【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！｜リアクション

【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！

●セクシー＆キュート

「今日のお祭りはどんな食べ物が出るんでしょうか……楽しみです♪」
　テーマが仮面・仮装ということなので巫部紫苑は、可愛い魔女の衣装に着替えた。
　本人は可愛い系だと思っている衣装だが、セクシー系なので裏方な男子実行委員は目のやり場に困る。
　露出に頓着しないので、紫苑は、恥ずかしがる様子はない。
　出場する経緯は、昨年同様、出場おめでとうカードを貰ったから。
（そういえば、何かカードをもらった気がしますけど、もしかしてこれのことかしら？）
　生徒会の会議で聞いたような気がするが、出店のほうにばかり気がいっていた食いしん坊な書記であった。
　小道具のカボチャの籠に入っている妙に金ぴかに輝くカードを手にし、これは毎年変わらないんですねとクスリと笑う。
　そうこうしているうちに、紫苑の出番に。
　モデルのようにキャットウォークを歩き、壇上ではまずは自己紹介、と箒に跨り魔女っぽいポーズを。

　

「どうも、今日はサキュバス魔女の巫部紫苑です。この衣装のポイントはですね……」
　軽やかに動きながら衣装をアピール。

　蝙蝠の羽とか尻尾とかのサキュバスっぽさ。
　袖やスカートで魔女っぽさを出しているんですよ♪

　箒から降りると、背中の羽や胸の蝙蝠ブラを見せるようにくるりと一回転。
　背中の蝙蝠の羽、お尻の悪魔の尻尾、頭につけている黒い角はサキュバスをイメージしている。
　魔女の衣装というより、ボンテージファッションに近い衣装で特に目立つのは蝙蝠ブラ。
　乳輪を隠す程度の露出度だったので観客は顔が赤くなったり、目を覆ったり、興奮したりと様々な反応を。

　箒や籠なんかの小物もちょっと頑張りました。あ、このお菓子はちゃんと食べられます。

　籠から飴をひとつ取り出すと、包み紙をはがして口の中に入れ頬張る。
　大胆な衣装だが、飴を舐める仕草はかわいい魔女っぽい。そのギャップは男女ともに受け入れられた。
（えっと、あとはここを歩くんですか？）
　飴を頬張りながら堂々と歩き、時折手を振ったり、色っぽくターンしたりして全身アピール。
「では、まだまだお祭りも続きますから、皆さん楽しんでくださいね♪」
　紫苑はウィンクした後に一回転し、もう一度、衣装をお披露目。
　悪戯な笑みを浮かべ、観客席に手を振りながら退場していった。

「ほほーう。興味深いことをやってるな。和洋折衷とはこういうことを言うのかな……粋だねぇ」
　ここまでの様子を見ながら、帽子を被り、和服を着た三毛谷道哉が広げた扇子を仰ぎながら呟く。
　マスカレード☆トリエンナーレに関しては、面白くはあるが、着飾っても腹が膨れるでもあるまいにという考えだ。
　今日ばかりは大手を振って出歩けるので警備は大丈夫か？　という不安も。
（隣人が、あやかしだと知れたらどう思うか見物だなぁ……）
　自身が猫又であることがバレたとしても、猫又に近い姿の万条幸次や異国のあやかしに扮した鏨紫がいたので、仮装の一環で片付いてしまうかもしれない。
（ますかれーど？　とやらをやってしまうのもよいが、主役を搔っ攫うのは趣味じゃない。若人に任せるとして、私は満喫するとしようか）
　次は、どのようなあやかしが出てくるのか。道哉は期待しながら次の出場者の出番を待つ。

　マスカレード☆トリエンナーレの出場者を見ながら、審査員の先生方は出場者について話していた。
「トリエンナーレ、すごく盛り上がっているようだね。皆、普段とは違う自分に変身して楽しそうだったよ」
　寝子高のイベントに関わるのは初めての野々ととお理事長は、いいイベントじゃないかと満足気。
「お菓子を持っていた子もいたわね。あたしもお菓子、欲しいな……」
　ハロウィンにはまだ早いけど、そういった仮装の出場者が多かったというのが相原まゆ先生の感想だ。
「華麗な衣装もいいけど、個性を出した衣装もいいわねー。凝った演出の子もいたから驚いたわ」
　富士山権蔵、もとい、フジコ先生は演劇担当として仮装と演出を楽しみにしていた。
「惚気話をしていた子もいたわね。恋バナっていいわ……」
　寝子高制服☆トリエンナーレに続いて審査員を務める久保田美和先生は、惚気話をした出場者をものすごく羨ましがった。
　そんな話をしながら、先生方は次の出場者の出番を楽しみにしている。