- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
携帯戦記カプセルギア マスター・ワンを討て
【こども部屋（１）】
Child room……『こども部屋』。そんな名前の部屋が唐突に現れたもので、みんなは思わず顔を見合わせました。
「社内託児所、のようなものか？」
「それにしちゃあ、開発フロアの奥の奥ッスよここ。ちょい不自然ッスよねえ」
SHOのつぶやきへ、キリコが返した言葉ももっともです。
マシン・ラットたちに見送られ、携帯バトルフィールドの実験室のさらに奥へ踏み込み、進んできました。このあたりはどうやら、カプセルギア関連の研究開発室が集合する、一般社員には明らかにされていないエリアのようです。
「面白いものがいっぱい撮れたよぉ」
とほくほく顔は、りゅーき。
カプギアのラズちゃんが手にしているのは、瑠樹の私物である子ども用カメラを、３Ｄプリンターで再現したものです。
『残念ながら、ユグドラシルの悪事を暴く証拠になりそうなものは無かったけど、今後の役に立ちそうなものはいくつか見つかったな。ぼくのほうでも解析してみよう』
「よろしくねぇ」
そうしてたどり着いた先が、このこども部屋でした。
『ぼくの調べた限りでは、マスター・ワンはここにあるはずだ。可愛らしい名前だけど、なにがあるか分からない。みんな、気を付けてくれ！』
「ＯＫ。開けてみましょ」
AOIがDiablo Azulを扉脇の認証システムへ近づけると、洋子がDiablo Azulを介してロックを解除します。
ぱしゅ、と乾いた空気音。スライド式の扉が、ゆっくりと、焦らすように開いていきます。
そして。
『なんだ……？ 女の子？』
そこには、白髪をした儚げな女の子が、ぼんやりと佇んでおりました。
無機質。そうとしか言いようのない、ただただ広いだけの真っ白い空間。あるものといえば、パイプ椅子と金属のテーブルが一組と、壁のラックに、
「……ボナパルト……」
MAKIYUKIの呆けた声。
マスター・ワン。つまりそこへ飾られているいくつかのカプギアたちの中の一体こそが、彼の探し続けてきたものなのでしょう。確かに外見はどこか、ボナパルト２に似ています。
拙い塗装はところどころに剥げ落ち、汚れていて、パーツはひび割れだらけ。一体どんな扱いを受けたものか、ぼろぼろの壊れかけといった様相です。
MADOKAとMASHIROは揃って首を傾げます。
「この子がボナパルトを盗んだ……ってわけじゃ、ないよねえ」
「ボナパルトを守ってるとか？ あの子も休日なのに狩りだされて大変だなぁ」
「というか」
横から口を挟んだのは、マンモス。
「ひょっとして、ここに住んでやがるんじゃねーですか？」
くり、と今さらながらにこちらを向いた女の子。侵入者であるカプギアたちを見据えるその瞳には、いかなる感情も見えません。
『うっ……まずいぞ、こいつは！』
洋子の声はどこか、うめきにも聞こえました。
『資料を漁ってみた。クー、と呼ばれてるらしい。本名や国籍は不明。分かるのは、こいつがギアマスターで、カプギア破壊配信事件の時に寝子島へ現れたことがあるってことだけだ』
カプセルギアを使い、暴力的なバトルを配信することでオトナたちに警戒感を抱かせ、愛光堂のカプセルトイの信頼を失墜させ、その後釜を狙う。ユグドラシルのそんな企みは、ギアマスターたちの活躍によって阻まれました。
その折に、この少女……クーはギアマスターたちの前に立ちはだかり、圧倒的な力を見せつけたのです。
『気を付けろ！ こいつは、カプギアを三体同時に操るんだ。本来、そんな複雑な制御は不可能なはずなのに……ぶつぶつぶつ』
「雪人くん」
技術的疑念をぶつくさと言い始めた洋子をよそに、MAKIYUKIへ尋ねたのは、凜太郎です。
「僕たちは、マスター・ワンを破壊するためにここへ来た。君の要請を受けてね。本当に破壊してしまっていいのかい？」
「…………」
ベレロフォンの隣には、もちろんトライアルβの姿もあります。
みんなのカプギアが、MAKIYUKIの願いに答えるという形で、ここへ集まっています。
「君が本当にその気なら、僕らは全力で力を貸そう」
「リンタロウが、やるなら……私も、やる」
「あたしも手伝うわよ！ もちろん、MAKIYUKIちゃんが本当に望むなら、だけどね」
エクリプスも、くろナオちゃんも、彼の意思に沿うつもりです。そのために、ここまで来たのですから。
しばしの沈黙。きっと葛藤は小さくないことでしょう。
それでも彼は、確固たる決意を口にしました。
「マスター・ワンは、破壊する。これ以上ユグドラシルに、あいつを利用させやしない」
かたん、と音を立てて、クーが立ち上がります。
「……朱雀。玄武。白虎。スタンバイ」
腕時計型デバイスへ指示を飛ばせば、壁のラックに置かれたカプギアたちのうち、３機のカメラアイに光が灯り、動き出します。どうやら侵入者を迎え撃つつもりのようです。
「今……解放するから」
悲壮がにじむMAKIYUKIの言葉で、最後のバトルの幕が上がりました。
Child room……『こども部屋』。そんな名前の部屋が唐突に現れたもので、みんなは思わず顔を見合わせました。
「社内託児所、のようなものか？」
「それにしちゃあ、開発フロアの奥の奥ッスよここ。ちょい不自然ッスよねえ」
SHOのつぶやきへ、キリコが返した言葉ももっともです。
マシン・ラットたちに見送られ、携帯バトルフィールドの実験室のさらに奥へ踏み込み、進んできました。このあたりはどうやら、カプセルギア関連の研究開発室が集合する、一般社員には明らかにされていないエリアのようです。
「面白いものがいっぱい撮れたよぉ」
とほくほく顔は、りゅーき。
カプギアのラズちゃんが手にしているのは、瑠樹の私物である子ども用カメラを、３Ｄプリンターで再現したものです。
『残念ながら、ユグドラシルの悪事を暴く証拠になりそうなものは無かったけど、今後の役に立ちそうなものはいくつか見つかったな。ぼくのほうでも解析してみよう』
「よろしくねぇ」
そうしてたどり着いた先が、このこども部屋でした。
『ぼくの調べた限りでは、マスター・ワンはここにあるはずだ。可愛らしい名前だけど、なにがあるか分からない。みんな、気を付けてくれ！』
「ＯＫ。開けてみましょ」
AOIがDiablo Azulを扉脇の認証システムへ近づけると、洋子がDiablo Azulを介してロックを解除します。
ぱしゅ、と乾いた空気音。スライド式の扉が、ゆっくりと、焦らすように開いていきます。
そして。
『なんだ……？ 女の子？』
そこには、白髪をした儚げな女の子が、ぼんやりと佇んでおりました。
無機質。そうとしか言いようのない、ただただ広いだけの真っ白い空間。あるものといえば、パイプ椅子と金属のテーブルが一組と、壁のラックに、
「……ボナパルト……」
MAKIYUKIの呆けた声。
マスター・ワン。つまりそこへ飾られているいくつかのカプギアたちの中の一体こそが、彼の探し続けてきたものなのでしょう。確かに外見はどこか、ボナパルト２に似ています。
拙い塗装はところどころに剥げ落ち、汚れていて、パーツはひび割れだらけ。一体どんな扱いを受けたものか、ぼろぼろの壊れかけといった様相です。
MADOKAとMASHIROは揃って首を傾げます。
「この子がボナパルトを盗んだ……ってわけじゃ、ないよねえ」
「ボナパルトを守ってるとか？ あの子も休日なのに狩りだされて大変だなぁ」
「というか」
横から口を挟んだのは、マンモス。
「ひょっとして、ここに住んでやがるんじゃねーですか？」
くり、と今さらながらにこちらを向いた女の子。侵入者であるカプギアたちを見据えるその瞳には、いかなる感情も見えません。
『うっ……まずいぞ、こいつは！』
洋子の声はどこか、うめきにも聞こえました。
『資料を漁ってみた。クー、と呼ばれてるらしい。本名や国籍は不明。分かるのは、こいつがギアマスターで、カプギア破壊配信事件の時に寝子島へ現れたことがあるってことだけだ』
カプセルギアを使い、暴力的なバトルを配信することでオトナたちに警戒感を抱かせ、愛光堂のカプセルトイの信頼を失墜させ、その後釜を狙う。ユグドラシルのそんな企みは、ギアマスターたちの活躍によって阻まれました。
その折に、この少女……クーはギアマスターたちの前に立ちはだかり、圧倒的な力を見せつけたのです。
『気を付けろ！ こいつは、カプギアを三体同時に操るんだ。本来、そんな複雑な制御は不可能なはずなのに……ぶつぶつぶつ』
「雪人くん」
技術的疑念をぶつくさと言い始めた洋子をよそに、MAKIYUKIへ尋ねたのは、凜太郎です。
「僕たちは、マスター・ワンを破壊するためにここへ来た。君の要請を受けてね。本当に破壊してしまっていいのかい？」
「…………」
ベレロフォンの隣には、もちろんトライアルβの姿もあります。
みんなのカプギアが、MAKIYUKIの願いに答えるという形で、ここへ集まっています。
「君が本当にその気なら、僕らは全力で力を貸そう」
「リンタロウが、やるなら……私も、やる」
「あたしも手伝うわよ！ もちろん、MAKIYUKIちゃんが本当に望むなら、だけどね」
エクリプスも、くろナオちゃんも、彼の意思に沿うつもりです。そのために、ここまで来たのですから。
しばしの沈黙。きっと葛藤は小さくないことでしょう。
それでも彼は、確固たる決意を口にしました。
「マスター・ワンは、破壊する。これ以上ユグドラシルに、あいつを利用させやしない」
かたん、と音を立てて、クーが立ち上がります。
「……朱雀。玄武。白虎。スタンバイ」
腕時計型デバイスへ指示を飛ばせば、壁のラックに置かれたカプギアたちのうち、３機のカメラアイに光が灯り、動き出します。どうやら侵入者を迎え撃つつもりのようです。
「今……解放するから」
悲壮がにじむMAKIYUKIの言葉で、最後のバトルの幕が上がりました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2020年02月10日
- 参加申し込みの期限
-
- 2020年02月17日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2020年02月17日 11時00分
