【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

　卒業パレードのゴール地点では記念品の受け渡しが行われていた。三台の長テーブルを繋げた上には手作りの造花が山のように置かれ、在校生達が手分けして卒業生の胸のポケットに取り付けた。
　八神修も同様に忙しなく手を動かす。切れ間なく訪れる卒業生の為、隣にいる七夜あおいに話し掛けることも出来なかった。更に新聞部としてデジタルカメラで、適宜、写真を撮った。
　横に設置した立て看板の効果で注文も入る。
「今日、撮って貰った写真の焼き増しをお願いできるかな」
「わかりました。新聞部の部長として責任を持って行います」
　造花を胸に付けながら修はにこやかに対応した。
「ご卒業、おめでとうございます！　これからも頑張ってください！」
　あおいは同じ台詞を繰り返す。男子が多く集まり、声の調子が徐々に強くなってきた。
「なんで、こんなに！？」
　困惑しながらも笑顔を忘れない。修は密かに笑うと、可愛いからね、と聞こえない声で呟いた。
「お元気で。先輩のご活躍を心から願っています」
　修は造花に添えて言葉を贈った。