漂流　～宇宙にて～｜リアクション

漂流　～宇宙にて～

【広き解釈、狭き答え】

　まずは、真っ先に月詠は刻んでみる。
『コギトエルゴスム』
　
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「やはりな、自我があるなら自ら考えて名乗ればいいと思うし、印象論に過ぎない」
「これで、思想や概念という考えから遠ざかったな」
　修の言葉に月詠は頷く。
「整理して考えてみよう」
　そう言って、月詠がスケッチブックと筆記具を取り出す。
「……スケッチブック？」
　博美があれと疑問に思うも、いつも持ち歩いているものらしく月詠は気にせず自説を展開する。
　スケッチブックには以下のように書かれた。
　①破壊と創造は一体のものである。輪廻
　②情報を記録し続ける事は人間にはできない
　③汝盗むなかれ　盗みは大罪で、主が裁かれる内容は専らこれにあたる
　④世界を作り、与えたということだろうか
「①と②はこれが「神の一柱」であることを表す。そして、①があるから高位の神である事を示す。それと ③と④を考えるなら該当するのは『インドラ』という神だ」
　そう言って入力する。

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「……だめか」
「ちなみに、どうしてそう考えたんだ？」
　博美が参考までにと問う。
「宇宙に形を与え、天と地を分け、水を創り、生命を創り、太陽を創ったとされる。そして、同じ神であるヴァルナの働きを自分のものにしたとされる。ついでに、ヴリドラを倒した功績も含まれるか……」
　詳しくは帰ったら検索してみようと博美か堅く心に誓った。
　その間にも、いくつかの神の名を刻むも、すべて外れに終わる。
「……むぅ」
　修のそれを見てさらに考え込む。
　やがて、思い当たったようにはっと何かに気づいた。
「……少し、歩いてくる。何か思いつくかもしれない」
　そう言って、月詠が出て行った。