【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！｜リアクション

【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！

●魔女っ娘の惚気話

　舞台袖に戻った光村千恵は、アイオ・キャンドライトに「ありがとう！」と頭を下げてお礼を言った。
「お役に立ててようで光栄ですわ。可愛い魔法少女と出場できたこと、とても嬉しく、楽しかったですわ」
　妹を助けてくれてありがとう、と千恵の頭を撫でる兄にもお礼を言われたので、アイオは嬉しくなった。
「ああ～！！　あれでよかったかな。どこかで似たようなのになっちゃうの嫌だったんだもん」
　チェナの設定を兄に聞かれると「設定なんて架空だよ！」と焦った。
　兄と一緒にいる愛猫を撫でながら、この子もいたら様になってたかぁ……と思ったりもした。

　その近くでは、高梨彩葉は出番を待っている間に他の出場者の仮装を見ている。
「わ～、たくさん参加してるんだなぁ」
　中には仮装、というか本物っぽい人もいるような……。
「気のせいかな？」
　あやかしとかいうひと達が増えたんだっけ、と出場者の中に紛れ込んでいるかもしれないと見渡す。
「いろんな人たちが参加してるのって、すごいし楽しいね！」
「ハロウィン仕様というか、そういった格好の人がけっこういるわね。楽しそうだからいいんだけど」
　篠原翠響は、本人達が楽しんでいるようなら別にいいかな、という考えだった。
「おっ、私の出番だね。いっくよー！」
　オレンジのリボンがついた三角帽子を被るとお菓子が入っているバスケットと竹箒を持ち、軽快な音楽に合わせノリノリでキャットウォークを歩く。
　歩きながら観客に手を振り、元気良く自己紹介を。

「高梨彩葉でーす！　仮装のテーマはセクシーキュートな魔女っ娘！　セクシーだけど可愛さも交えた衣装でーす！」
　普段はあまりこういう露出が多い服装は着ないのだけれど、お祭りだということで頑張ってみた。
　胸の谷間を見せるの水着でもなかったかも……とカボチャをイメージした魔女っ娘な衣装をチラ見。
　胸部分はカボチャだと思われていないよね？　とちょっと心配だったが、衣装アピールを続ける。
　衣装アピールの後は、仮装にまつわるエピソードを。

　二年前の仮装パレードで、魔女の格好をしてたら恋人がかわいいって言ってくれたんです。
　今年のこの格好も、かわいいって言ってくれたらうれしいなーって思います！
　あはは、思いっきり惚気だよねこれ。

　お菓子のおすそ分けだよ、とバスケットに入っているお菓子を何人かの観客に配った。
　受け取った子供に「ありがとう！」とお礼を言われたので、この仮装にして良かったと彩葉は喜んだ。
「魔女っ娘は、これで失礼しまーす！　それじゃあねー！」
　観客席に手を振りつつ、恋人がどこかで見ていてくれたらいいなーと周囲をチラ見しながら軽やかな足取りで退場した。

●可憐な怪盗少女

　彩葉と入れ替わるようにレース風のバタフライマスクで素顔を隠し、新体操のレオタードを身に纏った翠色のマント姿の翠響が新体操で鍛えたしなやかな身のこなしを活かして颯爽とキャットウォークに登場。
（怪盗少女エスメラディアになりきってみせるわ）
　名前は、スペイン語でエメラルドを意味する「Esmeralda（エスメラルダ）」をもじったものだ。
　衣装とマントの翠色を見て思いついたのだろう。
　中学生の頃は全日本ジュニア選手権の関東大会を勝ち抜き、見事に優勝。
　全国大会で優勝したことで注目され、新体操に熱心な各校で争奪戦となったほどの実力の持ち主。
　完璧な技が出せるように、細部まで美しく見えるように必死で努力した賜物だ。
　そんな彼女が寝子高にいるのは、前理事長が強引に誘いをかけてきたからだった。

「どこからでもかかってきなさい！」
　手に持ったリボンを駆使して迫りくる敵を、蝶のように舞い蜂のように刺して倒していく。
　華麗に敵を倒していく怪盗少女に、観客席の子供達や一部の大きなお友達は「頑張れー！」と声援を送る。
　敵を倒すと、リボンをひっかけるような動作を。
　建物にリボンをひっかけ、ビルからビルへと渡ったりする演技をして猫のような身軽さで、所狭しとキャットウォークを動き回る。
　可憐な美しさと躍動感で、怪盗少女の活躍をアピール。
　演技が終わると、出番が来る前まで一生懸命考えたポーズで決め台詞を。

怪盗少女エスメラディアがあなたのハートをもらっちゃうよ☆

　悪戯な妖精なイメージもある可憐なエスメラディアはリボンを使い、新体操の技を披露しながら軽やかに退場した。

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