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花咲く夜の夢『モンド・デ・フィオーリ』
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オレンジ色の光が木々の合間から差し込んで、柔らかなカーテンみたいに広がっている。
夕日に照らされた切り株は、マリーゴールド色に輝くライブステージ。
楽しいことや珍しいことが大好きな花の精たちが集まって来て、ベルベットみたいにやわらかな茜色の花弁に腰かけ、さわさわと心地良く吹く風に合わせてざわめいている。
――どうしてこうなったんだろう。
里見 ゆい
はちらりと隣の少女に視線を向ける。彼女の名は
夢宮 瑠奈
。未明 せれねの名で寝子島を中心に活躍する所謂ご当地アイドルだ。
ゆいと瑠奈は双子のようにそっくりだった。淡い亜麻色の髪も、穏やかに澄んだ瞳の色も、驚いたことに身長体重までふたりはそっくり同じだった。違うところは、瑠奈の方に泣きほくろがあること。瑠奈は歌ったり踊ったりすることが好きだけれど、ゆいは歌ったり踊ったり人前に出ることは苦手だということ。
それなのに。何故かゆいは、瑠奈と対になるようなステージ衣装を着て、切り株のステージ上にいるのだから「どうしてこうなった」的疑問は尤もである。
自分たちは小さくなってて。花の精たちが観客で。こんなの夢かもしれない。
そう思うのに脚が震え、指先がすうっと冷えてくる。
「歌とか、踊りとか……そんなのムリ」
そんなゆいを包み込むように、そっと瑠奈が手を重ねた。
「大丈夫だよ、ゆいちゃん。あたしに任せて」
耳元で囁かれた言葉。
任せて、って?
そう目で問い返すと瑠奈はにこっと微笑んだ。
あたしと同じようにしてみて、という意味のようだ。
「花の精のみなさん、こんにちはー! 私たちのスペシャルライブへようこそ!」
白い花のマイクを持ってMCをする瑠奈は、一瞬で『せれね』モード。
タタ、タン!
愛猫 萌々子
がせれねの言葉に句点を入れるかの如く、キノコのドラムを短く叩く。
「こんなステージで歌えるなんて楽しみ! 今日は楽しんで行ってね!」
もういちど、タタタタン!
叩いた真っ赤な傘に白い斑点が入ったキノコの表面が震え、ふつうのドラムに似て、でもちょっとまろやかにくぐもった音がでるのを聞いて、萌々子もふるふる身を震わせた。
(きゃあ……これ、楽しいです!)
手前の傘の薄い蒲公英色のキノコを叩くとシンバル風の音がする。
足元のなめこっぽいキノコは低音のバス。
同じキノコでも傘の端と、中央の膨らんだ部分を叩くのでは音が違っている。
「テンションが上がってきました!」
兄がアメリカでシンガーソングライターをしていることもあって、音楽は嫌いじゃない。
『ののこ様親衛隊』の隊長として黄色い法被に黄色の仮面で、先陣を切っているときと同じくらいの高揚感だ。先陣を切っている、と言っても活動内容は『ののこ様の日常を見守るだけ』だけれど。
(ええと、『伝説の蝶』を探すんでしたよね。音楽に呼び寄せられて姿を見せてくれたらいいのですが)
伝説の蝶、とはどんな姿をしているのだろう。
他の蝶とは違っていて、見たらわかるのだろうか?
そんなことを考えていると、せれねが萌々子のほうを振り返って目配せしてきた。
(わからないけれど、今は曲に集中、ですよね!)
萌々子はスティックを高く掲げてカウントを取る。
「ワン、ツー、ワン・ツー・スリー・フォー!」
ギターをかき鳴らすのは
朝鳥 さゆる
。キーボードはMalice(
葉利沢 倫理子
)。
ふたりの楽器は波のような模様の入った天然石と木材を組み合わせて出来ていて、重くはないけれど触れるとひんやりと冷たかった。
「さゆる。貴女と一緒に音楽を演ることになるなんてね」
Maliceが口の端を上げると、さゆるは感情の篭らない流し目で答える。
「最悪の気分」
「それって最高って意味?」
「Malice、貴女のそういうところが本当に憎らしいと思うわ」
さゆるとMaliceの関係については一言では語れない。愛し合っているとはとても言えない。憎しみあっている、というのも少し違う。執着している――影と影として。磁石のN極とN極どうしなのに無理にでもくっついて求めあわねば気が済まない。自分自身を罰するために。そんな感じだろうか。
夜のしじまに。
深海の底のような暗い時間に。
ふたりは悪夢のように混じり合う。
そんな自分たちなのに、夕日のスポットライトを浴びてともに音楽を奏でるようなことがあろうとは。
さゆるは自嘲気味な笑みを漏らす。
心地いい世界に身をゆだねると痛みを感じる身体なんだと自覚して。
「あたしにとって『楽しい』ということは罰なのね……上等よ。味わってやる」
さゆるの衣装は黒いレザーのホットパンツに革靴。羽織った涙色のロングシャツは、落日の色を映し、寒色から暖色へグラデーションの波をつくる。
あたしってギターなんて弾けたかしら?
そんな疑問はすぐに吹き飛ぶ。
かき鳴らせば不思議といい音が出るのは花咲く世界の魔法だろうか。
Maliceは白いシャツに、黒のスリットの入ったワンピースを纏っていた。草色のストッキングを履いた脚でリズムを取り、澄んだメロディを弾きこなしている。
その姿にさゆるは僅かに目を瞠った。
Maliceの笑顔が、裏表のない普通のハイティーンの少女みたいに見えたからだ。
Maliceを生み出す前の人格、繊細な倫理子がもしも人生において酷く傷つくことなく成長していたら、こんな笑顔の少女として生きていたのではないか――そんなことをさゆるは音楽の中で漠然と思った。
Maliceはといえば、思いがけずもこのステージを楽しんでいた。
もともと悪魔とは、快楽を好むものだ。
萌々子が奏でる響くようなリズム。
ゆいとせれねの少女デュオのハーモニーも、食べちゃいたいくらい可愛らしい。
そして、さゆる。
背中を合わせて奏で合うユニゾン。
ギターとキーボードの重なるメロディは、背筋を通り抜け、痺れるような快感を齎す。
(素敵よ、さゆる。もっと奏で合いましょ。刹那の音楽を、今だけの音楽を)
せれねが歌うのは、伝説の蝶に呼び掛ける優しい歌だった。
ゆいが――戸惑いながも――せれねの歌にアドリブで声を重ねていく。
♪みて、みて、日が暮れる
ルナ、ルナ、月が昇ってくる
光の粒はこだま
花は揺れ 妖精たちが歌うここは
ビューティフルワールド
地図に載ってないパラダイスへ
風に乗っておいでよ
いっしょに踊ろう いっしょに歌おう
歌いながらせれねが軽くウィンクすると、ろっこん<風のいたずら>が発動して、彼女を中心に花開くように穏やかな風が吹き渡った。観客の花の精たちのボルテージは最高潮。吐息と鈴虫の羽音を合わせたような、かそけき歓声があたりに満ちたその瞬間のことであった。
「見てください、あそこ!」
萌々子が太陽の沈みかけている方を指さす。
逆光に煌めく影が羽ばたく。
蝶だ。
墨色の縁取りのある瑠璃の翅を広げ、一羽の蝶が悠々と夕日を横切っていく。
「追いかけよう!」
せれねがゆいの手を引いて、切り株のステージを飛び降りる。
それを追って、萌々子とさゆる、Maliceも。
「あれが『伝説の蝶』なのでしょうか?」
「どうかしら……」
さゆるは懐疑的だ。
「『伝説の蝶』だとしたら触れると元の世界に戻れるのでしょう? 捕まえてみればわかることよ」
どちらでもいいのか、Maliceは急ぐ気もないらしい。
やがて蝶は一休みするかのように枝に留まった。
せれねとゆいが忍び足で近づいていく。
「そーっと、そーっと……」
小さくなっている二人に対して同じくらいの大きさの瑠璃色の蝶の翅を二人で押さえて。
「……つかまえたっ」
蝶は小さく振るえたが、ひどい抵抗はしなかった。
むしろ待っていたかのようにさえ見えた。
「残念。どうやら『伝説の蝶』じゃないみたいね」
あとから来たMaliceが皮肉げに鼻を鳴らす。もしもこの蝶が伝説の蝶なら、せれねとゆいはとっくにこの世界からおさらばしているはずだが、そうはなっていない。
「だとしたらこの蝶が、私たちを導くような、待つような真似をしたのはなぜでしょうか?」
萌々子の疑問に応えたのは、ゆいだった。
「もしかして……私たちの音楽を独り占めしたかった?」
蝶が頷くように触角を動かす。
「これはいわゆる『やっくでかるちゃー』でしょうか?」
萌々子は両手を合わせて笑む。瑠璃色の美しい蝶にそこまで思われては光栄である。
「なあんだ。そうだったんだね」
「いいよ、歌おう!」
ゆいとせれねは押さえていた翅から腕を離した。
「「心を込めて奏でます。私たちの音楽、思う存分聴いてね!」」
森に歌が響き渡る。
蝶は瑠璃色の翅をゆるり羽ばたかせ、心地良く音楽を楽しんでいるようだ。
名残惜しいが、夕暮れ時のステージのおはなしはここで幕を引くこととしよう。
伝説の蝶を探して、また別の場所へ。
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冒険
SF・ファンタジー
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1000人
参加キャラクター数
35人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年06月30日
参加申し込みの期限
2021年07月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月07日 11時00分
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