【大乱闘！　混沌の先に現れたモノ！】

「ピンキーモエ、デビュー！！」
　ポップなアイドルソングとともに魔導騎士バルツァーンに搭乗したるは鬼河内 萌ことピンキーモエ！
　そしてその巨大ロボを傘にしながらラジカル☆ともりんはノワールに接近！
「おい、アンタ。あの黒服の銀髪女が悪者だ、ぱぱっとやっつけちまいな！」
「わかったよ！　ちょめっ☆」
　魔導騎士が振り下ろしたビーム竹刀から魔力砲が発射！
　無防備なノワールに見事命中した！
　これにより剣の雨は停止！
「いい機体だねぇ。後で中のやつを追い出して乗っ取ろうかね！」
　ともりんはほくそ笑むと、背後からノワール目掛けてゲバ棒を振り下ろした。
「いつぞやの恨み、晴らさせてもらうよ！」
　鈍い音が響き渡ると、ノワールはそのまま昏倒してしまう。
　まさに一撃必殺、闇討ち上等！
「あたしが作る世界だ、あたしの行為は全て正当化されるのさ！」
　その間にドＳ姫がキリュキュアに迫る！
「貴女たちに選ばせてア・ゲ・ル♪　この場で私のイヌになるか、現実世界で恥ずかしい思い出を一生引きずるか、どちらがいいかしら？」
「「どっちもお断りだ！！」」
　ニュクスがバトン型ステッキをシャラランと振りかざすと、生成されたシールドが球体となってドＳ姫を閉じ込めた！
「悪の魂よ、せめて安らかに眠るんだ――オネイロスサークル！」
「ウラァァッ！！」
　そこへスノウの釘バットの全力フルスイングが炸裂！
　衝撃がシールドの中で反響し、倍増していく！
　これこそ２人の最強合体技！

「「キリュキュア！　マテリアル・ラブ・スマッシュ！」」

　シールドに亀裂が入ると、爆発四散！
　半裸状態のままドＳ姫こと詠坂 紫蓮は意識を手放し、魔法少女世界から消滅していった。
　
　詠坂 紫蓮→脱落！


　その頃、かたなはスカーレットを押し倒していた。
『さ、最低！　離れて！』
　もがくスカーレット。
　かたなは声を掛けた。
「……怪我、なかったかにゃん？」
　その背には、黒い剣が数本突き刺さっていた！
「剣の雨に当たったら大変だと思って無我夢中だったにゃん。すまないにゃん」
　この言葉に、スカーレットの頬から涙が流れ落ちた。
『謝るのはこっちだよ……。自分を顧みない優しさ。ぶっきらぼうな問答。そしてラッキースケベ。間違いない、本物の刀くんだ』
「最後の要素は必要なのかにゃん！？」
　この言葉に、戦闘中のハーレム員は満場一致で賛成。
　かたなは考えることを止めた。
『いっぱい傷付けてごめんね……。もう、大丈夫だから！』
　スカーレット――小山内 海の心に光が戻った！

　小山内 海→御剣の説得で浄化！

「もうっ、劣勢じゃない！」
　それでもアビスはニヤニヤと笑う。
「ベノムちゃん、いつまでそこにいるの？」
「へ？」
　後木が振り向くと、アビスの濃厚なキスがお出迎え♪
　数秒後、再び後木は病毒少女（♂）ベノムちゃんとして闇落ちしてしまう。
「バ、バッカ！　光の奴を油断させるための演技だ演技！」
　動揺しながらも、魔法の予備動作を怠らないベノムちゃん。
「貴様等なんか、葉っぱ１枚で充分だぜ！」
　天高く飛び上がると、羽根と一緒葉っぱを光の魔法少女たちに振り掛け始めた！
「死ねぇ！　俺の毒は即効で効くぜ？　順々にナイフで首を掻っ切ってやるからよーォ！　楽しみにしてろよっ？」
　そこへ気配を殺して忍び寄ってきた、ともりんが思い切り殴りかかってきた。
「あたしの世界変革をじゃますんじゃないよ！」
　体制派殺しの一撃は爆炎の魔力をゲバ棒に宿らせ、そのまま死角からベノムちゃんを殴打！
　不意を突かれたベノムちゃんは革命の炎に身を焦がされながら吹っ飛ばされ、この衝撃でエナジーバッジは粉砕されてしまった。
　魔力暴走が起きたベノムちゃんの身体は大爆発！
　アフロヘアーに股間に葉っぱ一枚というアグレッシブな姿になったベノムちゃんは、口から黒い煙を吐くと徐々に体が透けていく。
「真央ちゃんに羞恥心なんてないのだー！！」
　こうして正気に戻ったベノムちゃんこと後木は消滅していった。
　しかし、既に毒はばらまかれたあと。その爪痕は確実に残っていた。
「ぐ……、奴の毒をいつの間にか浴びちまったのかい？」
　ともりんの首元には、毒の葉がいつの間にか付着してた。
　体の痺れと戦うともりんへ、優しい微笑みをかけるアビス。
「あら、無理は禁物よ？」
　アビスは魔具を媒介に魔力弾を生成、ともりんへ乱射！
　吹っ飛ばされたともりんのマスクとヘルメットが粉砕されると、なんと、ともりんの顔は有名な南米の革命家そっくりになっていた。
　命運尽きたと悟ったともりんは、満足気な顔で捨て台詞を吐いた。
「よく狙いな。あんたは今から人を、殺すんだ」
「殺す？　いいえ？」
　アビスが舌なめずりをする。
「愛して、食べてあげるのよ♪」
　アビスはブラックホールのように口をめいっぱいに大きく開いた。

　後木 真央→脱落！
　桜崎 巴→脱落！


　次々と光の魔法少女が毒で苦しむ中、ピンキーモエは機内にいるため無関係だった。
「というか、なんだかカップル多いよね、チッ」
　最近、とあるメガネ生徒会長への想いを断ち、失恋状態のモエにとってイチャコラーシーンは憎悪の対象だった。
「うん、そうだ！　カ　レ　ー　に　ま　み　れ　ち　ゃ　え　ば　い　い　よ　！」

　必殺魔法【カレーなる饗宴】、発☆動

　大地が裂け、海は消え失せ、至るところから粘度の高いカレーが海から山から森羅万象から噴き出してきた！
　唐突すぎるカオス展開に敵味方は大混乱！
　ん？　カオス？


「――時は満ちた。未来石（フューチャーストーン）が顕在する！」
　大魔王はアジトでニヤッと笑った。
「ブラックメロディ、トウフーン。２人とも未来石の回収に急げ」
「ですが、ここの守備は……？」
　幹部であるブラックメロディが困惑の声を上げる。
「まもなくここの居場所が特定されるだろう。到着する前に叩かねば」
「まぁ、ええんやないの？　ウチもそろそろ守るのに飽きてきたところや」
　トウフーンは首からぶら下げた笛を吹きたくてウズウズしている様子。
「行くで、メロディ。最後にうち等が全滅させればオッケーや。これ以上ここを堅守するとか、冗談は胸だけにしてや？」
「む、胸など飾りだ！」
　胸元を隠しつつ、狼狽するメロディはトウフーンと共に出撃していく。
　２人を見送ったあと、大魔王は黒酢を飲みながら真っ暗な天井を見上げていた。