this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
ふしぎ超特急『七ッ星』、しゅっぱつしんこー!
<< もどる
1
…
24
25
26
27
28
…
31
つぎへ >>
★卵
「……なんでしょー、あれ?」
生物部にて部長を務める梢の興味は、もっぱらこの天上世界に息づく生き物たちに向いている。
生命は得てして綿々たる時の中、とこしえに継承を重ね、環境と生態に即した進化を遂げてゆくものだ。
「だとしたら……」
「どんだけでけえ鳥が入ってんだ、ありゃ」
空の主が、中空に零した涙。青白模様の巨大な物体は、そんな形容を庚に想わせた。
巨大などと陳腐に表現するもはばかられる、圧倒的な存在感。例えば城。あるいは街。山さえも丸ごと収められそうな、それは途方もなく巨きな卵であった。卵は驚くほど頼りない縦に狭長な石柱の上、揺らぎもせず鎮座している。石柱がどこから伸びているのか、空の底面はちらとも覗けない。
そこに秘められた生命を、空気の脈動に伝え聞く。時折、啄木鳥が大樹に穴を穿つような甲高く乾いた音が響く。音は二人の脳裏へ、内側から殻を破らんと健気な試みを繰り返す雛鳥を描かせた。
間もなく、飛び立つのだろうか。この天球めいた空へ、解き放たれるのだろうか。
「あ! 見てください、あれ!」
「うおっ。すげえ数だなこりゃ」
見上げた梢が示したのは、白い奔流。鳥たちだ。天を流れる清流がごとく、おびただしく群れながら飛んでゆく。向かう先は、あの卵だろうか。
「なんか、この世界の主? みたいなのなんでしょーかねー。誕生をお祝いしにいくのかも」
梢の詩的な言説はいかにもリアリストな彼女に似つかわしくなく思えたが、庚はお返しの軽口を噤んだ。その横顔からいつもの斜に構えた皮肉は読み取れなかったし、不意に、見入ってしまったから。
「ん? 如月君?」
「ああ……確かにな。あんなのから生まれてくるガキは、そりゃあタダモンじゃねえだろうよ」
三つ編みが風に揺れ、鳥たちの羽ばたきが彼女を演出した。傍らに眺める梢の真摯な眼差しは、庚をにわかに落ち着かなくさせた。
とはいえ一方の梢も、実のところどこかいたたまれなさを覚えている。
「鳥たちだけじゃないみたいですねー。動物たちもほら、あれ」
「ああ。見守っていやがるぜ」
いささか粗野ではあれ、庚は精悍な好青年だ。顔立ちも端正な部類であるし、何より相棒として過ごしてきた時間は、梢にとって彼を浅からぬ存在と仕立て上げていた。
青ざめた空は明るく、吹き抜ける風がなびかせる彼の髪を、梢は好ましく見つめた。
空の脈動が、胸に響く。
「なあ、屋敷野。俺たち……」
「ねえ、如月君。私たちって」
語弊を恐れず評するなら、二人の魂は結びついている。それも固く。縁や定めに導かれて出会い、共に退けた困難が彼らを近しくさせた。それでいてぴたりと寄り添うことなく、二人の間へ横たわる距離感は彼らに特有のものだ。
図らずも、見つめ合う。視線が離れがたく絡み合う。空気を伝う鼓動に背を押されるかのように。
「……く、く」
「ふふっ」
向かい合い、解けるように笑んだ。
「なあ、俺たちってよ」
「そーですねー。ヘンですかねー、私たちって」
「かもなァ。けど」
障りはないのだ。結局のところ、絶妙であるのだ。
在るがまま、それが心地良かった。革新的な変化を二人に持ち込む必要はないのかもしれない。
「ま、ナンだ。あれだ。ほらよ」
「はいはい、分かってますよー如月君」
「おう。そういうこった」
これからもよろしくなどと、野暮ったい弁は必要ない。それが彼らのやり方だから。
純白の清流が、眼前を泳いでゆくのを見送った。
波紋のように天を震わせながら、卵は産声上げるその時を待っている。
地殻を持たないらしいこの世界は、重力が小さいようだ。キツネウサギが軽々と島から島へ大ジャンプを敢行するのを目にして、綾花はそれに気付いた。
「……跳んでみませんか、珪先生!」
「え?」
やけに昂揚している自分に、綾花自身も気づいてはいた。それでいて止まれない自分を発見してもいた。
こんなことを言って、子どもっぽいって思われないかな。呆れられちゃわないかな。気になりはしたが、焚きつけられるように言わずにおれなかった。
真芯まで震わすような、空気を伝わり聞こえるこの鼓動のせいだろうか。
「うん、いいよ。でも、気をつけてね」
「はい!」
珪もまた、熱に浮かされているのかもしれない。力強い首肯に綾花は、手を差し出す。淀みなく繋がった。
機を揃え、小さく膝を折る。
地を蹴り出した瞬間、二人の身体は翼を打ったように舞っていた。
「……! す、すごい! すごいです、珪先生!」
「お、思った以上に高いね……!」
僅かな恐怖心を、彼と共に空を駆ける快感が払拭した。
鳥たちが群れ成して二人の周りを巡る。近しき仲間へ礼を尽くすかのように、彼らへ歌を贈った。
深いインディゴライトの空の真っただ中に、天地を貫く巨大な卵が佇んでいる。二人はそれに見入った。
渦巻く雲が中心へ向かって収束し、いくつもの尾を形作っている。卵は悠然と構え、絶え間なく一定の律動を奏で続けている。
「困ったね」
眉を寄せ、憂いもない涼やかな笑みで、彼は言う。
「あれほどたくさんの本や物語に触れてきたのに。この風景をなんて言い表したらいいのか、分からないんだよ」
なぜだろう。風を受け共に舞う傍らの彼へ、綾花は膨れ上がる想いを止められない。
響く鼓動が、綾花の冷静をかき乱しているのかもしれない。
「っと、綾辻さん?」
「あの、少し怖いので……こうさせてください」
今にも喉を滑り出しそうな儚い言の葉を飲み込んで、綾花はせめてもと彼の腕へ柔らかく飛び込み、その胸へ額を預けた。
青空への滞在はほんの十数秒であったが、綾花の胸に灯った熱は、爽やかな風にもしばし冷めてはくれなかった。
<< もどる
1
…
24
25
26
27
28
…
31
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
ふしぎ超特急『七ッ星』、しゅっぱつしんこー!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
笈地 行
桂木京介
KAN
黒羽カラス
墨谷幽
巴めろ
シナリオタイプ(らっポ)
グリーンシナリオ(0)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
57人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年06月22日
参加申し込みの期限
2019年06月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!