霊界鉄道危機一髪☆寝子島おばけパニック！｜リアクション

霊界鉄道危機一髪☆寝子島おばけパニック！

寝子島電鉄霊界線　浅縹駅（３）

　ろっこんで電柱の基部を分解し、引き抜く。それらを再び地へ突き刺し、がしゃどくろを阻むよう配置する。
「防護柵だ。これでしばし進行を留められるだろう」
「勝手に引っこ抜いちゃって、怒られないかなぁ？」
「非常事態だ、目をつぶってもらおう」
　八神修は鴉天狗。七夜あおいは雪女だ。
　がしゃどくろの遅滞において、二人は大きな役割を担っていた。
「あおい、弾を頼む！」
「オッケー！」

　ひらとスカート翻し、くるり一回転。あおいは腕を振り上げ冷気を放つ。すると地面へ瞬く間に氷柱が育ち、鋭利にぎらりと冷たく輝いた。ちなみに可憐なポーズに特に意味はないが、彼女もこのおばけ騒動でちょっとテンションが上がっているらしい。
　氷柱は弾丸だ。根本から折り取り、修の振るうウチワが巻き起こす突風に乗せて放てば、
「いけッ！！」
　銃弾どころかロケット砲のごとき破壊力を発揮した。
「追加の氷、できたよ～！」
「ありがとう、あおい。第一の狙いは間接だ、動きを鈍らせる」
　巨大すぎるがしゃどくろに、直接攻撃は効果が薄い。狙うべきは関節部と修は目算していた。
　背に負う漆黒の翼を打って舞い上がり、ウチワを大仰なまでの大振りであおぎ、全力を持って吹かせた爆風が氷柱を運ぶ。腕や足の末端部、細かなパーツを構成する関節部ほど弾が食い込みやすい。集中的に氷柱を撃ち込んでゆく。
「あ、がしゃどくろの動きが鈍ってきた……！」
「味方も俺たちに同調してくれているようだな。畳みかけるぞ！」
「うんっ！」
　第二の狙いは、喉や顎下。
　前傾姿勢では重心も安定しており、動きを押し留めるのが精いっぱいだ。そこで重い頭部、とりわけ顎下から突き上げるように弾丸を撃ち込むことで、頭を上げさせる。
　水平に氷柱弾を発射し、がしゃどくろの頭部直下へ差し掛かったところで、
「ここだ！」

　修の発生させた上昇気流が軌道を変化させる。直角に近い角度で上方へ跳ね上がった氷柱弾が、寸分違わず髑髏の顎へヒットした。
　思わぬ一撃であったか、がしゃどくろは顎を反らして苦悶するようなそぶりを見せた。
　隙を逃さぬとばかり、修は追撃の氷柱弾を撃ち込み、仲間たちも追従して全力の攻撃を叩き込む。
「あおい……」
「うん！」
「世界を護ろう。君と一緒なら……二人でなら、俺たちは何だって出来る！」
「ふふ……そうかもね！　うん、こうなったらとことん付き合ってあげる！」
　やがて戦いは、佳境へと向かう。