某日。海堂 洋子宅にて。
「あの、MAKIYUKI……? れ、冷静に! 冷静にな? 妙な気を起こすんじゃないぞ、な?」
暗い部屋にぼんやりと灯るモニターの光。
そこに照らされた少年の表情は、いつになく張りつめて見えました。
「…………見つけた」
数日後。シーサイドタウン。
とあるゲームセンターにて……広い面積になかなか設備も充実しつつ、かつ裏通りにあるためちょっぴり閑古鳥が鳴く、そんな穴場のアミューズメント施設です。
ピコピコと賑やかな喧噪の中。
その日は少しばかり似つかわしくないお客の集まりが、店内に顔を揃えておりました。
「いったい、なにが始まるッスか?」
興味津々な
古尾 桐子を始め、その場に集められた人々の多くは、手練れのギアマスターたちです。
「じゃ、作戦。説明するよ」
牧 雪人が脈絡もなく、唐突に呼びかけたので、みんなはざわつき始めます。
雪人がぽん、と叩いたのは、『
カプセルギア・アーケード』の卵型の筐体です。
手持ちのカプセルギアのデータを読み込むことで、まるで自分のカプギアをコクピットで操縦しているような感覚を味わうことができる、すんごいVRゲームなのです。
リアルな震動や送風機を内蔵していて、その乗り心地はまさに本物志向でありました。
みんなの戸惑いもよそに、雪人は淡々と説明します。
「洋子がシステムの一部をハックした。
ユグドラシルのね。今、ここにある筐体は全て、その本社ビルに繋がってる」
「まったく、苦労したよ。ぼくの能力をもってしても、ユグドラシルのセキュリティには手を焼かされて……じゃなくて、MAKIYUKI! やっぱりまずいぞ、こんなことがバレたら……ていうかバレるだろ! それに筐体に細工までして、お店の人だっていつかは気付くぞ!?」
「黙って、洋子」
落ち着かない様子の洋子は、雪人にぴしゃりと言われて、すみっこに縮こまってしまいました。
「僕らはこの筐体を使って、ユグドラシルへ入り込む」
みんなは首を傾げました。
きっとほとんどの人は聞いたことがあるはずです。ユグドラシルは世界的に名を知られた大企業であり、本社だって海外にあります。
以前にその社員や関係者たちが寝子島へとやってきて、大規模なカプセルギアの暴走事件や破壊行動を起こしたことは、ギアマスターなら記憶に新しいことでしょう。
そんなところへ、入り込む……とは、どういうことでしょうか?
「つまり、こうさ。
筐体にアップロードしたカプセルギアのデータを、ユグドラシル本社ビル内の3Dプリンターで再現し、ここから遠隔操縦して侵入するってワケ」
…………???
「ちょちょちょ、ちょっと待って欲しいッス!」
みんなを代表して、桐子がぴしっと手を上げました。雪人を放っておくと、誰の理解も同意も得ないまま、どんどん事態が進行してしまいそうです。
桐子には彼がどこか、いつもの無表情ながらに、どこか焦っているようにも思えました。
「ユグドラシルに潜入って、なんでそんなことするんッスか? 目的はなんなんッスか?」
「……あるカプセルギアを、破壊してほしい」
桐子はこくりと首を傾けます。
「あれが奪われてから、洋子にずっと探してもらってて……やっと。やっと、居場所を特定したんだ」
なんだか彼が、泣きそうに見えたので。
「愛光堂が生み出した、
最初のカプセルギア。コードネームは『
マスター・ワン』。でも、僕はこう呼んでたんだ…………『
ボナパルト』、ってさ」
彼はその後、しばらくうつむいて黙りこくった後に、ひと言だけぽつり……力、貸してよ。と言いました。
カプギアを破壊? 『マスター・ワン』?
「なんだか、よくわかんないッスけど……」
桐子は、ぐ、と握りこぶし。
友だちが困っているなら、協力しなきゃ! そんなふうに思ったのかもしれません。
「やるっきゃないッスね!」
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
古尾 桐子さん、ガイドにご登場いただきましてありがとうございます!
ガイドはあくまでイメージですので、全く別のアクションでも大丈夫です。自由な発想でどうぞ~。
『カプセルギア』とは?
『携帯戦記カプセルギア』とは、頭や腕、足などを組み替えてカスタマイズできる、
全高10cm程度の小さなロボットのこと!
スマートフォンにインストールした専用アプリで、ラジコンのように自由に動かすことができます。
詳しくは、以下の『カプセルギアとは』をご覧ください。
→ 『携帯戦記カプセルギアとは』
概要
このシナリオには、小中学生、高校生や社会人など、誰でもご参加いただけます。
牧 雪人の呼びかけに応じて、とあるゲームセンターを訪れたあなた。
あるいは、たまたまゲームセンターに居合わせたり、ちょっと強引に誘われてしまったあなた。
彼は皆さんに、とある作戦への協力を要請します。
それは、『携帯戦記カプセルギア・アーケード』の大型体感筐体を利用した、
遠隔操縦によるユグドラシルへの潜入作戦!
海外にあるユグドラシル社内の3Dプリンターで、皆さんのカプセルギアのコピーを再現し、
ゲームセンターの筐体を通じて操ることで、寝子島にいながらにして侵入するというのです。
目的は、『マスター・ワン』と呼ばれるカプセルギアを破壊すること。
どうやら雪人は、この機体のことを良く知っているようですが……?
ユグドラシル内部の最新技術で再現されたあなたのカプセルギアの装備は、
現実的に効果を発揮する兵装となり、物体を破壊することもできるでしょう。
ただし、ユグドラシル社屋内には、数々の危険が待ち受けています。
セキュリティシステムは侵入者を排除しようと襲ってきますし、
社員に気づかれれば直接追手が差し向けられることになります。
雪人の頼みに応じて、作戦を遂行するのか?
それとも……?
アクション
以下の【1】~【3】から、主に描写してほしいスポットを1つ選び、
アクションにお書きください。
ちなみに、作戦当日のユグドラシル社内は休日で、人の姿はあまり見られません。
ただし、完全な無人ではないようです。
また、天井のあちこちには監視カメラが配置されています。
部屋には、ユグドラシル商品の中でも評価が高い時計製品の試作品や、各種資材などが並んでいます。
<エネミー>
○テーザータレットx16
ショックビームを発射して侵入者を麻痺させる、小型の自動砲台です。
動くものを感知し、自動的に攻撃を行います。
複数のタレットが連携することでテーザーネットを展開し、移動する標的を絡め取る機能も持ちます。
並んだデスクの上には、文房具や資料の束、ファイル、パソコン、キャラクターフィギュアなどなど、
様々な障害物があります。
<エネミー>
○巡回ドローンx4
宙に浮かびながら移動し、社内をくまなく監視するドローンです。
対人用の機銃を搭載しており、攻撃を受けてしまえばひとたまりもありません。
また、チャフロケットを内蔵し、誘導型武器のホーミングを無効化します。
一部の試作品が連続稼働試験中で、部屋の一角は炎を噴き上げるマグマエリアだったり、
反対側は極寒の氷山だったり、その向こうでは重力が反転していたりします。
<エネミー>
○マシン・ラットx無数
フィールドの踏破難度をテストするための、ネズミ型自律ロボット。
遊び好きな性格を設定されているようで、危険な特殊フィールドも彼らにとっては庭のようなものです。
武器などの類は持たないものの非常に俊敏で、カプギアの腕や足など、パーツを奪い取ってしまいます。
こども部屋という名前ではありながら、だだっぴろく無機質な部屋の中には、
おもちゃや愛らしいぬいぐるみや、ゲーム機など、こどもっぽいものはひとつも見当たりません。
ただ、壁のラックにはどこか見覚えのあるようなカプセルギアがぽつんと飾られており、
これが雪人の言う目標であるようです。
<エネミー>
○クー
ユグドラシル社に所属するギアマスターのひとり。感情を表に現さない無表情な少女。
朱雀・玄武・青龍・白虎の四機のカプギアを持ち、そのうち三機までを同時起動することができます。
攻撃の意思は感じられませんが、無理に部屋へ侵入しようとすれば、
カプギアを起動しギアバトルを挑んできます。
※なお、『カプセルギア・アーケード』の操縦は、さながらコクピットに乗り込んだようなリアルさですが、
スマホやケータイ、専用端末での操縦とさほど変わらない感覚で動かすことができるよう作られていますので、
ギアマスターなら問題なく操縦が可能です。
※また、ユグドラシル社内で再現された皆さんのカプセルギアは、役割を果たした後に自壊するため、
敵にデータが渡ることは無いとのことです。
NPC
以下のNPCが参加しています。
・牧 雪人:小学5年生
皆さんといっしょに、ユグドラシルへ潜入します。
表情はいつもの無表情ながら、どこか焦っている様子も?
『ボナパルト2』:素早い動きと精密な狙撃が持ち味のカプギア。
・海堂 洋子:小学5年生
状況をモニタリングし、皆さんをナビゲートしてくれます。
ただし、ゲームセンターの『カプギアアーケード』付近に店員やその他のお客が来た場合、
ごまかしたりやり過ごす間は対応不能となります。
以上になります。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております~!