this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
枯れ木も花咲く寝子島で
<< もどる
1
2
3
4
5
…
9
つぎへ >>
【涙の意味は】
「まるで遺跡みたいね」
ほうと息をつきながら、半ばひとり言めいて、
城山 水樹
の口からは言葉が滑り出ました。
花と緑におおわれた、ステッラ・デッラ・コリーナ。水樹をエスコートしてくれるのは、もちろん、
ヒュー・ヒューバート
です。
「本当だね。なんだかヨーロッパの文化遺産みたいだ」
「行ったことあるの?」
「広告写真の撮影の仕事でね、こんな庭園を見たことがあるよ。でも、ここまで大規模ではなかったかな」
駆け出しカメラマンであるヒューをして見たことのない光景であるらしく、彼の目に浮かぶどこか少年のような輝きには、水樹もくすりと微笑ましく笑いました。恋人の無防備な瞬間を見るのは、存外楽しいものです。
ふたり腕を絡めて、ツタと花でおおわれたホテルへ足を運んでみると、清々しいオープンガーデンで紅茶やスイーツをいただけるのだとか。うなずきあって、しばしティータイムを堪能することにします。
湯気から漂う素敵なフレーバー。紅茶にパウンドケーキをいただきながら、あたりに咲く花を楽しんでいると、
「あ、見てみて。こんな時期に、サイネリアが咲いてる」
「あの可愛らしい花かい?」
「ええ。そういえば小さい頃、花占いにはまってたなぁ。サイネリアの花言葉、知ってる?」
ヒューが首を振る仕草がやけにあどけなく見えて、水樹は幼少の頃の淡い記憶に想いを馳せながら、いたずらっぽく微笑みます。
「『華やかな恋』」
まさに今の自分にぴったりな言葉だと、水樹は思います。
かつての思い出の中にはヒューではなく、初恋の相手も、初体験の相手も、前カレの姿もまだありましたけれど。少し色褪せたそれらの像とは違い、目の前の恋人とともに作り上げていく新しい記憶はどれも鮮やかで、鮮明です。時が経ってもヒューとの思い出だけは変わらない、そんな予感さえあります。
「こんな気持ちになれるの……ヒューだけよ」
「本当に? はは、嬉しいよ。水樹にそんなふうに言ってもらえるのは」
ちくり、と。
水樹の胸を小さな痛みが走り抜けたのは、そんな時。
「……うん? 水樹、どうかした?」
自分には、ヒューだけ。
なんてことのない、今の水樹には当たり前の言葉……そのはずなのに。
(私、どうして、わざわざあんなこと)
けれど、白々しく自分に言い訳をするまでもなく、心当たりはあるのです。
先日の、タイへのひとり旅。そこで出会った、美しく儚げな女性……どこか追い詰められた様子の彼女と、なし崩し的ながらに過ごすこととなった、
甘美な一夜
……。
「……樹? 水樹、大丈夫かい」
「あ……ごめんなさい、ちょっとぼーっとしちゃって」
怪訝そうな、心配そうな恋人の顔から思わず目をそらして。当惑する水樹の心などお構いなしに咲き誇る花たちを眺め、ごまかすようにつぶやきました。
「ああ。なんだか、妖精が出て来そうな花園ね……」
水樹の瞳に、見慣れない色を見たのは確か。ヒューはそれほど鈍感なタチではありません、いささか朴訥なきらいはあるにしろ。
「うん。そのあたりを探したら、見つかりそうだね。妖精が」
「ね。本当に素敵」
恋人にはなにか話したいことがあるのだろうと思います。けれど、待つことにしました。
こう見えて人一倍の苦労を経てきたヒューですから、忍耐はあり、感情の機微にも敏く、恋人の秘密のひとつやふたつを受け入れてやる度量はあろうという自負もありました。
しばし紅茶の香りを頼りに、水樹の心のしこりをほどく試みに没頭します。
「そういえば、この前も東京のほうへ行っていたよね。仕事はどう?」
「順調よ、もちろん。撮影も和やかで楽しかったしね。そうそう聞いてよ! 休憩中にスタジオの近くで、美味しいケーキのお店を見つけてね、それがもう絶品で……」
彼女の天性の明るさを目の当たりにするたび、ヒューにはそれがまぶしくて、目を細めてしまいます。内向的なところのあるヒューにとって、水樹の楽天家気質、思い切りのよさ、落ち込んだ後の爽快な立ち直りっぷりは、まるで宝物のように思えます。
話題は花占いへ戻り、目に付く花のすべてに花言葉を添えてくれる彼女の無邪気な、太陽のような微笑みに、幾度魅了されたか分かりません。これからも何度だって、見とれてしまうでしょう。
話がふと途切れて、ちょっぴりの間静寂が丸卓の上をおおっても、気まずくなってる暇なんてありはしないのです。
「…………」
「…………」
言葉はなくとも指はからまり、心は通じます。見つめあえば頬は紅潮し、満たされます。まるでそれが自然とばかり、流れるように心は重なりました。
ヒューは思います。妖精ならここにいるじゃないか。くさくてキザったらしくて、とても口には出しませんでしたけれど。
「失礼します、おくつろぎのところすみません! 少しだけ、お時間よろしいですか?」
声をかけてきたのは、ぴしりと正しくパンツスーツに身を包んだ若い女性で、ホテルのスタッフであるようです。
「オープンガーデンでは現在、ジューンブライドにちなみまして、ウェディング撮影会を開催中なんです。よろしければおふたりも、ドレスアップしての記念撮影。いかがですか?」
「ドレスアップって、ウェディングドレスを着て、ってこと?」
「試着体験ってことか。水樹、どうする? 僕は構わないけど」
ヒューがそう言うと、恋人の笑みはますますにぎやかに色づきます。
まるで花が咲いたみたいだ。なんて思いました、もちろん口には出しませんけれど!
華やかで淑やかなウェディングドレスに、すらり着こなすタキシード。装いを変えただけでどうしてこうも、惹かれるのでしょう。清廉な白には本質的に、抗いがたい魅力をかきたてるものがあるのかもしれません……白バラに白百合、野に咲く白詰草、水辺に花弁を広げる白い水蓮が生来それらを備えているように。
「……ヒュー。素敵ね」
「水樹も。綺麗だ」
恋人たちも絡み合った瞳と瞳を離しがたく。見つめ合う彼らのようなカップルの様子には慣れっこなのか、脇に控えるスタッフもわきまえた仕草で待っています。
ヒューは水樹をエスコート。彼の腕に手をあずけ、水樹は頬を赤くしながら赤いカーペットの上を歩きます。道の両脇には白いバラが床を隠すほどに咲きほこり、カーペットの向こうにはチャペル風に仕立てられた撮影スペースがありました。
ヒューのタキシードはスタッフに選んでもらったものですけれど、彼の細身を一寸の狂いもなく包み込み、見事なチョイス。
水樹のドレスは、ふたりで選びました。将来はこんなのを着たいね、なんて笑いながら。その甲斐あってか花嫁は会場の視線を一気にさらいました。
壇上にて向かい合い、新郎が新婦のヴェールを上げたところで、激しくフラッシュが瞬きます。ホテルの撮影スタッフに混じり、一般客の即興カメラマンまでもが水樹をおさめシャッターを切っているのがヒューには誇らしく、同時に、見も知らぬ誰かのカメラへ恋人が映りこむことには少々悶々としたりもしつつ。
「ヒュー……私。私」
突然の、キス。やわらかい彼女の感触。
瞳を閉じるその間際、彼女の目尻に光る涙は感極まってのものではないのだろうと、ヒューはうっすらと感じたかもしれません。
水樹の胸に抱え込んだ秘密を、彼女が恋人へ打ち明ける時が訪れるのか、はたまた胸に抱いたまま時は流れゆくのか……今はまだ、分かりません。
ただただ、白い花々は初々しい恋人たちを、祝福しておりました。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
9
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
枯れ木も花咲く寝子島で
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
恋愛
コメディ
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年10月20日
参加申し込みの期限
2021年10月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!