親しみあるシーサイドタウンの花たち、旧市街の雅な咲きっぷりのご紹介は後に回すとしまして。
ふたりは人出でにぎわう星ヶ丘を道なりに歩きます。往来の街路樹に、建物の壁や窓枠に、舗装された路上にも花たちは咲き誇り、まるで輝く宝石のような彩りです。
そんな中を歩くあおいの服装は、先日、これまた別の神魂現象が寝子島を覆った際に着る機会のあった、お姫さま風ロリータファッションです。修がプレゼントしたもので、普段から着こなすにはいささか難度の高いコーディネートですけれど、今日のような日ならピッタリでしょう。修が頼むと、あおいも存外ノリノリで着てきてくれました。
「では姫、お城へ向かうといたしましょう」
「もう、修くんったら……あ、見て！ ステッラ・デッラ・コリーナが……！」
星ヶ丘地区を象徴する高級ホテルは、壁面のいたるところを蔦が覆い、そこに咲く花々は桃色から青へと順に並ぶ見事なグラデーションを表現しています。なんだかこの世の光景とは思えない、荘厳な美しさです。
「花と緑に覆われて、まるでファンタジーの世界みたいだな」
「うんうん、雰囲気あるよね。あっちはオープンガーデンになってるみたい、行ってみよ！」
今や緑と花がいっぱいなホテル周辺は、ティータイムが楽しめるカフェになっているようです。
修はそんな秘密の花園へ、あおいをエスコートします。清潔な白がまぶしいテラス席へ着くと、執事やメイドさん風の衣装に身を包んだスタッフたちがエレガントな所作で運んでくるのは、ニャッジウッドのカップにソーサー。お茶請けにはパウンドケーキにタルト、アップルパイ！ 素敵なフレーバーの紅茶とともにいただきます。
「ふふ。ほんとにお姫さまになった気分」
「あおいはいつだってお姫さまだよ」
歯の浮くようなセリフも、修が口にするとびしりと様になるのだから不思議です。
こもれ日とかぐわしい花たちの香りの中、ふたりは紅茶を楽しみながら談笑にふけりました。
花でいっぱいな本日の寝子島、および星ヶ丘地区。これ幸いとオープンガーデンで急遽催されている、もうひとつのイベントがありました。
「ね、ねえ修君。ヘンじゃないかなあ？」
修に言葉はありません。彼は大いに、見とれていたので。
折しも６月。ジューンブライドに乗っかって、ステッラ・デッラ・コリーナのオープンガーデンでは、ウェディングドレス＆タキシードの試着体験、そして記念撮影会が行われておりました。
純白のドレス……白いバラをあしらった花嫁衣裳をしおらしく着こなすあおいに目を奪われて、修は二の句を告げられません。やっとのことで絞り出した言葉はと言いますと、
「前のも良かったが、今回のも……すごく、いい」
と、彼らしからぬしどろもどろでありました。
「ごめん。大人っぽくて、見惚れた」
「あ、ありがと。修君のタキシードも、似合ってるよ」
以前にもふたりして、花嫁・花婿衣装を着たことはあります。
その時と比べて、ふたりに変わったところがあるといえば……時を経てちょっぴり、心身ともに成長したということ。
「俺たち……自分では気づかないうちに、大人になっていくんだな」
「うん。そうだね、少しずつ……」
子どもというには大人びて、大人というには幼さ残す。そんな微妙で繊細な、なにかと迷いがちなお年ごろ。
このまま真っすぐに、迷わず成長していけるのでしょうか？
「なんて、な。今はもう少し、この時を楽しもうか」
「……そだね♪」
思いわずらうのは後あと！ なにしろ、花の命は短いのです。今は目の前の幸せを堪能するのみ。
修が手を伸ばせば、あおいはやわらかくそこに手のひらを重ね、不器用にはにかみました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年10月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年10月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年10月27日 11時00分
