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花咲く夜の夢『モンド・デ・フィオーリ』
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視界を占めるのは、紺碧の空の色。
雨に洗われた青よりももっとずっと青く澄んだ色に、
鴻上 彰尋
は夜色の瞳を丸くする。ぎくり、身を固くした瞬間に気が付いた。
背中にふわりゆらりと感じられる、ひどく安穏とした浮遊感。
「ぅわっ……?!」
体勢を立て直そうとした途端に視界が反転した。体もぐるりと宙返り。
息を呑む視界の端、大地を埋め尽くす純白が見えた。雪よりも温かく優しく、柔らかな白。空の青をきらきらと輝かせて尚も白く輝く花の色。
花の色に、刹那の間、落下の驚愕を忘れた。
花の大地に吸い込まれるように落ちてゆくばかりの彰尋の手を、ふと、小さくて温かなてのひらが掴む。
「大丈夫だよ、彰尋くん」
すぐ隣で聞こえた声に思わず瞬く。咄嗟に握り返した手を解く理由も思いつけないまま、解こうと思うはずもないまま、彰尋は空の彼方からこちらに追いついて手を取ってくれた女の子を見つめた。
花よりも眩しく笑う女の子。
「あおい、さん……」
「こんにちは」
七夜 あおい
の手に支えられ、空中で惑うばかりだった体を真っすぐにする。慣れてしまえば、天地をひっくり返さずに空中を歩くこともそう難しくはなかった。
「そうそう、上手」
励ますように言われ、知らず頬に朱が差す。腕にぐっと力をこめて、今度は逆にあおいの手をエスコートしようと試みるも、
「降りてみよう、彰尋くん!」
手を引く優しい力には敵わなかった。
花のレースをあしらったノースリーブのワンピースの裾を可憐に揺らし、ツインテールの栗色の髪を元気に跳ねさせ、妖精とも見紛う少女は風の階段をふわりふわりと降りて行く。
導かれるままに花の大地に降り立てば、自分の背丈よりも大きな白い花々が甘い香で迎え入れてくれた。
「紅ちゃん、こっちこっち!」
花の香が降り注ぐ地の上を、
白 真白
はふわふわと歩く。いつもより体が軽く、一足ごとにふわんふわんと体が跳ねる気がするのは、ここが不思議な夢の世界だからだろうか。
ふわりと跳ねたついで、くるりと体を捻って後ろを向く。背丈よりずっとずっと大きな、ともすれば森のようにも見えてしまう花の茎の影の中、少し遅れて歩く四歳年下の親友の姿がある。
結い上げた黒髪を不安そうに揺らし、黒い瞳を気難しげにしかめ、どうしようもなく不機嫌な顔をした少女──
芋煮 紅美
。
「なにこれ、キモ」
頭上に咲く白い花々を仰ぎ、紅美は何度目かの口癖を呟く。かと思えば足を止め、もういいとばかりポケットからスマートフォンを取り出し起動させようとして、
「……キモ」
全く動かないスマホに苛立ち、眉間に皺を刻む。
「動かない?」
「……全然」
ぴょこんと隣に立って背伸びし、暗いばかりのスマホ画面を覗き込んでくる真白に、紅美は唇を尖らせた。ポケットにスマホと一緒に自分の手も放り込む。
「なんでそんなに楽しそうなのよ」
「紅ちゃんと一緒だからね!」
紅美の肘に両手で抱きつきながら、真白はどこまでも明るく笑った。
「キモ」
絡ませた腕が振りほどかれないことに満足して、真白は白い花の森を歩き始める。
「こっちの花もきれいだよ」
「……花なんか」
「花の名前、知ってる? 私は全部はわかんない!」
くすくす笑って、頭上高くで涼やかに咲く白鈴を連ねたような花を小さな指で示す。
「スノードロップ!」
どうだ、とばかり笑ってみせれば、紅美は唇をムッと引き結んだ。うなじをもたげ、視線を巡らせる。
「百合」
「カラー!」
「梔子」
花の名前を交互に口にしながら、ふたりは花の道を歩いて行く。
真っ白な花の大地に花びらのようにひらりと空中を滑り落ちて行きながら、
「落ちていますね」
五十嵐 尚輝
はぽつり、いつものように覇気のない声で呟いた。
「そうですね……」
眼下の花畑を漆黒の瞳に映し、
御巫 時子
も全く焦りのない声で応じる。それでも、ふわふわふわりと漂う大好きな先生がそのままふわりふわりと何処かへ行ってしまいそうな気がして、思わず手を伸ばす。服の裾をつまむだけでは足りなくて、先生の腕に両手でしがみつく。
「怖いですか」
そっと問うて、もう片方の手で手を握ってくれる先生の優しさが嬉しくて、時子は小さく首を横に振った。
「尚輝先生と一緒ですから」
風に舞い上げられた純白の花びらがふたりの周りでくるくる踊る。
──と。絹よりも柔らかでレースのハンカチじみて大きな花びらたちが、ぶわり、突如として訪れた大きな風に吹き飛ばされた。目を瞠るふたりの前に、ふたりよりもずっとずっと大きくて真っ白な鳥が現れる。
思わず身を寄せ合うふたりに、白い鳥は笑ったようだった。
巨大な羽を繊細に操り、白い鳥はふたりを背中に乗せる。優しく翼を羽ばたかせ、風に乗って青空を渡る。そうして降ろしてくれたのは、真っ白な花畑の一角、花びらと葉っぱで編んだ巣の中。
生まれたてふわふわの雛鳥たちは、それでも時子が全身で抱きしめられるくらいに大きい。ピィピィと鳴く雛たちの大歓迎を受け、大きな親鳥のふわふわの羽毛の胸にしばらく抱っこされてから、
「そろそろお暇しましょうか、尚輝先生」
時子はうっかりうたたねしそうな先生にそっと声を掛けた。そうですねと頷いた先生は、ここまで届けてくれた白い鳥に丁寧に頭を下げる。
「助かりました」
白い鳥はまた穏やかに笑った。
チィチィとお別れの唄を歌う雛たちに見送られ、真っ白な花々が咲き誇る大地に立つ。
「僕たちが小さくなったと考えるべきでしょうか」
頭上を覆う花々を仰ぎ、真剣な口調で考え込んだかと思えば、
「まあ、きっといつものように夢であるのかもしれませんが」
困ったように息を吐く先生の前、時子は三つ編みの黒髪を揺らして立つ。ほんのちょっぴりおどけた仕草で、くるり、爪先でひとまわり。
「そう、きっと夢です、尚輝先生」
唇に人差し指をあてて微笑んで見せる。
これが夢でも、いつものフツウな寝子島の現実でも、どちらでも構わなかった。だって、
(尚輝先生と一緒ですから)
「ジャスミン!」
「月下美人」
名を知る花をそれぞれに指し示して、真白と紅美は顔を見合わせる。
白い花の花弁のずっとずっと上を掠めて、白い翼が見えた。目を凝らせば、花のあちらこちら、ふわりふわりと光の粒子を撒いて飛ぶナニカの姿も見える。白から蒼に、黄金から紅に、瞬きのたびに色を変える、球形のようにも人型のようにも見える、虹色に光るナニカ。
「……妖精、かな?」
「……」
真白が首を傾げ、紅美は手ひさしを額に当ててぎゅっと瞳に力を籠める。そんなものいるわけがないと言いたいところではあるけれど、自分がこびとになってしまっている状況も、真っ白な花畑がどこまでも広がっている景色も、現実ではありえない。こんな世界であるのなら、妖精だってきっといる。
「キモ」
小さく呟く口癖は、ほんの少し柔らかな響きを含んでいる。
空の青を涼やかに透かせる白い花のまにまに見える白い翼を追う。群れ咲く花々の中に迷ったときは、虹色の光纏う妖精が気まぐれに導いてくれた。
さらさらと揺れるマーガレットの花畑を抜け、夏空に煌めいて咲くプルメリアの花の下を通り、花冠のように誇らしげなクリスマスローズの間を歩いて。そうして辿り着いたのは、林檎の香を空高く掲げるカモミールの花群。
元の姿であればてのひらよりも小さな花は、けれど今の姿にあっては見仰ぐほどに大きく、花が重なってしまえば寝台の代わりになるほど。
「こんにちは!」
折り重なってもまだ白い花びらの端、ひょこんと栗色のツインテールが覗いた。
「登っておいでよ、気持ちいいよ」
「ほんと? 行く行くー!」
人懐っこく声を掛けてきたあおいに、真白は元気いっぱい手を振り返す。あたしはいいと渋る紅美の手を引き、登りやすそうな茎を探して右往左往。
「こちらへどうぞ」
危うく早緑の葉群の中で迷子になりかけるふたりの前、葉や茎を編んだロープが降ろされた。
「みんなで引き上げますから」
時子が呼びかける。その後ろには、さっき声を掛けて来たあおいと彰尋、寝子高教師の五十嵐の姿もあった。
「ありがとー!」
「……あたしは、」
「紅ちゃん、落ちないように掴まって!」
「っ、あんたこそ……!」
互いに互いを支え合うようにロープに掴まれば、花の上のみんなが力を合わせて引き上げてくれた。
「こんなのなんの意味があるのよ……っ」
花の上にたどり着いた途端、自分の身と真白の体を支えることに疲れ果てた紅美は花びらに倒れた。
「えー、たのしーよー?」
「ね、楽しかった!」
紅美の上に折り重なるように倒れ込んだ真白が顔中で笑い、息を切らせたあおいが声を上げて笑う。
「それに、ほら」
むくれた顔をする紅美を覗き込んで時子が微笑む。白い指で指し示すのは、どこまでも広がる空と、地平まで広がり続けるどれも白でありながらざまざまのかたちした花々。
「とても気持ちが良いですよ」
時子の優しい声音に耳を、花の香の風に額を撫でられ、紅美は寝ころんだまま顔を横に向けた。空と花を眺め、小さな息を吐く。
「いい匂いだね!」
「カモミールかな?」
お腹の上に乗っかったままあおいと喋る真白を傍らに退かせ、花の香を胸に満たせば、疲れた体が眠気を訴えてきた。逆らわずに瞼を閉ざす。すぐ傍の真白の体温が妙に心地よかった。
「眠ってしまわれましたか……?」
花の上にたどり着いた途端にお昼寝タイムに突入する紅美とその隣で楽しそうに瞼を閉ざす真白を覗き込み、時子は声を潜める。
「でも、そうですね、」
絹のシーツのように滑らかな花びらは、おひさまの光を浴びてぽかぽかだ。花畑の中を探検するのも楽しいけれど、ちょっぴり疲れた体を花の寝台に横たえてお昼寝するのも気持ちいいに違いない。
「尚輝先生」
振り返れば、当の先生はいつのまにか花の上に転がっている。
「もう……」
くすりと笑みをこぼして、時子は先生の隣に膝を揃えて座った。膝枕でも、と思ったのを読み取ったように、先生は自分で自分の腕を枕にする。
「……もう」
こうなったら、と時子は先生の隣に体を横たえた。ふわりと立ち上る花の香が心地よくて、すぐ隣の先生の体温と寝息が心地よくて、
(ほんの少し、だけ……)
小鳥が寄り添うように先生の腕に頭を乗せる。胸に頬を寄せる。
「私も!」
みんなにつられてこてんと転がった途端、ふわんと花びらの柔らかさに受け止められ、あおいは空色の瞳を瞠った。
「彰尋くんっ、」
弾みかける声を慌てて抑え、彰尋を手招きする。
「彰尋くん、ここ、ここすごくいい感じ」
「えっと、……うん」
寝転がる女子の隣に寄っていいものかと男子高校生は真剣に悩むも、早く早くと手を振るあおいには微塵の屈託もない。行かなければころころ転がって近づいてきそうな様子に負けて、彰尋は大人しくあおいの隣に腰を下ろした。横になれと隣を叩かれ、体を横にする。
そうして唸る。
「うわ……」
「ほらねほらね、すごいよね」
「うん、すごい」
思いがけず近いあおいの笑顔に飛び跳ねる心臓を誤魔化して、彰尋は小さく頷いた。
優しく立ち昇る花の香に、滑らかな花びらの肌触りに、鳥の羽のように降り注ぐおひさまの温かさに、気づかぬうちに瞼がおりてきてしまう。
「大丈夫、私がちゃんと、起こし──」
言いかけるあおいの声にも、ふわぁ、という可愛らしいあくびが混ざって──
胸の中、柔らかな温もりがあった。
小鳥のようにも子猫のようにも思える温もりを夢うつつの中に大切に撫でて、
「……?」
尚輝はぎくりとする。
「?」
知れない間に教え子に腕枕をしていること、宝物のように胸の中に閉ざしてしまっていることに狼狽えて、
「……」
けれど、その腕の中の時子のどうしようもなく安らいだ寝顔に不思議な安心感を覚えてしまった。小さく息を吐く。
周りに目をやれば、真白と紅美も、彰尋とあおいも、文字通り花の中でとても気持ちよさそうにお昼寝をしている。みんなを、時子を、起こすのも悪い気がして、目覚めてしまった瞳を空へと向ければ、
──ひらり、ひらひら、空色の鱗粉を零して、蝶のかたちした光が風と遊んで通り過ぎてゆく。
(『伝説の蝶』)
聞き慣れない単語が脳裏を過る。探さなくてはこの冒険は終わらない、そう天啓のように思うも、
(違う、ようですね……)
空高く舞い上がってゆく光の蝶を瞳に追い、尚輝は息を吐く。夢から覚めることはまだ出来なさそうだけれど、今は、もう少しだけこの子たちとお昼寝をしていたい気分だった。
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冒険
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
1000人
参加キャラクター数
35人
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シナリオガイド公開日
2021年06月30日
参加申し込みの期限
2021年07月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月07日 11時00分
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