熱血！　寝子島不良伝！　～天帝降臨ッ！　寝子高最後の日～｜リアクション

熱血！　寝子島不良伝！　～天帝降臨ッ！　寝子高最後の日～

【天帝、その力、暴虐にして荒神と見間違うものなり】

「どうやら、推測に寄れば相手は線が見えるようです」
　月ヶ瀬朔夜はそう言って、隣を走る如月庚に目を向ける。
「線……？」
　どういうことだ、と庚は考える。
「恐らくですが、相手はこちらの行動をすべて読めるのだと思います」
「……は？」
　朔夜の推測に庚は一瞬呆気にとられるが、だが、却下というには余りにも相手が強すぎた。そして、同時に雑魚不良たちが北口付近に居る二人を囲む。
「まだ追手が来やがるか…月ヶ瀬、此処は任せた」
「私も行かないわけにはいきませんね」
「何？」
　庚はその朔夜の言葉に反応し、じっと見る。
「あの天帝と戦うんですよね。ええ、なんとなく予想はつきますよ……でも、雑魚を倒してから、あとで行きます」
（貴方の道を、ふさぐものは私が倒します、だから……）
　先に行けと、徐々に言葉が思考に、思考が想いへと変わる。
「……分かった」
　そう言って、二人は別れた。
「……さて、どれくらいできますかね？　いいえ、考えているよりも体を動かした方が私らしい」
　北口付近に集まってきていた雑魚不良たちを、朔夜は殲滅しにかかった。

「……ここか」
　そうして、一人建物の内部へと入った庚は、じりじりと肌が粟立って行くのが分かる。
（いる……）
　目の前には、風来坊のような男が一人。
　全身から、尋常ならぬ雰囲気が漂っている。
「おい！　天帝！　やり方がまだるっこしぜ……ただ戦いたいだけなら俺や腕っ節の強ぇ奴に挑めばいい」
「ダメだね、そいつは……それだと、ダメなんだ。まぁ、オイラの本心とは別だがね」
　庚が進み出る。同時に、天帝も進み出る。
「……まぁいい……タイマンだろ？」
「当然」
　その瞬間、庚は一撃な強力を受けていた。
「……がっ！」
「……どうした？　それで終わりかい？」
　一撃で倒れ込む庚に、冷たく見下ろすその目……。
（……怖ぇ、どうしようもなく怖ぇ……、膝が笑ってやがる。体が……動かねぇ！）
　ゆらりと立ち上がり、なけなしの一撃を乗せるが……。
「足、膝、拳……次は頭か……喧嘩慣れしてるが甘ぇよ」
「……ッ！」
　すべて受けられた上で力を相殺される。
　そして、足、膝、拳……そして頭の連撃が逆に庚に襲いかかる。
「寝てろ」
　次の瞬間、盛大に自分が吹き飛ぶのを感じつつ、庚の意識は闇の中へと消えていった……。
　如月庚、倒れる！

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