【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

　胸の造花を目印にして御剣刀が足早に歩く。
「他の先輩は……」
　志波武道を目にした。刀は柔和な顔で近づいた。
「志波先輩、卒業おめでとうございます。先輩と過ごした時間はおかし、楽しかったです」
「なんかおかしいって聞こえたんだけど、きっと気のせいだよね！　ありがとう！」
　小躍りしそうなノリで返す。刀は苦笑いのあと、表情を戻した。
「志波先輩には見習うところが多いです。色々なアイデアを出して、それに向かって突っ走る。成功した事も、失敗した事も俺の中では良い思い出になっています」
「そんな大絶賛されるとバサロがしたくなっちゃうよね☆」
　全身を器用に波打たせた。
「悪い事もって言いましたけど。まあ、これからも良い事や悪い事があると思います。そんな時は微力かもしれませんが俺達を頼ってください。OBとして快く迎え入れたいし、会えたら嬉しいです」
「うん、そうだね。その時はよろしく頼むよ」
　武道は笑った。卒業式が関係するのか。ほんの少し、寂しさが混ざっていた。
　刀は背筋を伸ばす。まっすぐの目で力強い言葉を発した。
「今までありがとうございました！　いつまでも応援しています！　頑張ってください！」
　最後は最敬礼で締め括った。
「ありがとう。胸に響いたよ」
「あ、でも旧市街の米屋『美咲』に行ったらバッタリ会うんですよね。ブーメランパンツを穿いた姿で」
「今の話で感動が薄れちゃったぞ☆」
　別れは似合わないという風に二人は共に笑った。