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唐突な使命
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昼を少し過ぎたばかりの時刻。
客の出入りも一段落したようで、周囲には誰もいない。
「ちょうどいいといえば、いいのでしょうか」
口を開いたのは
稲場 舞
だった。
旧市街地にある茶屋「紗之香」。ここに集まってお茶でもしようと最初に呼びかけたのは誰だったか。
四人掛けのテーブルには、稲場の他に、
小山内 海
、
桜庭 円
、
御剣 刀
が腰かけている。
稲場の問いかけに頷いたのは、向かいに座っている小山内だった。
物言わぬ彼女の言葉を補足するように、御剣も口を開く。
「……だな。あまり他の人には聞かれたくない話だ」
彼らが集まった目的は、自らに宿った不思議な力について話し合うためだった。
入学当初、
野々 ののこ
の落下によりばら撒かれたというこの得体の知れない力。それを身に宿してから始まった学園生活の数々の騒動。思い返してみれば、この力とゆっくり向き合う機会もなく月日が経っていた。
「みんなはこの力を初めて使ったとき、自覚はあったのかな?」
くりくりとした目で三人を見つめながら、桜庭が問いかけた。
その問いに、御剣は頷いた。
「俺は覚えてる。初めて使ったのは、ほら、あの教会での立てこもり事件のとき」
御剣の言葉に、ああ、と桜庭は思い当ったように声を漏らす。あのときは彼女も同行していた。
「追い詰められた男が行動を起こそうとしたとき、急に頭の中に違和感が走って――」
違和感。そう、あの撃鉄が落ちる重々しい音。
まるで天啓のようにあのイメージが脳裏に浮かんだのは、あれが初めてだった。
「自覚して使い始めたのは身体測定のときだ。あの時は教会のときとは違って、俺は人を守るためにあの力を使った」
ろっこんは玩具でもエゴでもない。あのとき感じた強い思いが胸の中に蘇る。
「それ以来、俺はののこのフツウを守るために活動している。……ほんと、使い方次第だからな」
いつの間にか思いつめたような顔になっていたようだ。心配そうに見つめる小山内に、御剣は小さく笑い返しながら言った。
「使い方次第、か。そうですね。私もそう思います」
御剣の言葉に、稲場は語気を強めて言った。
その幼さの強く残る顔立ちには、何かに怯えたような色がかすかに浮かんでいる。
「初めて使ったときのことですよね。私もよく覚えています」
あれは四月の中頃、ちょうど弓道部に入りたての時。
少しでも早く上達しようと生真面目な彼女が寮の裏で自主練習に励んでいたとき、急に雷雨が訪れたのだ。
「普通なら雨宿りしますよね。でもあのときは違ったんです。どうしてかは自分でも分からないんですけど……」
惹かれた、という感覚は果たして正しいのか。
轟音の鳴る遠い暗雲を、稲場はじっと見つめていた。
鳴り響く不穏な雷鳴が煽るのは、危機感ではなかった。それはきっと使命感だった。
その未知の感覚に突き動かされるまま、稲場は的を見つめる時と同じ目つきで、弓を射るときと同じ手つきで、遠くの空に向かって放ったのだ。
直後に閃光が。一瞬遅れて轟音が。
その凄まじい音に、稲場は思わず体を震わせた。雷が怖かったのではない。
自分があの雷を射った。そのありえないはずの、しかし揺るぎない事実に恐怖を感じたのだ。
雷を射る。
「そんな恐ろしい力があるんです、この手に」
湯呑で温めていた手のひらを見つめ、稲場はそう言葉にした。
そんな彼女の心境を慮ったかのように、小山内はテーブルに広げたスケッチブックに言葉を綴っていく。
声を持たない彼女にとって、ペンこそが思いを伝達する手段であった。
『まいちゃんのちから、おそろしいとはおもわないよ』
『わたしもあやつられたとき、このちからでみんなをきずつけそうになった』
操られたとき、というのは、最近神社で起きた幽霊騒動のことだ。
黒い艶やかな悪意に呑まれてしまった彼女は、今目の前にいる友人たちにその力を向けてしまった。
もちろんそれは彼女の意志ではないが、自らの力は時として人を傷つける可能性を孕んでいるのだということを嫌でも思い知らされた一件として、あの出来事は小山内の胸に深く残っている。
『わたしはもう、だれもきずつけたくない』
手早く文字を紡ぎながら、小山内が思い出すのは自分の力を初めて発動させたときのこと。
彼女が「ひと」でなくなったのをはっきりと自覚したのは入学式の日。
そして初めてその力を発動させたのは、それからしばらく経ったときのことだった。
道を歩いていると、突然「上! 危ない!」と誰かの声が聞こえてきたのだ。
頭上を見上げると、ちょうど小山内の真上から植木鉢が降ってくるのが見えた。突然のことに避けることもできないまま、それでも小山内は、ペンとスケッチブックを持った手で咄嗟に頭を庇った。
――落ちてくる!
来たる衝撃にぎゅっと目をつぶった彼女の耳に届いたのは、植木鉢が地面に叩きつけられる凄まじい音。
しかし彼女の身には痛みも衝撃もない。恐る恐る目を開けてみると、うずくまる自分のすぐ真横で植木鉢が粉々に割れているのが見えた。
先ほど小山内に注意した人が、ラッキーだったね、と言いながら駆け寄って彼女を助け起こした。
「運よく植木鉢の軌道が逸れたみたい。危なかったね!」
そのときは訳が分からなかったけど、今思えばあれはろっこんの力だったのだろう。
あれ以来、小山内はペンで描いた軌道に沿って、物体を加速させる能力を身につけたのだ。
『まいちゃんのちからも、つかいかたしだいでは、みんなをまもれるとおもう』
少しでも会話をスムーズにさせるためなのか、小山内は基本的にひらがなで文字を綴っていく。
「そう……ですね。ありがとうございます。そう言って頂けると、少し楽になります」
小山内が紡いだ言葉を見つめながら、稲場は強張っていた表情をわずかにやわらげた。彼女が安堵した様子に、小山内も笑顔を見せる。
各々の話を聞いていた桜庭は、なるほどー、と納得したような声を漏らした。
「みんな、初めて使ったときのことは覚えてるんだね」
「桜庭は? 自覚はないのか?」
御剣の問いに、んー、と桜庭は考えるように瞳をくるりと動かす。
「能力が能力だから、ね。いつの間にかこんな風になってたの」
あ、でもひとつ、覚えてることがあるんだよ。
そう言うと、桜庭は当時の思い出を話し始めた。
四月の初め頃のことだった。
あたたかな日差しに包まれぼんやりと猫又川を眺めていた桜庭は、ぴーぴーと鳥が鳴くような声を聞いた。
「……ん、なんだろ、小鳥?」
辺りを見回してみると、岸辺に流れ着いた木の上に鳥の雛が乗っているのが見えた。茶色いその小さな鳥は、さえずりにしては少々騒々しい声を上げている。まるで助けを求めているように。
「あー、流木の上ににおっこちて流されちゃったのかな? よかったね、川に落ちなくて」
まだ幼いその鳥を見過ごすのも忍びない。小鳥をそっとつかみあげると、桜庭は巣に返してやろうと上流に向かって歩き出した。
しばらく歩くと、それまで手の中で大人しくしていた雛が急にまた声を上げ始めた。
生えそろっていない羽をぱたぱたと動かす感触に思わず手の中を見ると、雛は上を向いてしきりに鳴いている。
「はいはい、どーしたの? 上? ……あ」
釣られるように見上げてみると、切り立った崖の側面に鳥の巣のようなものが見えた。恐らくそこがこの雛の里なのだろう。
なんたってあんな難儀な場所に……。見上げた桜庭は思わず溜息を着いた。
とてもよじ登れる高さではない。が、
(あー、でも、あの高さなら、崖の上に回り込んで、下っていったらいけそうかな?)
もちろんそれも簡単なことではない。いざ崖の上に回り込んでみると、やはりかなりの高さであった。崖の側面には木の枝のようなものがいくつか生えており、それが唯一足がかりにできそうなものだった。
「あとは崖の石をつかんでいけば……。うん、できるかな?」
桜庭はぴーぴー鳴き続ける小鳥を頭に乗せると、おそるおそる崖の側面に身を出した。
ひゅう、と首を吹きつける風が嫌でも高所を感じさせる。その寒気にも似た感覚に思わずどきりとしたが、ここまで来たらもう引き返せない。よし、と勇気をひとつ胸に込めると、桜庭はゆっくりと体を下に降ろしていった。
コツさえつかめば、石のでっぱりと木の枝を頼りに降りていくことは難しくなかった。登るときと違って重力に逆らわないため、体への負担も少ない。
そうやって降りていく桜庭の目に、鳥のさえずりが聞こえてきた。頭の上の雛のものではない。その鳴き声の方に顔を向けると、目指す鳥の巣はもう目前にあった。
「あれが巣かな? よーし、もうちょっとだよ」
そう雛に語りかけたときだった。
どこかでわずかに気が緩んでしまったのだろう。掴もうとした石はどうやら脆い箇所だったようだ。気付いた頃には既に体重をかけすぎていた。あ、やば、と思う間もなく彼女の体は壁面で大きくバランスを崩す。
「うわ、とと……!」
ぐらりと揺らぐ体。視界に空が広がったかと思えば、ふわりと嫌な浮遊感が彼女を襲う。
(やば、落ちる……!)
とにかく何かにつかまろうと必死に足掻いていると、ぼすっ、と体が唐突に跳ねあげられるのを感じた。木の枝に突っかかったのはよかったのだが、その枝が想像以上によくしなってしまったらしい。桜庭の体はぽーんと面白いように投げ出され――
ざぷん、と気がつけば水の中に潜っていた。
何が何だか分からないまま岸辺まで泳いでいく。手も足もしっかり動く。どうやらあれだけの高さから落ちたにも関わらず、無傷で済んだようだった。
「……ぷは! ……はあ……あの状態で助かるだなんて」
どんだけラッキーなの、ボクは。
ありえない自らの幸運に驚きつつ、ふと桜庭は思い出す。
(……あ、そうだ! 雛!)
慌てて頭を触ってみるが、もちろんいない。あのときに落としてしまったのだろう。
助けるつもりがひどいことをしてしまった。
ずぶ濡れの体で落ち込む彼女の耳に、ぴぃ、と耳慣れた鳥の鳴き声が飛び込んできた。
「でね、見上げてみると、巣に鳥がいたんだよ。親鳥と仲良く一緒に」
その桜庭の話に、そんな、と稲場が小さくつぶやいた。
「頭の上から放り出された拍子に、雛は運よく巣に飛び込んだんですか? そんな、桜庭さんが助かっただけでも奇跡的だっていうのに……」
彼女が語った話は単なる幸運話ではない。
フツウならありえないレベルの奇跡だ。
「それで、これ見て」
話し終えた桜庭は、ポケットの中から出したものをテーブルに置いた。
三人が覗きこむと、それは珍しい色をした花と、茶色い羽だった。
「今月、玄関に置いてあったんだ。あの鳥の親子かな? お守りにしようと思って」
そう言う桜庭は嬉しそうだ。そんな友人の様子をほほえましげに見つめながら、小山内はスケッチブックに文字を書いた。
『きっと、まどかちゃんにおんがえしにきたんだとおもう』
「だよね、ボクもそう思う」
ふふ、と笑いあう二人の様子に、稲場は小さく声をもらした。
「私も……。私の力も、いつか誰かを守ることができるのでしょうか」
思いつめたような声音に、できるよ、と桜庭は力強く言った。
「きっとできるよ。ボクにだってできたんだから」
不安を感じ始めたのは一体いつからだろう。
女子三人の会話をどこか遠巻きに聞いていた御剣の頭の中で、撃鉄が落ちた。
加速するのは肉体だけでない。精神までその速さに順応してしまう。そのためひとたび「加速」してしまえば、もう皆の話し声は彼の耳には届かない。今ここで彼が立ち去っても、きっと誰も気付かないだろう。
みんな水の中にいるように、自分だけが風の中にいるように。
ろっこんを使った瞬間から、彼はひとりぼっちになる。
(もしこの力が成長し続ければ、俺はどうなるんだ?)
この力は、生かすも殺すも使い方次第だ。しかし単なる道具として看做すには、御剣の力はあまりにも自らに即しすぎていた。
この速度は道具ではなくもはや自分自身なのだとすれば――
ふと視界に飛び込んできたのは白い紙。
どうしたの? 見慣れた文字がそう問いかけている。
早回しの世界の中で、その言葉は不変のぬくもりで御剣に語りかけている。
そこでようやく、彼は我に返ったように「加速」するのをやめた。
「……あ、ああ。すまない。ぼーっとしてて」
一気に戻ってくる日常。みんなの声、みんなの顔。
取り繕うように笑ってみせたが、三人は不安げに御剣の顔を見ている。彼と付き合いの深い桜庭は、怪訝そうな顔で問いかけた。
「調子悪そうだけど、だいじょぶ?」
「いや……うん。……俺、不安なんだ」
この際だから言ってしまおう、と、御剣は思わず秘めていたその思いを皆に打ち明けた。
力を使うことで増していく孤独感。
そして、その力が成長していくことへの漠然とした恐怖。
そんな御剣の告白に、小山内は返答の言葉を綴った。
『だいじょうぶ、わたしのろっこんもかそくできるから』
そこまで書くと、そのペン先は逡巡するように迷いを見せた。しばしためらうようにペン先を揺らしたあと……しっかりとした手つきで、小山内は言葉を続ける。
『だから、ひとりぼっちになんかさせないから』
声に出して言うには、ちょっと恥ずかしいかもしれない。
書いてから顔を赤らめる小山内の様子に、桜庭と稲場はそっと目を合わせて思わず笑みをみせる。
御剣は驚いたように目をしばたかせたが、その言葉にうなずいた。
小山内、ありがとう、と。
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日常
神話・伝説
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30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年09月16日
参加申し込みの期限
2013年09月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年09月23日 11時00分
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