【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

　偉丈夫の名に相応しい伊織源一が前を見据えて歩く。
　隣には痩せ細った老齢の伊織紘之助がいた。見た目に反して足運びは滑らかであった。
　二人はほぼ同時に足を止めた。墓石を前にした紘之助が片頬を笑みで歪めた。
「あんたらの息子は、ここまで立派になったぞ」
　その言葉に源一の目が動いた。白髪交じりの坊主頭を見つめる。
「墓に眠る善治（息子）よ。俺の顔なぞ見たくもねえだろうが、今日は源一の卒業式があった。大目に見ろよ」
「じいさん」
「みなまで言うな。ちゃんとわかっているぜ」
　懐から線香の束を取り出すと安っぽいライターで火を点けた。素早く手を振って火力を弱め、香炉に収めた。
　源一は片手に持っていた季節の花々を二つに分けて花立てに挿した。
　どちらからも声を掛けず、二人は目を閉じ、自然に墓前で手を合わせた。
　先に目を開けたのは源一だった。白い煙が夕空に昇っていく様子を目にした。
　――これからもこの広い空から見守っていて欲しい。
　心の中でもしっかりと手を合わせた。
　その隣では紘之助が胸中で息子に語り掛けていた。
　――お前は嫌がるだろうが、そっちに行ったら色々と話してェことがあるんだ。なぁに、そう遠い話じゃねえから、待っててくれや。

　溶けるような夕陽が二人を緋色に染めた。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

皆々様、ご卒業おめでとうございます！
ついに万感の思いを胸に秘めて旅立ちの日を迎えることができました！
卒業生を送る会では胃袋を爆発させるくらいの料理が振る舞われました！
トラックで材料を運搬して白い軍団を率いる豪の者もいました。さすがの財力！
慣れない司会に奮闘して頑張る人には涙がはらはらと零れます。お疲れさまでした。
とにかく食べることに専念して食い溜めに走る根性が素晴らしいです。
先輩達と交流を深め、涙する人もいました。手作りのアクセサリーや似顔絵は好評で、
個性が活きています。将来はそちらの方面に進まれるのでしょうか。
在校生のパフォーマンスも見逃せません。人形劇や演奏に心が躍りました。

卒業式は反対に厳かで、時に校長のおちゃめな話に溜息が出ました。
卒業証書の受け渡しでもパフォーマンスが活きました。
意外な人物のスピンヘッドに心を奪われ、これまた想定外のラップに度肝を抜かれました！
なにやらほんわかする在校生へのメッセージ、モデルのステージと勘違いする程の熱狂と、
盛りだくさんの内容でした。

最後のパレードも華やかでした。紙吹雪が圧巻です。その量、凄まじいものがありました。
褌の前垂れを利用したメッセージは体を張っていました。風邪を引かないようにしてくださいね。
送られる側の卒業生も感極まって涙を零します。笑顔で卒業する人もいて性格がよく表れていました。
在校生の温かい言葉も印象的でした。最後の記念品の受け渡しでは在校生が奮闘します。ゆっくりと体を休めてください。

全てが終わったあと、しばらくは賑わっていました。素敵な思い出がいっぱいの学生生活だったのでしょう。
それは同時に晴れやかな未来への第一歩となります。在校生、卒業生、共に幸あれ！

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