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【お正月】賑やかで華やかな一時を
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朝間の晴天に関係なく、猫鳴館は薄暗い。山の麓にある為、絶えず木々に覆われていた。
どの部屋も建付けが悪く、隙間風に見舞われる。
北里 雅樹
の部屋も同じで薄い布団の中にいた。
眠そうな目で天井を眺める。
――今年で高校を卒業か。ほっとする間などない。大学受験が控えている。今は受験勉強に没頭する時期なのだろう。
心の中で答えは出ている。しかし、行動に起こそうとしなかった。薄い布団に挟まれてぼんやりとした時を過ごす。
「……元旦だし」
呟いて目を閉じた。窓がカタカタと寒そうに鳴る。
掛け布団を顎先まで引っ張り上げた。足先が出た。横向きとなって引っ込める。
窓の不満が止まらない。ガタガタと音を立てた。
「寝正月も厳しいか」
薄笑いで起き上がった。床に伸びていたコートを着て寒々しい部屋を後にした。
悪路に近い道を下り、舗装された道に出た。
「気分だけでも」
人通りの多いところを選んで歩いた。擦れ違う人々に、それとなく目をやった。
――振袖が多いな。正月には欠かせない要素だからか。
口元にやんわりと笑みを作った。
雅樹はキャットロードに足を踏み入れた。人の数は倍増した。ほとんどの者が大きな紙袋を手に提げている。通りに連なる店は何かしらの広告を掲げて、多くの人の目を集めていた。
雅樹は書店の前で足を止めた。著名な教授が監修した参考書が入荷したと貼り紙には書かれていた。
――理数系の参考書はすでにある。気にはなるが、あまり無駄な金は使いたくない。
はしゃぐ子供の声が聞こえた。目が釣られた。側には父親がいて大きな紙袋を手に提げている。印刷されたロゴは有名な玩具メーカーのものだった。
――俺も父親と仲が良ければ、こんなに切り詰めた生活をしなくてもよかったのだろうか。
自嘲気味に笑って書店を離れる。他の店も見て回った。財布の紐が緩むことはなく、通りを抜けた。
足は来た道を戻る。黙々と歩いて、ふいに右に折れた。
――賽銭くらいは出してもいいか。俺は受験生だから。
旧市街に向けてのんびりとした調子で歩を進めた。
カーテン越しにも明るさが伝わる。自室のベッドで寝ていた
椎井 莉鳥
の横顔を仄かに照らす。何回かの寝返りを経て薄っすらと目を開けた。
のろのろと上体を起こす。黄緑色のタンクトップの肩紐がずれた。手で直したついでにショートの髪に手櫛を入れる。少しの寝癖は無視してベッドから下りた。
ドアへと向かう途中でショートパンツに目がいく。特にすることはなく、部屋を出ていった。
階段を下りると洗面台に立ち寄った。軽くうがいをして洗顔を済ませた。
「おはよう」
食卓に並ぶお節を見て、あけましておめでとう、と言い直して自身の椅子に座った。家族が揃ったことで朝食が始まった。
塗り箸を手にした莉鳥は少し考えるような顔でお節を眺めた。出された雑煮を先に食べて、適当に箸で一品を摘まんだ。感想を聞かれたので、美味しい、と答えた。
「ごちそうさま」
莉鳥が塗り箸を置くと家族は心配そうな顔を向けてきた。やんわりと体調を聞かれた。
「大丈夫、少し外の空気を吸ってくるわ」
早々に席を立ち、二階の自室に戻った。
着ていた衣服を脱いだ。ブラウンのニットワンピースに青いスリムパンツを合わせた。コートは白いロングコートを選んだ。
出かける前に歯を磨いた。大股で玄関に行き、ダークブラウンのハーフブーツを履いて家を後にした。
シーサイドタウンを歩いていると多くの人に目がいく。楽しそうな親子連れは微笑ましく、莉鳥の口元に微かな笑みが浮かんだ。ディスプレイに飾られた最新のゲーム機を腕組みして見ている男の子がいた。手にはポチ袋が握られていて、でもなー、と躊躇うような言葉を繰り返す。
優しい目で通り過ぎた莉鳥は横手の道に突っ込んだ。振り返ると若い男女のカップルが腕を組んで通り過ぎた。
「私は、何を……」
咄嗟の行動に自身で驚く。伸ばした手は唇に触れた。
――あの時の
キス
が私の中で燻っている?
ブーツの踵で地面を強く踏んだ。
「バカバカしい」
言葉を吐き出して路地を抜けた。
――身体が熱い。この熱は、前にも経験したことが。
大きな通りに出た。そこかしこに仲睦まじい若い男女を目にした。強い視線で全てを受け止める。
――やはり、そうなのね。私の終わった恋に再び火が。でも、まだ弱いわ。今なら自分の意志で消すことができる。
目は旧市街を向いた。力強い足取りで歩き始める。
古い町並みに変わった途端、洋服の占める割合が減った。艶やかな振り袖姿が多く見られるようになった。
寝子島神社に続く石段が見えてきた。莉鳥は勢い込んで上り始める。中程で勢いが落ちた。
――アイツのことなんか、もう、いいじゃない。どうして、こんなに苦しくなるのよ。終わった恋なのに。
自身の脚を平手で強く叩いた。
赤い鳥居を潜った
北里 雅樹
は行列の最後尾に付けた。苦々しい思いが心の深いところから、じわじわと染み出してきた。
――アイツとの関係は過去の話だ。一時の感情で乱れたこともあったが、それもあって二人で終局に向けて加速させた。
鮮烈な体験だ。しばらくは記憶に残るだろう。だが、いずれは忘れる。京都は遠い。関係は完全に途絶えるはずだ。
ゆっくりとした歩みに雅樹の目が険しくなる。
――苛立っても仕方がない。賽銭を投げ込んで一眠りすれば気も晴れる。まずは大学に通ることを考えればいい。それだけでいいんだ。
出そうになる舌打ちは口を閉じて堪えた。
ようやく出番が回ってきた。コートのポケットに手を入れた。掌に置いた五円玉を強く握り締めて投げ付けるようにして入れた。
作法を無視して手を合わせる。
――大学に通りますように。
終わると強引に人波から抜け出した。収まらない気持ちが鼻筋に皺を作った。
「……何なんだよ」
暴発寸前の怒りを抱え込んだ状態で人気のないところに足早に向かう。
長い行列に溜息が漏れた。
椎井 莉鳥
は伏し目となって列に加わる。耐え忍ぶような顔で順番を待った。
ようやく視界が開けた。莉鳥は用意した五百円玉を賽銭として入れた。二礼二拍手を行い、少し迷うような表情で手を合わせた。
――神様にこんな、お願いはどうかと思うですが……私に雅樹のことを忘れさせてくれませんか?
最後に深々と一礼した。少しすっきりした顔となり、莉鳥は横手に移動を始めた。人波を抜けたものの、頬が少し赤らんでいる。
「……熱いわ」
自ずと寂しげなところに目がいく。
コートの人物を見て表情が厳しくなる。雅樹が地面にある何かを蹴っていた。その荒々しさに足が動く。
莉鳥の姿に気付いていない様子で雅樹は遂に感情を爆発させた。
「まだ、アイツのことが好きなのか、俺は? 勘弁してくれよ!」
莉鳥は目を見開いた。浮かんだ笑みを苦々しい表情で塗り潰す。そして、わざと足音を立てて言い放った。
「それは私の台詞よ」
雅樹は怒りに染まる顔を向けた。
「なんで、ここにいるんだよ!」
「神社にきて何が悪いのよ! そっちこそ、恥ずかしいことを叫んで何がしたいのよ!」
「お前のせいだろ。あんなことを言わなければ、俺はこんなに苦しむことはなかった……」
膨れ上がる感情で雅樹の声が震える。
莉鳥の目が僅かに吊り上がった。
「自分だけが苦しいと思わないで! 雅樹に、私の何がわかるのよ!」
「ああ、そうだよ! 俺はお前が何を考えているかわからない……そのくせに俺の心に近づいてきて、もう鬱陶しいんだよ!」
「え」
莉鳥の表情が消えた。片方の目が潤んで大粒の涙が零れた。膝が不自然に揺れてその場にへたり込む。がっくりと首が折れて一部の地面が濡れた。
「あ……ああ、う……っく……う……っ……うう……っ、あ……あ……うう……」
押し殺そうとしても漏れる泣き声が延々と続く。
雅樹は、ウソだろ? とか細い声で後ずさる。表情には恐怖のようなものが浮かんだ。
「もう、わけわかんねぇよおおおっ!」
もつれる足で雅樹は逃げ出す。その目には涙が滲んでいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
41人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月14日
参加申し込みの期限
2020年06月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年06月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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