海の家『みなとねこ』の一日　《夏本番編》｜リアクション

海の家『みなとねこ』の一日　《夏本番編》

「楽しかったー！」
「……ありがとう」
　砂浜に立ち、理緒が大きく手を振っている。紗月が丁寧に頭を下げている。

「今日撮った写真は今度あげるよ」
　デジカメを示し、だからまた会おうと修は笑う。
「しゃしん」
　嬉しそうに笑い返すユニに修は小指を差し出す。不思議そうな顔をするユニに指切りを教え、約束だ、と瞳を細める。
「ありがとう」
　静かに笑うユニに、修と並んだ夏朝が笑顔を向けた。
「こちらこそ……本当に、ありがとう」
「ありがとう、今日は楽しかった」
　立ち去りがたい様子を見せるユニの傍、佑都が立つ。ユニと同じに半身を水につけたまま、どこまでも穏やかな笑顔を浮かべてみせる。
「また遊ぼうね」
「また呼ぶといい」
　佑都の言葉を継ぎ、悠月が頷く。また歌ってくれる？、とユニに請われ、悠月はもう一度頷いた。
「またあそぼーぜぃ」
　またすぐに、いつでも会えると伝えたくて、武道は殊更に軽い口調で言ってみせる。
「海ももちろんいいし、もう少し行動範囲が広がったら、島の案内もするぜぃ！」
　遊んでもらった人々に次々と笑顔を貰い、ユニは寂しさを忘れて笑った。
「うん、……うん！　またね！」
　ひらりと身を翻す。魚のように波の上に跳ねたかと思えば、次の瞬間には海へと姿を消す。
　月夜の海に消えた少年と別れ、人々はそれぞれの帰路につく。
　皆と別れて砂浜をひとり辿りながら、武道は月星の空を見上げた。思い出すのは、海の中から見た月の煌き――

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あとがき

担当マスター：阿瀬春
ファンレターはマスターページから！

お待たせいたしました。
盛夏の海辺でのひととき、お届けに上がりました。

夏の海の匂いや波の感覚、蝉の声や太陽の熱や海の家の雰囲気、それから不思議な海の底の景色など、少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。

ご参加くださいまして、読んでくださいましてありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
それではっ、まだまだ寝子島の夏を楽しんでまいりましょうー！

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