【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

　少し離れたところでは二人の女子が向き合っていた。
「え、本当に貰っていいの？」
「はい、その為に作った物なので」
　水上桜は金属素材を活かしたアクセサリーを渡した。受け取った方は繁々と見つめる。
「細かいところが凝っていて、これって作るのに時間が掛かったよね」
「最初は少し手間取りましたけど、数をこなしていく間に慣れてきました。それに秋口から少しずつ作っていたので時間的な余裕はありましたよ」
「そっかー。その手先の器用さが家庭科同好会で学んだ技術なら、先輩として嬉しいんだけど」
　窺うような目を桜はしっかりと受け止める。
「もちろん、学ばせて貰いました。手芸では細かい作業を集中して出来るようになりました。パッチワークは生地や柄の合わせ方に苦労してデザインの向上になったと思います。料理に関しては、そうですね。先輩達の一品を美味しくいただきました」
「それは、どうも。今後も会を盛り上げていってね。卒業する私達の分まで」
「はい、頑張ります」
　自信に満ちた表情で桜は言葉を返した。