【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！｜リアクション

【創立記念】マスカレード☆トリエンナーレ！

●輪投げ屋で遊ぼう

　出店した輪投げ屋に戻った三毛谷道哉は、お手製の輪と台に立てた棒。
　景品の駄菓子やパッキーなどのお菓子。
　安価な骨董品の猫の置物などを小さい物を階段状の棚に並べてからスケッチブックに『輪投げ屋』と書いて立てる。
　ゆるく開店すると、客の呼び込みを。
「輪投げ、やらないかい？　目玉はサンマさん可動フィギュアだよ」
　面白そうだと興味を示し、最初にやって来た客は佐藤英二。
「いらっしゃい。景品は私が趣味で集めた物だよ。暇なら遊んでみてはどうだい？」
「それじゃあ、遠慮なく」
　道哉から輪を受け取ると、英二は何回かチャレンジ。
　いくつかの輪が棒の中に入ったところで、景品をゲットした。
「おめでとう。これは商品のサンマさん可動フィギュアだ。大事にしてやってくれよ」
「ありがとうございます」
　こういう機会にゲットできた景品をもらうのは、とても嬉しいことだった。
　これ、どうしようかと考えながら、英二は次の出店に向かう。
　彼が立ち去ると、客が次々とやって来た。
「残念だったな。まあまあ落ち込むな。ほれ、参加賞にこれをやろう」
　輪がひとつも入らなかった。景品を取れなかった客には手品で造花や折り鶴を出し、それをプレゼント。
　手品で参加賞をもらえることが話題となり、輪投げ屋に、その後も客が集まった。

「ふう、笑顔というのはいいもんだ……っと、ここでは流石にキセルは駄目か」
　お祭りの場での喫煙はまずいと思い、手にしたキセルをしまう。
　懐から取り出した扇子で仰ぎ、道行く人やあやかしの顔に和んでいるところに鏨紫が声をかけた。
「賑わっているようだね。お祭り、楽しいかい？」
「お前さん、マミーとかいう仮装をして出場していたな。あやかしが、あやかしの仮装をするってのはどんな気分だい？」
　その問いに、悪くない気分だったよと紫は答えた。
「普段と違う自分になれたみたいで楽しかったよ」
「そうかい」
　会話の後、紫は出店を回りながら、ひとの世界は面白いねと楽しんだ。

　制服に着替えた八神修と七夜あおいは、トリエンナーレの感想等で盛り上がりつつ出店巡りを。
「綺麗だったよ、あおい。あとで写真を焼こう」
　写真や記念動画の撮影は、演出を依頼した生徒に頼んでしてもらった。
「修君、輪投げ屋さんがあるよ。やってみない？」
「いいね、やろうか」
　お二人さん仲がいいねえ、と道哉は修とあおいに輪を渡す。
　入ったり外したりしたが、輪投げはすごく楽しかった。もらった景品は、お揃いの黒猫のキーホルダー。
「これ、可愛い」
　喜びあおいを見て、このキーホルダーは今日の記念品にしようと修は決めた。

　修達が立ち去ったのとすれ違いに恵御納夏朝、恵御納夏夜、えみなハルくんが輪投げ屋に。
　景品に猫グッズがいくつかあったので、猫好きな夏朝がやろうと言い出した。
「わなげって何なのにゃ？」
　ハルくんに輪を見せ、これを棒に入れるゲームだよと夏朝は説明する。
「ハルもやるにゃ！」
「僕もやってみようかな。楽しそうだ」
　こうして、三人は輪投げに挑戦。
「入ったにゃ！」
　初めての輪投げに、ハルくんは大喜び。おめでとうさん、と道哉がくれたのは折り紙で作った魚だった。
「おさかなにゃ！　ありがとうなのにゃ！」
「良かったね、ハルくん」
　夏朝と夏夜の景品は猫の置物。ハルくんの景品は駄菓子だった。
　立ち去る前、道哉はハルくんに「坊や、あやかしかい？」と尋ねるが、駄菓子に夢中のハルくんには聞こえていないようだった。
　それ以上尋ねるのは野暮、ということで、追及するのをやめた。
　そろそろ休憩するか、と買った鯛焼きを食べる。
「冷たくなっているが、今日のは特別に美味いな。落ち着いたらもう一回買ってくるか」
　休憩中、紛れ込んできた猫が輪投げ屋に近づいてきたので鯛焼きの皮をあげた。
「お祭りの雰囲気に釣られて来たのか？　だったら、思う存分、楽しめよ」
　ひと、あやかし、猫が楽しむお祭りがあるってのはいいもんだと、鯛焼きの皮を食べている猫を見ながら一層楽しい気分になる道哉だった。

　中庭が賑わっている最中、トリエンナーレの結果発表が講堂で行われるという校内放送が。
　出店巡り中の出場者達や観客は、早く結果が知りたいと講堂に向かう。

　今年のねここー賞は、誰が受賞するのだろうか。