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海の家『みなとねこ』の一日 《夏本番編》
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九夜山の向こうに太陽が姿を消して、けれど夏の夕暮れはまだ遠い。
青さを残す空を仰ぎつつ、紫は軒先に掛けられた簾をフックで外す。ハイビスカスやジャスミンの造花や色鮮やかな団扇で飾られた簾が傷まないよう縁側にそっと置く。
シャッターを半分閉め、『支度中』の札を入り口に掛けて店内に入る。開店時は客の賑やかな声に紛れてほとんど聞こえていなかったラジオの音が、今はやけに大きく聞こえた。
ラジオの音を小さく絞り、一日分の砂が入り込んだ小上がりや土間の掃除に取り掛かる。
「お疲れさまなのだわ!」
「お疲れさま、海月さん」
シャワー室と風呂場の掃除を終わらせた珊瑚が、汗の滲んだ額を首に掛けたタオルで拭いながら奥から出て来た。どれだけ忙しくても笑顔を絶やさず、どんな客にもにこやかに対応しくるくるとよく働く。ちょっとの失敗は持ち前のポジティブさで愛嬌にさえ変えてしまう。
(好きなものがたくさんあって、それをきちんと楽しめる子、……なのかしら)
心理学の研究者かカウンセラーを目指し木天蓼大学で学ぶ紫は、珊瑚の明るさをそう見る。
「腹減っとらへんか。余りものやけど食べて行き」
「賞味期限の近いものもあるので、食べて行ってくれると助かります」
日暮と智瑜がカウンターにおにぎりやフランクフルトや焼きそばやカットフルーツを並べて笑う。
「わ、嬉しい! お腹ぺっこぺこなのだわ」
珊瑚がぱちんと手を打ち合わせその場でぴょんと跳ねた。片付けの終わった小上がりのテーブルにささやかなまかない料理が並べられると、ごはんの匂いに誘われて、日中ずっと隅で眠っていたこんがもそもそと起きだした。黒猫の珠を小脇に抱え、皆が腰を下ろす卓の端に寝ぼけ眼でちょこんと座る。
「ふふ、おはようなのだわ、こんちゃん!」
海水浴客で賑わう店内でほとんど一日熟睡していたこんに珊瑚は軽やかに笑いかける。こくり、こんはまだ半分眠りながら頷いた。
「おはよございます、珊瑚」
「聞いたのだわ、肝試しをやるのでしょ?」
おにぎりとフランクフルトを小皿に取り分けて渡してやると、こんの黒い眼はぱちりと開いた。智瑜が淹れてくれた冷たいお茶をごくごくと一気に飲み、
「月の下に出る、あおい髪の少年ゆうれい!」
目をきらきらと輝かせる。行く? と誘われ、珊瑚は大きく頷き返す。
「是非私と一緒に遊んで欲しいのだわ!」
正直なところおばけは怖いけれど、
「こんちゃんと一緒なら頼もしいのだわー!」
「いっしょにいこー」
珊瑚とぎゅーっと抱き合うこんの隣、
「私も行きます」
智瑜が正座の膝で寄る。珊瑚と智瑜にサンドイッチ状態でぎゅーっとされ、こんはきゃあと嬉しい悲鳴を上げた。
「私も行くわ」
夜の海に向かう未就学児と女子高生ふたりに、女子大生が加わる。
「すまんなあ、頼めるか」
「よろしくお願いします」
閉店作業の残りを片付けてしまいたい雇われ店長の日暮と夕を店内に残し、まかないでお腹を満たした四人は、いつのまにか月の光に満たされていた砂浜へと繰り出した。
「夜の海も綺麗なのだわ!」
西の空に名残惜し気に残っていた夕陽の光さえ、今はもう月の光に呑まれて消えている。天鵞絨の空には、真珠のような月と、ガーネットやサファイア、トパーズのような星がキラキラと輝いている。
宝石箱の夜空の下には、月の光をさんざめかせてどこまでも広がる海がある。
「うーん、やっぱり海は良いのだわ!」
しみじみと言い、珊瑚は手を繋いだこんを見遣る。繋いだ小さな手を見遣る。あたたかで小さな手の持ち主は、真剣な瞳を油断なく砂浜に巡らせていた。
反対側の手を繋ぐ智瑜も、どこか心配げな切ないような瞳を海に向け、『蒼い髪の少年』を探している。
「……とと」
二人の様子に、珊瑚も水色の瞳を浜辺に向ける。月夜に現れると言う少年は、果たして本当にいるのだろうか。
月夜の浜辺に少年を探す少女たちを後ろから見守りつつ、紫は波打ち際を歩く。
昼間の熱を僅かに残す海風が、水着の肌に残る汗をさらってくれた。黒髪を風になびかせ、白い肌が月に晒されるのも構わず、紫は注意深い視線をこんの小さな背中に向ける。珊瑚と智瑜が手を繋いでいてくれるから心配はいらないとは思うが、万が一砂に足を取られたり急な波にさらわれたりしないとも限らない。
「……あら」
少女たちに注意を向けていて、だから気が付いた。砂浜にぽつり、長い黒髪と漆黒のミニキャミソールドレスの裾を風に遊ばせ、無垢なまでの横顔を持つ少女が立っている。
「こんばんはなのですー」
こちらに白い顔を向け、少女はふわりと笑った。待っていたとでも言うような雰囲気で、まるでずっと前から傍にいたような雰囲気で、共に並んで歩き始める。
「ユニくん、どこ?」
こんと並んでゆっくりと歩いていた智瑜が、ふと小さく誰かの名を呼んだ。知らぬ名を耳にして紫が瞬いた、その次の瞬間。
月の光が揺れる穏やかな波を裸足に遊ばせ、十にも満たぬ年頃の少年がひとり、いつの間にか海に立っていた。咄嗟の言葉を失くす紫にそっと微笑み、少年は気づかず歩いて行こうとする少女たちに声を掛ける。
「――あそぼう」
背後に突如として聞いた幼い声に、珊瑚は足を止める。どなたかしらと振り返って見たのは、海の中に膝までつかって微笑み手を伸ばして来る幽霊。
「っきゃああああ!」
思わず悲鳴をあげる。
(な、な、これが噂のおばけなのかしら!?)
もとい、悲鳴というよりも、
(すごくすごく美少年なのだわ!!)
BLGL、その他諸々のロマンスな創作物に造詣の深い珊瑚の声は歓声に近い。熱帯夜の暑気とは違う熱を帯びた頬を両手で隠す。
「えっめっちゃかわいい……やば……」
うっかり鼻血を噴きそうにまで興奮していることに、心の内が表に声になってしまっていることに思い至って深呼吸する。ぎゅっと口を噤む。
(遊ぶ? 遊ぶって何かしら? そ、そ、そういういかがわしいことなのかしら……!?)
そうしながらも気持ちは昂るばかり。頬を抑えるだけでは足りない気がして珊瑚は鼻を抑えるに至る。見れば、少年は驚いた顔をしている。
「ご、ごめんなさいなのだわ……ビックリさせちゃったかしら……?」
「うん、びっくりした!」
恐る恐る問うた途端、少年は思いがけず闊達な声で笑いだした。
「びっくりしたけど、あはは、見たことない反応だった!」
お腹を抱え、水の中に引っ繰り返り、心底楽しそうに笑う。
「おばけさんこんばんはなのですー。エロはエロなのですー」
波に濡れるのも構わず、エロがぱしゃぱしゃと白い脛まで海に入る。蒼い髪まで水に濡らして笑う少年の傍にしゃがみこむ。
「こんばんは、エロ」
手を伸ばすエロと握手する少年に、
「ユニくん」
智瑜は近づく。跪き、その肩を抱きしめる。
「智瑜」
「元気だった?」
「うん、元気だよ」
蒼い髪の少年は、――
水底の世界
からただ一人寝子島に移り住んだユニは、智瑜を抱きしめ返して頷いた。
海の中でしか生きられぬ身体のユニ少年に、智瑜はこんを紹介する。
「きっと良いお友達になれるよ」
智瑜の言葉に首を傾げた後、ユニはこんを見遣った。しばらくじっと睨みあってから、どちらからともなく手を伸ばして握手をする。
「つめたい手」
「熱い手だ」
こんと一緒にくすくすと笑い合い、ユニは改めてみんなを見た。
「あそぼう!」
「ぜぜぜ、是非一緒に遊ぼうなのだわ!」
屈託のない誘いに、珊瑚は大きく何度も頷き返す。
「一緒に遊ぼうなのですー」
「今日も遊びましょう」
エロと智瑜も躊躇うことなくこくりと顎を引く。
「……姉ちゃんも、行こう?」
断られることを怖じているような少年の言葉の響きに気づき、紫はそっと微笑んだ。ええ、と短く応じる。歩を進め、夜の海に触れる。
太陽の熱を失ったはずの海は、けれど不思議と冷たくはなかった。ちらりと目を瞠る紫に、ユニは得意げに胸を張る。
「おれが居るから」
どういうことかと尋ねるより先、ユニは歓声を上げて海へ走り込んだ。水が腰まで来たところで、大型の魚じみた動作で身を捻り頭から海に飛び込む。噂では幽霊と呼ばれた少年に誘われ、少女たちは月星の光が煌く海へ次々に潜る。
「わ、」
夜の色をしているのかと思っていた海に頭まで沈んだ途端、視界を染め上げた鮮やかな青の色に珊瑚は思わず声を上げて、
「わあ……!」
海の中にも関わらず呼吸が出来ることにもう一度華やいだ声を放つ。唇から零れた空気が真珠みたいな珠になり、弾けながら海面へと上って行く。
ぐるり、視線を巡らせてみる。
真昼の海のように明るい水中を踊るは色鮮やかな魚たち。視界の端をつと走って行くのは丸い甲羅の海亀に悪戯っぽい目をした海豚。真っ白な砂に埋められた海底には目に綾な珊瑚礁。不思議な少年に連れられているからか、夜の海中は彩りに溢れていた。
「可愛いのだわ!」
珊瑚は堪らず目を輝かせる。海豚を真似て泳げば、海豚は嬉しそうにキュウと鳴いた。近寄ってくるなり頬にキスをされ、珊瑚は笑う。
「わわ、くすぐったいのだわ!」
「海の底はきれいなのですー」
ふわり、白砂をドレスの裾じみて舞い上がらせ、エロは水底に爪先をつける。一足蹴って水中に舞い上がり、またふわり、重力を感じさせない動きで着地する。
漆黒のドレスを白砂のラメで彩りふわふわと海底散歩を満喫して、
「蛟さんこんばんはなのです」
辿りついたのは、岩じみて砂底にとぐろを巻く碧い鱗の大蛟のもと。普段は岩の幻を纏っているのだと言うユニに感心した風に頷き、エロは大蛟の隣にちょこんと腰を下ろす。そうしてろっこんを発動させれば、エロの姿は海底遺跡にも似た大蛟よりもずっとずっと大きく大きくなった。
海面から頭が出ないぎりぎりまで大きくなって、エロは大蛟をよいしょと膝の上に乗せる。
「うわー! すっごいなあ!」
「なでなでなのですー」
冷たい蛟を大きな掌でよしよしと撫でる。眠ったまま身じろぎもしない大蛟のその代わり、ユニは照れた顔で水の中でぐるぐると何度もでんぐり返りをした。
「ユニくん」
ぐるぐる回るユニの傍、智瑜はくすくす笑いながら泳いで近づく。寝子島の海にひとりきりなユニのことが心配で、前にも何度か会いに来ていた。会えない日もあった。波打ち際で話をしたこともあった。今回のように海の中に潜ったこともあった。海中散歩は最初はびっくりしたけれど、最近は慣れてもきている。
「智瑜」
ユニは智瑜にぎゅっと抱き着く。ぐるぐる回る動きを止める。
「寂しくないかな?」
「へいき!」
「寝子島には慣れてきたかな?」
「だいぶ。こっちに来るときにも色々聞いたけど、不思議で面白いところだ」
エロの手招きを受け、智瑜とユニは大蛟の背中に腰を下ろす。冷たい鱗を撫でながら、智瑜はユニに島のことをたくさん話す。夏休みのこと、浜辺の海の家のこと、学校のこと。
「知らないことばっかりだ」
智瑜の話に、ユニは楽し気に目を瞠った。
(危険はなさそうね)
海中でのひとときを過ごす少女たちをそっと見守りながら、紫はあたたかな海の中に身体を浮かべる。明るい海のずっと上、鱗のようにゆらゆら揺れる海面をぼんやり眺めていれば、一日の疲れが溶けて行くような、そんな気がした。
「今夜は楽しかったのです」
傾く月の下、エロはふんわり微笑んだ。
「また遊びましょうなのですー」
「またね」
「またねー!」
ひらりと手を振るエロと紫とこんに、夜の海から半身だけを覗かせたユニが手を振り返す。
「また来るからね」
「うん、待ってる」
波打ち際に立ち心配げな表情を見せる智瑜に明るく笑い、ユニは海へと帰った。
「浜辺で見る海とはまた違った素敵な表情の海を見られたのだわ……!」
海に向け、珊瑚が明るい声を響かせる。海中に見た光景を思い出し、ふふ、と顔を綻ばせる。
「忘れられない思い出ができちゃったのだわ!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年02月26日
参加申し込みの期限
2019年03月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年03月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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