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海の家『みなとねこ』の一日 《夏本番編》
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八月の陽は長い。
金色に染まる砂浜を一眺めして、
倉前 七瀬
は身体に籠った熱を吐息に換えた。天頂から随分と傾いても未だ光と熱を残す夏の夕空を仰ぐ。青さを残す水平線の向こうから気だるげな海風が流れて来ている。汗ばんだ額を撫でられながら、さしたる当てもなく海岸線を辿る。
夕方六時を過ぎて、砂浜に人影は少ない。
寝子ヶ浜方面であれば夏休みのこの時期は夜間まで賑わうが、漁港に近い島の東側の海岸は、海水浴場であっても、海の家があっても、夕方には人気の途切れることも多い。
人影もまばらな防風林の小路を歩く。海風に梢を歌わせる樹々の影を選べば、頬を伝う汗はすぐに引いた。
(夕方の海は久々ですね)
真夏のこの時期、昼間の暑さはどうにもかなわない。だから大抵日の落ちる頃に起居している桜花寮を抜け出す。本が読めれば何処に居たって構わないから、正直なところ向かう場所は海でも川でも町でも構わないのだけれど、
(海の散歩、楽しいですよね~)
防風林を抜け、日中の熱を残す砂の上を歩いて波打ち際に出る。引っ掛けて来たサンダルをぽいぽいと脱ぎ、寄せては返す黄昏色の波に爪先を触れさせて歩けば、知らずご機嫌な笑みと鼻歌が零れた。
熱を帯びていた足が波に冷えたら、砂まみれの足をサンダルに突っ込む。潮風を耳やうなじに感じながらぺたぺたと海を離れ、水の寄せないところに腰を下ろす。そうして肩掛け鞄から取り出すのはいつもの通り、何冊かの本。
何冊かを無造作に砂の上に置き、題名に目を走らせながらも内容には無頓着に一冊を選んで表紙を捲る。時折潮風に頁を捲られながら、波の音に耳を撫でられながら、文字を追う。
黄昏の海を前に、文字の海に沈んでゆく。
(……なんだか)
いつもと違う特別な感じがして、七瀬は少し笑った。
一冊めの裏表紙まで読み終え、次の本に手を伸ばす。潮風に白い頬を触られながら、ただひたすらに黙々と本を読む。飽きず文字の海に潜る。
二冊目の最後の一行まで目で辿って、
「……おお!?」
顔を上げた途端、七瀬は思わず声を上げた。いつのまにか、夕方の海が夜の海になっている。
暗い海に伸びる白い光の道をなぞり、知らぬ顔で浮かぶ月に辿りつく。
(どおりで)
最後の方はちょっと文字が読みづらかった。そんなことに今更納得しつつ、本についた砂を払い鞄に仕舞う。寮には門限がある。そろそろ戻った方が良い。
立ち上がり、尻についた砂を払っていて、
「……ううん?」
白々と伸びる月の道の端、波が白く砕ける浜辺に誰かがひっそりと立っているように見えた。
黄昏時の終わり、人もナニカも陽と月の光に溶けて混ざってしまう景色に七瀬は夏草色の瞳を凝らす。
波打ち際のナニカは、幼い少年のかたちをしているようにも見えた。
(僕と同じで散歩でしょうかー?)
夜空よりも蒼い髪を潮風に揺らし波に裸足を洗われる少年の足元の砂に、少年の足跡はひとつも見つけられなかった。まるで今しも海から上がって来たかのよう。
興味を惹かれ、ふわふわとした足取りで海に近づく。
近付く足音を耳にしたか、少年は伏せていた蒼の睫毛をもたげた。蒼とも碧ともつかぬ瞳が七瀬を映す。月光を浴びた白い頬が心底嬉しそうに笑う。
「あそぼう」
ひとことめにそう呼びかけられ、細い手を伸ばされ、七瀬は瞬いた。ちらりと考えるふりをするも、元よりそう深くは考えない性。
「よかですよー」
こくりといっそ無邪気に頷き、少年の手を取る。
「冷たい手ですね」
「……嫌?」
「気持ちよかです」
おっとりと笑えば、少年は照れたように笑い返した。波の寄せる浜辺をふたりで歩き始めようとした、その時。
「――大丈夫っすか?」
不意に声が掛けられた。
夢から覚めたように七瀬は瞬く。潮風に髪を乱しながら声のした方向を見遣る。
「そいつ、生きてませんよ」
月の光に白く染まる砂浜には、黒髪の少年がひとり。声音には笑みを含んでいるものの、熾火の色した瞳には鋭い光を宿し、少年は足早に波打ち際に近寄った。足元が水に濡れるのも構わず、七瀬の手を掴む少年の手を取る。
「この海辺に蒼い髪の少年の幽霊が出るって噂、知らないっすか」
まあ海辺にはよく出ますからねー、と軽い口調で言って、
紗雪 幽
はふと口をつぐむ。
(海の中に連れて行くって、絶対悪い霊だと思ってたんだけど……)
噂の通りであれば害はなさそうでもあったが、『少年』が掌を返さないとは限らない。無難なナニカだと思わせておいて、手頃な犠牲者が見つかれば今だとばかり海に引きずり込んでしまうかもしれない。
そう思っていた。犠牲者が出る前にどうにかした方がいいと。
(けど、……んー?)
触れてみて、直感に近く思った。これは霊ではない。ではないが、生身の人間ともどこか違う気がする。
(生霊? みたいな? うーん……)
こちらを見上げて来る少年の瞳に寂しそうな色が浮かんでいるのに気づき、幽は瞳を和らげた。何者であるのかは分からないけれど、
(悪いやつじゃないっぽい?)
ざざん、と波が寄せて返す。何を考えているのか分からないような顔で佇む七瀬と、警戒すべきか否か迷って難しい顔をする幽を交互に見上げて後、蒼い髪の少年は屈託のない笑みを浮かべた。右手に七瀬の手、左手に幽の手を握り、
「これで良し」
ひとつ大きく頷く。
「行こう。あそぼう!」
夏の朝に家まで誘いに来た友達のような口調で言うなり、ふたりの手を軽く引っ張る。
「俺も?」
「嫌?」
思わず問うて不思議そうに返され、幽は首を横に振る。
「俺も一緒に連れてってよ」
危なくなったら助けよう、と七瀬を見遣る。掴まれているのとは反対の手でズボンのポケットを探る。実家の寺から時々送られてくる除霊グッズのひとつなお札数枚を指先に確かめる。
(……いやでもお札って濡れたら駄目かな……)
ぐいぐいと引っ張られるまま歩き出して、ほどなく腿が水に触れる。少年も腰までが水に浸かる。
「行こ!」
「……お、おお!?」
少年は水を得た魚の動きで海に飛び込んだ。然程力は強くないはずの手で見る間に海中へ引きずり込まれ、動じていなかった七瀬も流石に驚きの声を上げる。
声を上げて気が付いた。
頭の先まで蒼い海の中に沈んでいるのに、息苦しくない。
夜の真っ暗な海のはずなのに、数メートル下の白い海底が見える。ところどころに蹲る岩も、岩の影に隠れる魚も。まるて昼の海に潜っているかのよう。
「すごかです!」
「すげー!」
素直な感嘆の声をあげるふたりに、少年は得意そうに胸を張った。ふたりの手を離し、遊び友達を得た喜びを隠し切れず水中でくるりと宙返りする。
「こうですか?」
少年の身のこなしを真似て七瀬が水中宙返りをしてみせると、少年は手を叩いて笑った。和装にも似てどこか違う衣装の裾をひらひらと金魚のように揺らし、こっちこっちと水の中を泳ぎ回る。
寝ぼけ眼な亀と一緒に泳いだり、南国じみて色鮮やかな魚を観察してみたり。別の世界に迷い込んだのではないかと思えるほどに、水底は色鮮やかだった。
好奇心旺盛な歓声を上げては水中を飛ぶように泳ぎ回る七瀬と少年を目で追いながら、幽はこぽり、と口から空気の珠を吐く。口に海水が触れているのに、苦くも辛くも感じないのが不思議だった。ぺろりと舌を出してみても、海の味は感じられない。逆に微かな甘ささえ感じられる。
水中にあってもゆらゆらと感じられる波を両手で掻き、水底に移動する。そうする間にも、視界の端には必ず七瀬と少年を捉えておく。
(変な真似は……しそうもない、けど)
ふわり、砂を巻き上げて水底に立つ。物珍し気に拠ってくる魚の向こう、巨大な岩が見えた。海中遺跡とも見紛う大きさのそれは、
「あれ、おれの本体」
少年が言うには、ひとのかたちした少年の本性であるらしい。
「見つからないように岩の振りしてるんだ」
でも、と少年は悪戯っぽく笑う。
「兄ちゃんたち、遊んでくれたし。見てて!」
ひらりと水中に泳ぎ、少年は巨大岩の天辺に立つ。途端、黒々とした岩でしかなかったはずのそれは、光を浴びたように鮮やかな青の色を取り戻した。
青い水底にあって尚も蒼いそれは、――蒼い鱗の、大蛟。
「海っていろんなことが起きるけん、楽しかです」
水底から浮かび上がるなり、七瀬は笑った。
「こげん良いところに連れて来てくれて、ありがとうございますー」
「楽しい経験ありがとー」
波に押される格好で岸まで帰る。波打ち際に立つ頃には、不思議なことに髪も服もすっかり乾いていた。
「いやぁ~、最初はどうなることかと思いましたけど」
「っすよねー」
「貴重な体験できて良かったです」
七瀬と幽は小さく笑み交わす。見送ってくれた少年は、しばらくぷかりと波間に頭を覗かせて後、ひらひらと手を振って海へと戻って行った。
「また遊びましょうね~」
寮の門限は大丈夫でしょうか、と思い出したように呟く七瀬の隣、幽はちらりと首を捻る。幽霊ではなかった。生霊でもなさそうだ。どちらかと言えばあれは、
「……妖怪?」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年02月26日
参加申し込みの期限
2019年03月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年03月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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