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ふしぎ超特急『七ッ星』、しゅっぱつしんこー!
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★世界の産声
小さな奇岩の上、芝生に腰を落ち着けた。
弥次郎は、無類の動物好きだ。マニア、偏狂と評してもあながち誤りではあるまい。何しろ、親の転勤で本来のところ地元に残るはずが、猫にまみれた寝子島が行き先であると知り、予定を曲げて着いてきたほどだ。
「よーしよしよし。いい子だなぁお前ら♪」
そんな彼であるから、多く生息しているらしいキツネウサギや、興味を持ってやってきた手乗りゾウといった趣の小動物、堅い甲羅を背負った犬、ピンと伸びた長耳を立てる子豹、それに触覚を持つ白い鳥たちも。この場に顔を見せた動物たちは遍く興味の対象であり、愛でずにはいられない。
とはいえ、今日はそんな彼の迸る熱情も、少々度を越しているように思える。
「ああ、もうっ……可愛いなぁこのやろー! お前らみんな、ウチに連れて帰っちまいたいくらいだ」
ごとん、ごと、と青空が鳴るたび、止め処なく内から湧き上がるようだ。
甲羅犬を膝の上で抱きながら、弥次郎はあの巨大な卵を見据える。
「そんなに楽しみなのか? あれが生まれるのが」
いくら異界とて言語が通ずるはずもないが、動物たちはそれぞれの身体特徴に許された全力の表現で、弥次郎へその喜びを伝える。
あれが何であるのか、無論弥次郎の理解の外だ。しかし動物たちの揺れる尾や軽快に飛び跳ねる様、虹色を宿す明るい吠え声には、確かな歓喜が滲む。よほどに待ち侘びているのだろう、甲羅犬も飛び跳ね弥次郎の周りにぐるぐると円を描き始めた。
あたかも彼らに感応するかのように、弥次郎の心も弾みに弾むのがまた不思議だ。
地球にない生命であるなら、想像もつかない超常力を備えていても疑問を抱く余地はない。ここへ降り立った彼らは、鼓動の主が殻の内に溜めこんだ想いに触れ、心乱されているのかもしれない。弥次郎はこれまでに培ってきた知識と経験、何より柔軟な思考からそう得心した。
「……見てみてえな」
旅人である自分らが、その誕生を目の当たりにすることは叶うだろうか。
いや。何であれ、此方に棲む愛おしい全てが幸福であるならば、弥次郎にはあえて望むこともない。
「ずうっと、元気に暮らせよな。な、お前ら」
手乗りゾウを、甲羅犬を、子豹を、肩に乗る小鳥を弥次郎は抱きすくめる。清廉として揺るぎなき、それは言葉であり願いだった。
「……!」
響き続ける鼓動へ、殻を突く硬質な音が顕著に紛れ始めた、その時に。
世界へ、歌が降りてきた。
両腕を目いっぱいに伸ばした。この世の全てを抱卵するように。
迷いなき想いが増幅され、瑠奈という器をオーバーフローし迸り出たかのようだった。
──揺籃に微睡む君 翼と鈴音に 柔らかく抱かれて
──けれどもすこうし すこうし 飽いたでしょう?
卵。壮大なる奇跡の産物。生命の精髄。世界の核。それが卵だ。
巨きさに意味はなく、卵それそのものにこそ価値を成す。
卵にはこの世の全てを左右する運命と、万象を尽く形作るパワーとエネルギーが秘蔵されている。
卵こそが礎。卵こそが世界の設計図なのだ。
──揺籃を踏み出す君 あえかなりし君
──陽光は瞳眩ませ 路傍の熱にたじろぎ惑う
瑠奈は緑碧の絨毯へ横たわる。
弥次郎が歩み寄り、抱いた子豹を傍らへ下ろした。彼の微笑みに背を押され、子豹は瑠奈の頬をおっかなびっくり舐めあげる。くすぐったさに、瑠奈は身を震わせた。
世界は青空に満たされている。瑠奈を阻む何者をも存在しない。
ただ、紡ぐのみ。
──嵐の海に揉まれる一葉 けれど君 見開いて
──それは時つ風 見えていないだけ
──世がどんなにか 歓喜に満ちているか
──世がどんなにか 待ち焦がれたか
鼓動は世界の陣痛だ。悠遠の空にまで響き渡る。
瑠奈は自らの腹を慎ましくなぞった。いつか自分も、叫ぶだろうか。いつか自分も、抱き締めるだろうか。
歌は伸びやかに広がり、運んでゆく。巨きな巨きな卵がにわかに、身を揺すった。
──揺籃には戻らぬ君 けれど時には 振り向いて
──急がなくていい 風に身を任せ
──温もりを胸に 歩んでいけばいい
──眠るような歩幅で ゆっくりと
「……楽しみだね?」
子豹の顎を指先で弄ってやると、くぐもって心地良さそうな喉音を鳴らした。
瑠奈は卵だ。小さな身体の内には、驚くべき世界が秘められている。
それを余さず他者へ伝えるのは、ひどく骨が折れることだろう。やり方は半ば理解しているし、成功の片鱗だって掴みかけているが、先は長い。波乱万丈も艱難辛苦も立ちふさがり、瑠奈を翻弄するだろう。
恐れはある。少なからずに。
しかし弥次郎は微笑んだ。綾花と珪は柔和に手を振っている。梢と庚も称賛を込め手を叩いた。
「うん」
それだけで、歩んでゆける。声を張ることができる。
「うん……!」
卵が、凛と鳴った。
やがて汽笛の報せが届く。
コンパートメントは晴れ晴れしい快活で満ちていた。誰もが天空世界の青に過ぎる青空を堪能したのだろう。
すぐにも走り出した列車の進む先にてレールが途切れ、『七ッ星』は再び次元の彼方へと昇ってゆく。
その時だ。
格段に巨大な脈動が全てを震わせ、直後に乾いた破裂音と、窓の向こうに光の粒子が弾けた。
卵だ。今まさしく、孵るのだ。
乗客たちは慌てて窓に張り付いた。
青白の殻へ地走りのように閃光が走り、頂点から緩々として、光糸へ解けてゆく。鳥たちは騒ぎ立て螺旋を描き、動物らは興奮の遠吠えを高く響かせ、これでもかと祝福を叫ぶ。
光糸が宙へ溶け消えゆくにつれ、露わとなった殻の内から、射るような光条が走り抜けた。
そうして七ッ星は、天の揺籃を去った。
結局乗客らに、生まれ来る赤子の姿を目の当たりにすることは叶わなかった。
故に彼らが捧げたのは、届かぬ祝いの詞ではなく、祈りだった。
──君に幸あれ
と。
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3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
57人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年06月22日
参加申し込みの期限
2019年06月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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