ふしぎ超特急『七ッ星』、しゅっぱつしんこー！｜リアクション

ふしぎ超特急『七ッ星』、しゅっぱつしんこー！

★みんなでチーズ！

　次の目的地に行く前に、と提案したのは時子だ。
「せっかくですので記念撮影をしません？　『七ッ星』の前で」
「写真！？　やろうやろう♪」
　萌はもうノリノリで、さっきの百貨店から謎ウェポンを借りると言って走り出す。ユウもつきあわされそうだ。
「……いいんでしょうか、僕なんかが……」
　あやめはもじもじしているが、尚輝が励ました。
「いいと思います。よくお似合いですよ、その服装」
　列車から出てきた乗務員――制服を着た二足歩行する猫だ――が、ふたつ返事で撮影係を引き受けてくれた。
「え……私が真ん中？」
　いいんですか、と言う華露蘿に、いいのいいのとひびきは告げて片手を挙げた。
「いい？　みんな笑顔だよ～。それでポーズ、ポーズねっ」
「……ポ、ポーズですか……」
　とまどい気味の尚輝の手の甲に、からくりの小鳥が止まって翼を休めた。
　これを見て時子は自然な笑みとなる。
　ユウも萌もウェポンを手に戻った。あやめは空を見上げ、華露蘿もならう。
　鳥たちが花を振りまく。
　機関車先頭のプレートに、輝く文字は『ＲＫＭ００７』。
「こういうとき、チーズ、と言うんですよね？」
　チーズ。

　カシャッ、といきたいところだがなかなかそうはいかない。
　大きな箱みたいなカメラの背後、暗幕にこもったまま乗務員はなかなか出てこないのである。
　カメラからはジーッと音がしているが、その音が止む様子はないのであった。
　華露蘿は笑顔のまま思う。
　――まさか写真に限ってテクノロジーは十九世紀基準！？
　そのまさかなのか、ちがうのか。