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シネマカフェ『クランク・イン』
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【残響】
汗と体液のぬるつき。爪痕の痛み。下腹部に疼く微熱の残滓。
それらをまとめて洗い流すよう、
朝鳥 さゆる
は熱いシャワーをじっくりと。伝う雫が肌をなぞり、歳にそぐわず大人びて整った面立ちを、形の良い乳房の頂を、まろみを帯びた腰から臀部、腿への滑らかなラインを滑り落ちていきました。
太陽はとうに頂点を過ぎ、あとは沈みゆくばかりという頃合いです。
いつもと同じようでいて、細やかに異なる目覚め。なんら個性を見い出せない、顔の無い男たちと交わすそれとは似ているようでささやかに違う、彼女との濃密な絡み合い。
蛇の二匹と喩えるにちょうど良いかもしれません。
かた、と扉が鳴り、
「シャワーを浴びるなら、私も誘ってくれたらいいのに」
粘膜の接触を思わせる軟質な声が、さゆるを呼びました。
Maliceはさゆるの返事も待たずバスルームへぬるり入り込み、彼女の肌へすべらかな仕草で手のひらを添えます。昨夜さんざんに貪り合った時のある種傲慢な作法とは異なり、さゆるの身体の核心へは触れぬまま。朝な夕なと擦り合ったあげく、どちらもそれにはいささか飽いていたので。
ぴたりと密着したまま、湯をかぶります。
「ああ、いい気持ち。ねえ、ちょっとお腹空いたわね。そろそろ外に出ない? 優雅にブランチといきましょうよ」
「…………」
Maliceの問いには応えず、さゆるは濡れた髪をかきあげて蛇口をひねり、自分ひとりであるかのようにバスルームを出ます。
淀みなくてきぱきと身支度を整えて、目的もなく家を出ようとすると、
「ねえ、ちょっと待って。さゆる!」
追いかけてきたMaliceがするりと蔦のように腕を絡ませ、さゆるを抱き込みます。Maliceは着飾っていて、頬に貼り付けた笑みは道行く誰もを魅了することでしょう。
無論のこと、さゆるには興味のないことです。
「……ついてくるな」
「まあまあ。どこ入る? なに食べようか」
うっとおしくはありました。すでにMaliceがさゆるの部屋へ入り浸るようになってひと月以上になるものの、心を許した覚えはありません。心を開いたこともありません。
はた目には、20代の美女カップルに見えることでしょう。けれどその本質は常人には理解しかねるほど、複雑精緻です。
この関係はいったい、なんなのだろう?
「あ、ねえねえ。あのお店はどう? ふふふっ」
さゆるをよそに、Maliceは奔放に笑いました。
Maliceがこの肉体を支配して、どれほどの時が経ったことでしょう。
常からMaliceがこうして顕在化しているのならば、
葉利沢 倫理子
は? 彼女の意思は、どこへ?
Maliceには全く、あずかり知らぬことです。
「へえ。さゆるも映画とか見るんだ?」
そんな言葉にはからかいや、半ば悪意すらこもりながらも、さゆるからなんら反応を引き出すことはありません。これまで幾度となく繰り返されたこんなやりとりはもはや、ふたりにとってある種の儀式のようなものです。
訪れたのは、シネマカフェ『クランク・イン』。
「いらっしゃいませ! 二名さまですか?」
「ええ。あら、個室があるの? じゃあそっちでお願いするわ。ね、さゆる?」
「…………」
奥にある2人掛けソファが二脚、L字型に並べられた個室へ通されると、Maliceはあくまで自然にさゆるの隣へ腰を下ろしました。
映画喫茶という珍しい業態のお店はどうやら繁盛しているようで、スタッフたちは忙しくフロアを行き来しています。
「いらっしゃいませ、クランク・インへようこそ! 三名さまですね、お席へご案内します……」
「綾辻さん、忙しくてキッチンが回らなくなってきた。ひと段落したら手伝ってくれ」
「はーい、分かりました! エマさん、フロアはよろしくお願いしますね」
「が、がんばりますーですっ!」
「……騒がしいわね」
さゆるは不機嫌そうに眉を下ろしましたけれど、実のところそこになんら感情がこもってはいないことを、今ではMaliceも知っています。
適当な軽食を注文し、棚に収められている膨大なディスクからさゆるが選んだのは、『タイタニャック』でした。
「へえ……なんだか意外ね。どうしてこの映画を?」
「さあ」
さゆる本人にも、理由は分かっていないのかもしれません。
ともあれふたりは60インチの大画面の中、悲哀の結末に向かう船旅へと出発します。
「ふうん。これがヒロインの婚約者なの? 確かに冴えないのね」
サンドイッチを頬張りながらも、Maliceはつまらなさそうに言葉を垂れ流します。
「この母親も癖者ね。上流階級であることがそんなに大事なのかしら」
さゆるの反応はゼロ。当たり前のごとくに。
けれどその内でさゆるは実に、画面へと見入っていました。魅入られていたとも言えるかもしれません。
ふたりの主人公は、決して結ばれぬ恋に惑います。阻む者らと相対し、時に抗います。
「…………」
ぽつり、言葉が漏れたのは、意識の外。
「え?」
「……藍人……」
もはや終わった関係です。もちろん映画の主人公らとの境遇とて、自分とは著しく異なりました。
激しく、醜く、壮絶で、必死でした。
それでも、重ね合わせずにはいられない。
「藍人……ねえ、どこにいるの……?」
それが言わば、さゆるの負った……業。きっとそうなのでしょう。
無数の幸福を運んでいたはずの豪華客船は氷山との激突を喫し、輝かしい航海は終わりを告げます。
愛する者を小船に残し、暗い海中へ沈んでゆく主人公はまぎれもなく、彼の顔をしていました。
こんなにも『Malice』が揺さぶられたのは、いつぶりのことでしょう。
さゆるはエンドロールの流れる画面に縛り付けられたように微動だにせず、ただ。その双眸より、とめどない涙をこぼします。
「……さゆる」
それが彼女を、どうしようもなくかきたてました。
Maliceはさゆるを知っています。どんな時も感情に左右されない女です。閉ざされた褥を時に繊細に、時に強引なやり口で開いていくのも、楽しみのひとつでした。
Maliceはさゆるを知りません。尋ねたところで答えが響くわけもなく、彼女が誰を愛したか、どんな人物であったのか。彼女がいかに壊れていったのか。知りうる術はありません。
「さゆる」
呼べど揺すれど、彼女はただ、ただ雫を伝わせるのみ。
それがMaliceを爆発させました。鬱屈としたその本質と、潜在意識下に蓄積し続けていた情念。固執。歪んだ嫉妬。
「さゆる!」
気づけば彼女の艶めく唇を、Maliceは激しく貪っていました。強引に割り開き、侵入し、蹂躙していました。
情事のさなかに演ずる唾液の交換とは根本より異なる、これはしごく単純な、あまりにも純粋な、簒奪。
(許せない。さゆる……あなたを盲目にさせる、アイトが許せない)
色のない瞳を覗き込み、背を這い上る獣欲すら抑えつけず、ただただ劫掠の限りを尽くしながら、Maliceは顔も知らない男へ呪詛を吐きかけました。
(奪ってやる。忘れさせてやる。私と居るときだけは、そんな奴のことを……!)
ふたり、溺れるようなキスを、ひたすらに。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月30日
参加申し込みの期限
2019年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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