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花咲く夜の夢『モンド・デ・フィオーリ』
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青空に黄色の金魚草が泳いでいる。
「キンギョソウと言えばアビ地獄のエンマちゃんですね、タルトさん」
銀髪ツインテールを飾る空色のリボンを揺らして
マーガレット・ライカー
は振り返る。
「そうだね、キンギョソウたちの恋模様の回は最高だったね!」
打てば響くように応じてくれるのは、趣味──否、生き甲斐を同じくする
響 タルト
。
「エンマちゃんに育てられた恩に悩みながらも恋人のキンギョソウと箱庭を逃げ出す場面とか」
「廃線をふたりで駆けて行く場面とか」
数年前に放送されたアニメの場面について熱く語ったかと思えば、
「マガレちゃんマガレちゃん、あの水仙とタンポポって種族を超えた禁断の恋っぽくない?」
「あら、素敵ですね」
「貴族の水仙と平民のタンポポ、ってとこかなあ」
頭上で寄り添いあうような黄色の花を見つけてはカップリングの妄想、もとい想像に花を咲かせる。
突如としてこびとになって黄色い花畑の真ん中に落っこちたところで、ふたりの創作意欲が失せることはない。寝子島に生きていれば、こんな出来事は日常茶飯事。危険があればその隙を縫って、危険がなければ出会った不思議をめいっぱい楽しみつつ、好きな妄想を膨らませるのが(腐)女子のたしなみというもの。だって、好きなことがあればどんな世界でも楽しく過ごせる。
花のかたちにさえ色恋を見つけ出しては顔中で笑うタルトを眺め、マーガレットは頬を緩めた。
「生存戦略、というものかもしれませんね」
「生存戦略と言えばマガレちゃん、先週発売の寝子島タブロイド見た?」
不思議の花畑の真っ只中にあっても、女子高生ふたりのおしゃべりはいつもとそんなに変わらない。
下校時に時々聞いたことがあるようなないような女子高生たちの華やいだおしゃべりの声を背後の花群に聞いて、
宮祀 智瑜
は花の迷路に彷徨う足を止めた。
うなじのあたりで切り揃えた黒髪を揺らして振り返っても、聞こえるのは声ばかり。頭上に群れ咲く山吹の花の眩しさに惑い、土の中から凛と背を伸ばして咲くフリージアにそっと寄りかかる。
太陽のように輝く花の黄金も、花を支えるしなやかでありながら逞しい茎の緑の色も、花々を咲かせる豊かな土の匂いも、いつもであれば好ましいはずの何もかもがなんだか妙に怖かった。
(ひとり、だからかな……)
しょんぼりと膝を抱えて座り込みたくなるけれど、
(ううん、声が聞こえました!)
ぎゅっと唇を引き結ぶ。緊張して冷たくなってしまった両手で両方のほっぺたをぱちんと叩く。ついでに制服のスカートから覗く膝小僧もぺちんと叩いてよいしょと立ち上がる。背筋を伸ばして深呼吸をひとつして、
(誰かいるのは確かなんだから!)
黒い瞳に滲みかけた涙を瞬きで弾き飛ばして、ぐっと拳を作って。大きく一歩踏み出したところで、
「ん、……宮祀か」
紅花の草むらを分ける、見紛うはずのない長身を見つけた。聞き間違えるはずのない声を聞いた。
「義弘先生……!」
勇気を出して踏み出した一歩めに思い切り力を込めていたこともあって、うっかりつんのめる。
「わっ」
「っと」
転びそうになった体は、けれど駆け寄ってきてくれた高校の数学教師
桐島 義弘
の腕が素早く支えてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「……うむ」
自分を捕まえてくれた腕の力強さが嬉しくて、智瑜は思わず先生のスーツの腕にしがみつく。
「すみません、少しの間だけ」
「……ひとりで、怖かったか」
背中を撫でてくれる先生の大きなてのひらがひどく優しかった。ともすれば泣き出してしまいそうになる瞳をぎゅっと閉ざし、智瑜は先生の腕に額を押し付ける。そうして、ことさらに明るい声で笑う。
「大丈夫です、義弘先生が来てくれました」
「パンジー、菜の花、……ええーっと、」
元々は180センチ弱あるはずの背丈よりもずっと高い位置に咲く黄色い花々を見仰ぎ見仰ぎ、
志波 武道
は眼鏡越しの鳶色の瞳を細める。
「クロッカス、だっけ?」
花の名前を口にしながら、とにかくも歩く。足を止めてしまえば、きっともう花の中に歩けなくなってしまう。
「ミモザに、……何だろ、バラの仲間カナ?」
花の天井から透けて見える青空に向けてカラリ、おどけるように笑って見せる。
「ウワオ、デッカイ! いい匂い!」
鮮やかな緑の枝に小さく丸い黄色の花をこぼれるように咲かせるミモザや、重なるように薄黄色の花を咲かせる木香薔薇を仰ぎ見ては誰かに届くかもしれない賑やかな明るい声を上げる。そうしながらも、誰かに会うために進める足だけは決して止めない。
(誰か、……)
一緒に笑ってくれる誰か。
(……誰か)
守るべき誰か。隣を歩いてくれる誰か。
(誰か)
そう願ってしまっている自分の弱さにふと気づいて、知らず歯を食いしばりそうになる。頬に力がこもってしまいそうになる。
(ダメ、……じゃないゾ☆)
止まってしまいそうになる足を踏み出す。自分にしか分からない自分の心の中でさえおどけてみせる。歩いて歩いて、誰かが見つからなくてもとにかく進んで行かなくては。俯かず、笑顔で進んで行かなくては。
「……ダリア、……」
きつく結んでしまいそうになる唇の端から花の名を零したとき、
「ひゃあうっ?!」
「っ、ごめん?!」
足元にぽふんとナニカがぶつかった。灰鼠色したもふもふは、武道の足元にころんと転がり、しりもちをついた格好でつぶらな黒い瞳をぱちぱちと瞬かせる。
「おや、またおあいしましたね」
「ワオ、宝石商さんだ!」
いつかの冬に出会ったカワウソの宝石商との思いがけない再会に、どこまでも沈んで行きそうだった心が一足飛びに跳ねた。満面の笑みで手を伸ばし、小さくて丸い手を取る。助け起こしながら小さな肉球の感触に胸を躍らせる。
「あなたの宝石、ワタクシがたいせつにおあずかりしています」
「そっか」
「今、かいもどされますか」
無垢なまでの宝石商の黒い瞳に映る自分の顔を見下ろし、武道はちょっと笑った。あのとき己の裡から生れ出た宝石の持つ黒鋼の色をてのひらに包み込めるには、きっとまだ足りない。
「もう少し、預かっていてくれるかな」
「はい。ワタクシにおまかせください」
困ったような笑顔を見せる武道へ、宝石商はどこか嬉しそうにこくりと大きく頷いた。
「宝石をさがしていました」
相棒のスーツケースを土の地面にことことと曳きながら、宝石商は透明髭をひよひよ震わせる。
「落ちていないかとさがしていました」
宝石の匂いを嗅ぎ分けるという黒く濡れた鼻をひこひこ動かし、花の茎が大樹の如く林立する地面を見つめる。
「見つかった?」
ともすれば茎に引っかかってしまいがちなスーツケースを引き受けつつ武道が問うと、宝石商は撫で肩をますます撫で肩にして首を横に振った。
「見つかるのは花ばかりです」
「そっかあ」
ふたりで見上げるのは、太陽の色した花々の中でもひときわ背が高く茎も立派な大輪の向日葵。
「花もきれいだけどネ!」
「ワタクシ、ほんじつは休暇といたします」
地面を見つめて曲げ続けていたスーツの背中を伸ばして笑うカワウソの宝石商に、それもいいネと武道は大らかに笑って、そうして気が付いた。
「宝石商さん」
「はい」
「あれ、何だろうね?」
見上げた向日葵の金色の花びらの先、虹色の珠が水珠にも似てきらきらと光を反射させている。
「わ、何だろマガレちゃん!」
「妖精、でしょうか?」
向日葵の茎の影から元気いっぱいに駆けだしてきたタルトとマーガレットがきゃあきゃあと楽し気な声をあげた。
「やっほー、タルトちゃん」
「やっほー、ブドー先輩!」
ひらりと手を振る武道に両手を振り返し、タルトは妖精の観察に余念のないマーガレットの隣に並ぶ。
「光の珠みたいだね」
「うっすらと人の輪郭のようなものも見えるような、見えないような……」
「裸?」
「どうでしょう」
ふたりの会話が聞こえたのか、光の珠はふわりと動いた。蝶の鱗粉にも似た光の粒子をきらきらと撒きつつ、向日葵の茎に光の螺旋を描いて降りてくる。
「義弘先生、こっちです!」
「あ、ああ」
光を目にしたのか、智瑜に手を引かれた桐島先生も花の影から姿を現した。卒業生や現生徒たちに律儀に挨拶をしながら、義弘は降りてくる光に目を凝らす。万が一にでも周りの人々に危害を及ぼそうものならばと身構えるも、
『ハァーイ、こびとちゃんたち!』
妖精と思しき光の珠はきらきらした光をまき散らしながら皆の頭上をひらりひらりと舞い踊って軽やかに笑った。可愛らしい女性じみた動作のそのくせ、聞こえてくる声は低い男性のもの。
『どうしたの、迷子?』
「あっ、……いえっ、私たち、伝説の蝶を探していて……!」
『あらあら、そうなの!』
智瑜の言葉に妖精はウフフと笑った。きらきら眩く光りながら、花のまにまにひらひらと舞う。
『おいでなさい、悪いようにはしないから』
ねっ、と弾む声と共、きらーんと光が跳ねる。
妙に押しの強い妖精に導かれ、寝子島のみんなが連れられたのは、草と花で編まれた小さな家が並ぶ妖精の集落だった。黄色い花と青々とした草に囲まれた広場には、みんなで囲めるくらいに大きな木のテーブル。
『みんなぁー! お客さまよぉー!』
ここまで案内してくれた妖精が呼びかけた途端、花の家々からさまざまな色宿した光の珠が次々に飛び出してくる。
『お客さんだ!』
『わあ、いらっしゃいませ!』
華やいだ声をあげる妖精たちは、『お客さん』のみんなを囲んで舞い踊ったかと思えば、次には家の中からいろんなお菓子や果物を持ってきては広場のテーブルに広げ始めた。
採れたての真っ赤な苺に花蜜のケーキ、優しい香りのミルクに触ればほろりと崩れる角砂糖。それから、
「うわお、デッカーイ!」
ダリアにナスタチウム、キンセンカに福寿草、黄色い花がたくさんたくさん放り込まれた大きな瓶。
こびとになった武道よりもずっともっと大きな瓶の縁に立つのは、自分たちよりずっと大きな水瓶を抱えた妖精たち。せーのと息を合わせて水瓶を傾ければ、清冽な水が一気に瓶に流れ込んだ。
『朝露とお花のフラワーティーよ。美味しいわよー』
さあさあどうぞと木製のティーカップを渡され、武道は瓶の真ん中に用意された蛇口に触れる。カップと同じに精巧に切り出されて細工された木製の蛇口をそっと捻れば、芳醇な花の香で満ちた金色のフラワーティーがカップに満ちた。
「みなさまにおくばりします」
「うん、お願い」
なんだか楽しそうな宝石商に給仕を任せ、武道はカップに人数分のお茶を汲む。
「わ、ありがとうございます!」
「有難う」
妖精たちに手を引かれるようにして並んで席に着いていた智瑜と義弘の前に甘い香りのする冷たいフラワーティーを置き、宝石商は黒い瞳を瞬かせた。
「あの後、ガーネットの原石はいかがされましたか」
以前、家族ぐるみの付き合いをしている友人たちと一緒に生み出した紅く美しい宝石のことを問われ、智瑜は柔らかな笑みを返す。
「今もあのお家の床の間に大切に飾られています。お家の子が毎日のように撫でて綺麗にしているみたいです」
「さようですか」
透明髭をひよひよ揺らし、宝石商は笑った。
少し離れた席のタルトとマーガレットのもとへと向かう宝石商の足取りが弾んでいるように見えるのが嬉しくて、智瑜は宝石商の運んでくれたお茶にそっと口をつける。
「わ、美味しい……!」
朝露の清冽な甘さのあと、ナスタチウムのシナモンにも似たピリリとした微かな辛み、ダリアとキンセンカの優しい香りをまとめる福寿草の柔らかな甘み。すべてが朝陽のような金色に溶け合い、口の中いっぱいに不思議な美味しさを届けてくれる。
「美味しいです、義弘先生!」
美味しいものを美味しいと伝えたいのは、やっぱり隣の大好きなひとだ。
「そうか」
智瑜の笑顔につられたように、義弘はフラワーティーを口に含む。
「……そうだな、美味しい」
眼鏡の奥、普段は厳しいまなざしがふわりと和んだように見えて、智瑜は顔中で笑った。美味しいものを大好きなひとと一緒に口にするのは、こんなにも楽しくて、嬉しい。
「マガレちゃんマガレちゃん」
宝石商から受け取った木製のカップとソーサーを手に、タルトは栗色の瞳をきらきら輝かせる。
「さっきの妖精さん、いいキャラだったよね」
「今はあちらの──向日葵のお花の上で踊っているようですが」
上品な仕草でお茶を嗜むマーガレットの視線を追いかけ、タルトは向日葵の花を舞台にくるりくるりと跳ねて舞う低い声の妖精を見仰ぐ。その隣で同じように舞う、一回り小さな妖精を熱く見つめる。
「やっぱり恋人かな?」
「ダンスのパートナーが私生活でのパートナーであることは少なくありませんもの」
「そうだよね、素敵!」
声を弾ませてから、タルトはおっと、と口を噤む。カップリングを想像するのはとっても楽しいけれど、この手のお話は二次元であっても地雷が多い。現実に存在する人同士のカップリングともなればそれは特にだ。
「……でも、やめられないのよね」
「わかります」
声を潜めるタルトに、マーガレットはくすりと笑みを返した。
ふたりで向日葵に舞う妖精たちをもう一度見仰いで、
「あっ」
「ああっ」
マーガレットとタルトは同時に声を上げて立ち上がる。なにごとかとつられて立ち上がる桐島先生に、あれをと指で指し示す──黄色い花々に花冠じみて彩られた青空にひらりひらりと翅をはばたかせては風を纏い風に舞うは、朝陽の色と煌めきを湛えた蝶。
「伝説の蝶、でしょうか……」
眼鏡越しの瞳を凝らす義弘の隣に立ち、少しでも近くに見ようと懸命に背伸びをしながら智瑜は呟く。
「妖精さん、妖精さーん!」
向日葵の花の上、自分たちよりも蝶に近い位置にいる妖精に、タルトは声を張る。
「そちら、伝説の蝶なのでしょうかー?!」
振り返る妖精に、マーガレットが続けて声を掛けるも、
『違うわよーう』
返って来たのは少しだけ残念なお知らせだった。
『ここにはもう居なさそうねえ、別の場所かしらー』
「そっかあ、ありがとー!」
『ごめんなさいねぇ』
「お茶、美味しかった! ごちそうさま!」
ひらひらくるり、蝶とともに舞い踊りながらの妖精の答えに、武道は朗らかな声で返す。両手を振って明るく別れを告げ、それじゃあ、と寝子島のみんなに笑いかける。
「次、行ってみよう☆」
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5人まで
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冒険
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
1000人
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35人
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シナリオガイド公開日
2021年06月30日
参加申し込みの期限
2021年07月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月07日 11時00分
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