【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

　訪れた卒業生の全てに造花を取り付けた。長テーブルの上には幾つかの花が残された。
　静けさの中、八神修は空に向かって息を吐いた。
「良い式だったね」
　思ったことが声になった。
「そうだね」
　その声に寄り添うように七夜あおいが言った。
　二人は同じように横に並んで空を見上げる。
「俺達も来年は送られちゃうね」
　修がふさけた調子で言った。
「そうだけど、どんな気持ちになるんだろう」
　すると真剣な声が返ってきた。修の表情が温かくも引き締まる。
「……たぶん、一生、忘れられない気持ちになるんじゃないかな」
「そうだよね。きっと、そう……」
　あおいの声を聞いた瞬間、修は顔を背けた。急いで袖で目を拭う。
　――なんだ、この感情は。
「修君、一緒に卒業しようね」
「ああ、約束する」
　修は少し赤くなった目で同じ空を眺めた。