霊界鉄道危機一髪☆寝子島おばけパニック！｜リアクション

霊界鉄道危機一髪☆寝子島おばけパニック！

　──まだ夜は明けていない。空は白んでいるが月は落ち切っていないし、九夜山中には深海を思わせる深い暗がりが横たわっている。
「……いた！　見つけたよ！」
　恵御納夏朝が駆け寄った時、黒白滴はまたしてもぼんやりとして笑んでいた。
「黒白さん、大丈夫……！？　無事だったの！？」
「や～、びっくりしたよ～。ヘンなのに吸い込まれちゃってさぁ。幽霊になってて良かったよ～」
　あっけらかんと軽い調子に、こちらもマイペースが身上な巫部紫苑は、どこか違和感を覚えたらしい。
「何も無かったんですか？　怪我とかしていませんか？」
「ううん、何にも～」
「本当に？」
「うん、いつの間にかね～、森の中で寝てたよ。何だったんだろうね、あはは」
　確かに滴にはかすり傷一つない、というか幽霊なのだから当然ではあったが。
　なればあの闇は、滴を引き込んだ『何か』は、いかなる存在であったのか？　いかなる算段であったのか？
　顔を見合わせた面々へ、滴は申し訳なさそうに眉を寄せた。
「……なんか、心配かけちゃったみたいだね。ごめん。ありがとね～、みんな」
　どうやら裏表のない謝意らしい。にへら、と口元を緩めた滴へ、深縹露草は笑みを返しながらに。
（あの時、黒白さんに何が？　……このままで終わるとは思えないデースね）
　何の変哲もないはずの明るい笑顔が、ひどく空虚なものに見えた。

　やがて寝子島に日が上る。新しい明日が訪れる。
　魔行列車は煙を吐き、汽笛を鳴らし、乗客を乗せ霊界への帰路をひた走る。
　野々ととお、餅々きなこ。新しい寝子島を彩る彼らと、人々はどのように関わってゆくだろうか。
　突然に父親が現れた野々ののこ。最後の高校生活に、彼女は何を思うだろうか。何を学ぶだろうか。

「ああ。夜が明ける。綺麗だなぁ」
　黒白滴は。
「この島でなら、私……みんなと一緒なら、私……も～ちょっとだけ、前向きになれるかなぁ」
　厄災の足音はまだ聞こえない。今はただ、希望を口にするのみだった。

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷幽です。
　大変お待たせいたしました！
　サードシーズンのホワイトシナリオ、第一話のリアクションをお届けいたします。

　らっかみ！の新しい章を彩るホワイトシナリオ、そのトップバッターを任せていただけたことはとても光栄で、皆さんのアクションも熱がこもった素晴らしいものばかりで、もうバリバリ書くぞー！
　と、気合を乗せて執筆を始めたあたりから、体調不良に悩まされ始めまして。
　諸々の症状に、これはちょっと尋常ではないぞと病院にかかってみたところ、胆石症と診断されました。

　その後、入院・手術を経て、今はほとんど本調子に戻ったのですが、執筆は遅れに遅れてしまいました。
　た、病気は自分に不摂生なところがあったためでもあるのだと思いますし、私自身の遅筆のためもあります。
　おかげで楽しみにご参加いただいた皆さまを、こんなにもお待たせすることになってしまいました。
　あらためまして、今回は、大変申し訳ありませんでした。

　そういった事情からお届けするのが遅くなってしまった当シナリオですが、ささやかながらお詫びの意味も込めまして、運営さまにお許しをいただいて、皆さまのイラストを掲載させていただきました。
　執筆にも気合を入れて取り組みましたので、合わせてお楽しみいただけましたら幸いです。
　（中にはイラストがまだ無い方もいらっしゃいまして、申し訳ありません～！）

　さて、今回は、らっかみ！新シーズンのキーパーソンとなるＮＰＣたちが登場しています。
　彼らがこれからの皆さまのらっかみ！ライフを、より味わい深いものにしてくれることと思います。
　とはいえ、実際に物語を紡いでゆくのは、他でもない皆さまです。
　何やら新たな敵？の存在も、ちらちらりと垣間見えております……今後も、それはもういろいろなことが起こるのでしょう。
　私もマスターの一人として、皆さまの物語を盛り上げてゆけるよう楽しみながら取り組んでいきたいと思いますし、皆さまの活躍を拝見したり、執筆させていただくのが楽しみです。
　らっかみ！サードシーズンも、盛り上がって参りましょう～！

　それでは、今回もご参加いただきましてありがとうございました。
　次の機会にもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
　お疲れさまでした！

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シナリオ

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