【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！｜リアクション

【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！

●受賞者選考

　マスカレード☆トリエンナーレには仮面部門、仮装部門、寝子高生以外の出場者対象のねこじま部門がある。
　この三つの部門でイケてる着こなしは誰か、という最優秀ねここー賞は、生徒と観客の投票、審査員の投票で決まる。
　生徒や観客は、自分がこれ！　と決めた出場者達に投票。
　トリエンナーレに間に合わなかったという人は、トリエンナーレ会場に急遽設置した出場者の写真を貼った掲示板を見て投票を。
「観客と生徒の投書で、より広くコメントをいただけるね」
　掲示板を急ピッチで用意したのは、出場者の写真を撮影した旅鴉月詠だ。
　貼った写真には、出場者の要望で目隠し線が入っているものもあるが、これに関しては、出場者本人の要望による加工という注意書きが。
（目隠しすることで撮影してもらったからね。勝手に顔出しはできないだろう）
　カタｒ……もとい、アルバム作成用の写真が役に立って何よりと燕尾服姿の月詠は観客投票の様子を陰ながら見守った。

　生徒と観客の投票が締め切られると、実行委員会が大急ぎで集計。
　バニーガールの衣装の上にジャケットを羽織っている青山絢も協力し、各部門の仕分けを。
「随分とバラけているわね。観客投票は接戦、といったところかしら」
　どの仮装も出来栄えが良く、自己アピールも十分。中には凝った演出の出場者もいた。
　このようなこともあり、投票数はかなりバラけていたのだ。
　予想以上の投票数だったので、集計にかなり時間がかかった。
　観客の投票結果は、実行委員長である絢が審査員の先生方に報告した。

　先生方も、各部門の受賞者選びに悩んだ。
　投票が多いものから選べばいい、というわけにはいかないので、時間をかけて話し合う。
「仮面部門は、この人がいいと思うわ」
　そう言ったのはフジコ先生。
「仮装部門は、この子を推すわ」
「私も、この子にしたいわー」
　相原まゆ先生と久保田美和先生の意見が一致した。
「ねこじま賞は、この人がいいと思うんだがどうだい？」
　野々ととお理事長の意見に、フジコ先生は自分もそう思っていたと賛成した。
　女性教師二人は理事長がそう言うなら……と賛成した。

　思うように決定しなかったのは最優秀ねここー賞。
　実行委員会が集計した投票数は、各部門に選ばれた出場者を除いてもかなりバラけていた。
　その中から選ぶことになるので、どうすべきか先生方はものすごく悩む。
「あたしは、この人がいいと思うわ」
「すごく悩むわー。相原先生推薦の出場者もいいけど、こっちも捨てがたいわー」
　すぐ決まった相原先生に対し、久保田先生は迷っている。
「あたしは、この出場者がいいと思うわ。どうかしら？」
　ウットリした表情で、この出場者を推すと宣言したフジコ先生。
　理事長は腕組みをし、三人の先生の意見を聞いているかと思いきや……居眠りをしていた。
「理事長、起きてください！　結果発表を待たせちゃ悪いですよー！」
　久保田先生に揺さぶられ、強引に起こされた。
「す、すまんね。考えているうちに眠たくなったんでつい……」
　意見が合わない先生方は、最終決定権を野々理事長に委ねることにした。
　そうだねえ……と理事長は、悩んだ時にはこれで決めようとあみだくじを作り始めた。
「そんな決め方しないで！！」
「真面目に考えてくださいー！！」
「出場者の努力を無駄にしちゃ駄目よ！　理事長！！」
　相原先生、久保田先生、フジコ先生に猛反対された。
　
　悩みに悩んだ末、審査員の先生方が選んだ受賞者が決まった。
　出場者を記したメモは、理事長が司会進行役の絢に手渡した。
「選考、お疲れさまでした。結果発表の際に、先生方のコメントをいただきたいのですが」
「わかっているよ。選考理由を伝えたほうが受賞理由を納得してくれるだろうし」
　その後、審査員からの提案なんだが……と、絢にあることを伝える。
「それはいいですね。昨年もありましたし。では、私は準備がありますので失礼します」

　受賞者が決まったので、実行委員は結果発表を行うことを校内放送で伝えた。