【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！｜リアクション

【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！

●創立記念感謝祭に向けて

　六月の寝子高の創立記念日では、学校を開放しての創立記念感謝祭が行われる。
　昨年は、部活や同好会ファッション、委員会ファッションを着こなしたＢ☆Ｉトリエンナーレ。
　一昨年は、三年に一度の制服☆トリエンナーレが目玉イベントだった。
　今年の目玉イベントは、仮面をつけたり仮装・コスプレをしたりするマスカレード☆トリエンナーレだ。

　創立記念日の数日前。
　篠原翠響の下駄箱に、妙に金ぴかに輝くカードが入っていた。
「出場おめでとうカード？」
　校内の至る所で、黄色い花が所狭しと貼り付けられたヴェネチアンマスクをつけた生徒が手渡しているという話を聞いたことが。
　このカードを受け取ると、トリエンナーレに出場しなければならないらしい。
「とりあえず、前日までに仮装用グッズなどを調達しないとね」

　高梨彩葉の机の上に、出場おめでとうカードが置いてあった。
「ファッションショーかぁ……こういうお祭りごとって久々だし出るのも楽しそう！　思い切って出てみることにしよう！」
　今年は仮面や仮装の姿ということなので、どういう服装がいいかなぁ……と考える。

「急に出場することになってしまったねぇ。どうしよう」
　出場おめでとうカードを校内で拾った万条幸次は、何気なく母にそのことを話した。
　話をした一週間後。
　実家から、頼んだ記憶はないのだが、差出人が母の宅急便でトリエンナーレ出場の衣装一式が届いた。
「母さん、こういうの作るの好きだからなあ」
　サイズが合うのか確認すべく、さっそく試着。衣装は幸次サイズにちゃんと合っていたので逆に怖い。
　着ぐるみでも着て適当にやり過ごそうかと思っていたが、母がせっかく作ってくれたので、この衣装を着て出場することにした。
「作ってくれた母さんの気持ちは無駄にしたくないし、いっそこれ着て受賞目指すか……」
　普段は目立つことはしたがらないが、母お手製の衣装で出場することを決めた。

　出場おめでとうカードは、何故か星幽塔にいるアイオ・キャンドライトのところにまで届いた。
　昨年のＢ☆Ｉトリエンナーレは、正体を隠して匿名で出場した。
　寝子高には、MewTuberグループあいおシスターズのあいお（妹）こと喜矢武あいおがいる。
「今年はあいお（姉）として、堂々と出場できますわ。今年のトリエンナーレはマスカレードですのね。どのような仮装にしましょう」

　トリエンナーレの準備で忙しいのは出場者だけでなく、実行委員と衣装やメイクを担当する裏方もだった。
　青山絢は昨年に引き続き、トリエンナーレ実行委員に。
「……って、私が実行委員長？　そんなの聞いてないわよ！」
　と言いかけるも、結局、委員長として奔走する羽目に。
　誰を委員長をするのか決めかねていた委員会は、昨年、バニーガール姿で司会進行役を務めた絢がいいと判断してのことだった。
　成り行きの司会進行役だったのだが、思いのほか好評だったので今年も是非！　と頼まれた。
（つくづく、あの衣装とは縁があるらしいわね……）
　しかも身に着けるたびに段々似合っていくので、絢は複雑な気分になった。
　とまれ、実行委員長として絢は前日まで各種リハーサルや設営準備。
　生徒会や学校側との折衝やら、その他諸々で駆けずり回った。

　トリエンナーレ当日は、絢は朝一番で寝子高へ。
　講堂のステージに設置されたキャットウォークや観客席の最終チェック。
　中庭の出店、特設ステージの設置状況チェック。
　創立記念日に訪れる卒業生や地域の皆さんをお出迎えしたりと多忙だった。
　そうこうしているうちにトリエンナーレ開催時間が近くなったので、後は実行委員に各業務を任せて司会進行役の支度を。
「今年も、これなのね……」
　用意したバニーガールの衣装を手にし、複雑な気分で楽屋に行って着替えることに。
　着用するまでは恥ずかしいけれど、着替え終えたらすぐにスイッチが入ってしまう。
「マスカレード☆トリエンナーレも頑張るわよ！」
　今年はどんな仮面や仮装をする出場者がいるのかと思うと、より一層やる気が出てきた。

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