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夜闇にあかく、ほおずき市
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今日は寝子島ほおずき市。
市とは銘打たれているが、出店はほおずきだけに限らず、寝子島神社の敷地を目一杯に使用した的屋から飲食の屋台までが出揃っており、それはもう昼間からの祭りとして、寝子島における大祭の規模を誇っている。
今日は、
吉住 志桜里
とその同居人である
卵城 秘月
はそんな祭りの夜を楽しむ事になっていた、のだが。
「………………」
その始まりと言える家の前にして、志桜里は沈黙した。盛大に言葉を失った。それを見た絶句を隠さなかった。
大きな祭りと言えば、浴衣である。素晴らしきかなこの機会、まず最初にその着物を楽しまずして、何を楽しむというのか。
そんな志桜里はまだ見ぬ露店の数々を思い心勇みながら、黒に近い群青の色合いがとても似合っている浴衣に着替え、先に玄関先で秘月を待っていた。
彼女はどんな浴衣を用意しているのだろう。普段見ることもない為、それだけでも祭りの楽しみは倍増──のはずだった。
「やあ、待たせたかな」
しかし。志桜里の心は、現れた目の前の存在に完全に沈黙した。正確には、後から現れた秘月のその姿に、思考単位で一瞬頭が真っ白になった。
玄関から姿を見せた秘月の格好は──まず、浴衣ではなかったのである。
「なんだい志桜里君?」
不思議そうに秘月が、眼鏡の赤いフレームを持ち上げる。
その姿は、秘月の普段着である着心地の良さそうなラフのシャツに短い丈のパンツスタイル。着慣れた服装である為に、似合っていることには非の打ち所がない。だが、
「なんて風情のない格好してるんですか。夏祭りにラフな洋装で来るとか学生カップルにありがちな面倒臭がり彼氏くらいなものですよ」
そう、風情。そこには志桜里が今日に求めていた風情が割れた宝石の如くザックリと欠けていたのだ。
「風情がない? むしろ祭りだからって毎回浴衣を用意する方が少数派だと思うんだけどね」
思わず半眼ジト目でわさびのような辛口発言をする志桜里と、相手の浴衣に感嘆を示しつつも己については大した問題ではないだろうと判断する秘月の間で、互いの視線が重なり合う。
しかし、今ここにあっても、流れる時間は有限だ。これから秘月に浴衣を、というにはあまりに難しいものがある。
「……最早致し方無しと言ったところでしょうか。
行きますよ。露店巡りです」
そうして気を取り直した志桜里が、くるりと浴衣の裾を翻して歩き出した。
それについていきながら、秘月はその志桜里が着ている浴衣を、先の広がった浴衣から浮かび上がった足のシルエットから、肩からの腕への流れ、腰回りのラインまでじっと眼鏡越しの瞳に留めていた。
(しかし、浴衣という服装から見える肉体のシルエットというのは、普段とは違う肉体の魅力を表現できるね──うんなるほど。これは風情がないと言われても仕方ないのかな?)
歩く志桜里の背中を見ながら秘月は考える。
浴衣は夏だけの特別趣向だ。洋楽やダンスを好み武道を嗜む志桜里の身体は、細身ながらも筋肉で引き締まっているが、浴衣がそれを布越しに柔らかく見せている。
そんな新しい一面を差し出した浴衣に対し、確かに『風情がない』と言うのは無粋であろう──
秘月はそこまで考えて。そして気が付けば、志桜里と一緒に歩いているというには若干の距離が開いていた。
(──浴衣についてはここまで。とりあえず今は祭りを楽しもう)
様々な人と、その肉体についてを一際好ましく思う──同居人にも当然として秘密にしているそれを、心にこっそりと収めながら、秘月は軽く志桜里に追い付く為に足を速めることにした。
「……生きてる、ニャね」
「……ああ、生きているであるワン」
夜、エノコロ岬の高台には──過去に『ねこの王さま』と呼ばれた
シリウス・グラン
と『犬のしょうぐん』と呼ばれた
ようくん・しょうそ
という存在が、星幽塔経由でひとの姿をして立っていた。
その手にはそれぞれ、
綾辻 綾花
から届けられた案内状が。
ニ匹にとっては如何せん初めて降り立つ地、覚悟を決めて来たが、今のところ命に別状はないようだ。
シリウスとようくんは、互いの姿に何かを言うよりも早く、待ち合わせ場所に指定した綾花が訪れると、そちらへの驚きにニ匹、もとい二人は一瞬まじまじと綾花を見つめた。
この世界で初めて目にした『ひとの目に映る、ひとの姿』──いぬねこには、いぬねこなりの可愛さが基準として映るものの、これはこれで新鮮の極み。
「お待たせし……あれ、もしかして人違いでしょうか……?」
綾花の言葉に二人が同時に首を振る。
「い、いや。あっている『ワン』」
「……あまりに見違えて度肝を抜かれただけだから気にしなくていい『ニャ』」
そして、お互いの言葉の語尾に互いが顔を見合わせて、珍妙極まりない顔をした。
「……この姿だ。語尾は無しで」
どちらが先かは不明だったが、『ひとの姿で語尾は付けない』それは直ぐに二人の共有認識になった。
「ほおずき市って、やってるんですよ。案内しますからはぐれないでくださいね」
そう言って、綾花は髪色に金茶の名残があるシリウスの手を取り、ようくんの方へ手を伸ばす。
「……それは」
しかし、ようくんは大嫌いが溢れる眼差しでシリウスを凝視したまま手を取らず。
「……仲良くしてくださいね」
「仕方があるまいな……だが、女子と手を繋ぐのは容赦願いたい……」
「おまえは、こちらが恥ずかしくないとでも思っているのかニャ! 我慢するニャ──語尾が抜けない!」
冒頭からそんな賑やかさを伴って、三人はほおずき市へ向かうことになった。
昼間から夕暮れ時、夜の帳が降りようとしているその時間。
タイラ・トラントゥール
は、あちこちから鋭く、そして眩しく辺りを照らすほおずき市を目に留めた。
偶然、寝子島神社の傍を通り掛かっただけでも、とても賑やかな祭りである事が分かる。
祭りは、掛けがえのないライバルと共に行った記憶が無意識のうちに蘇る。何故か夢としか判断のつきようがない空間ばかりであったけれども、その過ごした時間は大切な思い出となった。
その残滓が心にまだ残っている──無意識に思い出した楽しさを辿るように、いつしかタイラは夜のほおずき市の賑わいへと、ふらりと何とはなしに足を踏み入れていた。
祭りの喧噪が伝わって来る、寝子島神社の鳥居前。
神嶋 征一郎
は、袖をまくって半袖とした、七分丈のセンスが良いメンズブラウスから、先の腕に見える腕時計に目を向けた。
時計は既に、待ち合わせの時間を過ぎている。
切っ掛けは
御庭 凪糸
の征一郎への猛烈なお祭りに行こうアピールだった。
だが、
とある夢との境界線
で出会った凪糸を思うと、征一郎は今でも心の曇りは隠せない。
人間性において、征一郎からみれば凪糸は、出会った時の経緯を伴い、本心に何を考えているのか全く理解のできない人間だ。
しかし、相手の純粋な熱意に負けて、征一郎は今日を付き合うことにした。
そして今、そんな複雑な相手の遅刻である。
連絡も付けずに帰ることを視野に入れ始めた征一郎に、ようやく聞き覚えのある声が掛かった。
「神嶋ちゃん、ごめん!」
「説明も言い訳も受け付けねぇ」
「ごめんってばー……」
少し弱々しく両手を合わせて謝る凪糸を横目に、征一郎はその様子を気に留める事なく歩き始めた。
「あ、あれ……もしかして、帰っちゃう?」
「馬鹿か。行くんだろうが。
誘っておいて帰らせる気か」
「あ……ああ、うん!」
真っ青な不安に傾いた凪糸の声が明るく、そして何故かどこか辿々しく征一郎の後ろに届いた。
(う~ん……これは、本当に不安かも……)
鳥居を潜った先の光景を眼に、凪糸にはその夜店を照らす華やかな光が、虹彩に刺さるように眩しく感じられた。
凪糸が
夏風邪を引いた
のはほんの数日前のこと。
引き始めに比べれば大分良くなった。
しかし、まだ頭は少しぼんやりしているし、低下した判断能力もあまり回復しているようには思えない。
その時点で、先に今前を歩いている征一郎にキャンセルの連絡を入れるべきだったのだろう。
だが、せっかく……せっかく、この相手が了承してくれた機会なのだから。
遅刻こそしてしまったが、その思いに比べれば、このくらいの体調の無理は圧せると思った──そう、思っていたのだ。
「あ~っ、良いお湯だったーっ」
丁度、日が暮れる夕焼け色が『杜の湯』の高い窓から
初瀬川 理緒
の目に見えた。
タオルで隠すようにそれを身体に添えて。更衣室で湯上がりの気持ちよさから片手を上げて、その健康的な肢体を伸びやかに惜しむことなく大きく逸らせる。
「ふふ、理緒ちゃんってば」
女性更衣室で実際に見えないとはいえ、その無邪気さが微笑ましく、一緒に入っていた
佐和崎 紗月
は思わず小さな声と共に理緒へと向けて笑みを作ってみせた。
「理緒ちゃん、夜のほおずき市はどうしようか?」
外は丁度、日が沈む頃。昼間には一通り見終えた後に、こうして汗を流しに銭湯に足を運ぶ暑さだったが、夜ならばそれも少しは落ち着いているかも知れない。
「そうだね……せっかくオフで浴衣が着られる機会だから、次に着られそうな花火大会の前に、もう少しくらい着ていたいかも──あ、そう言えばかき氷食べてない! メロン味!」
「それなら決定ね。かき氷と……夜のほおずき市も、綺麗ってどこかであった気がするから」
そう話し合って、二人は顔を合わせて幸せそうに微笑み合う。
しかし、理緒の表情はすぐに重苦しいものへと変貌を遂げた。両肩に鉛でも乗せたかのように重く俯く。
「来年は大学受験か……うぅ、マネージャーに知られたら、勉強大丈夫なのかって言われそうだけども」
「大丈夫よ。先生だって褒めてたんだもの。成績凄く伸びてるって」
──理緒は決して遠くはない将来に高い壁を抱えている。
寝子高に来た時には、とうに捨てていた選択肢『進学』という壁。
以前は、ただでさえ世情厳しいグラビアアイドルに身を置いて生きていくことに決めていた。その為、成績はいつも低空飛行。そこを、事務所の企画に目を付けられた──名付けてそのまま『偏差値30からの大学受験・不合格ならグラビア引退』──積み重ねた記憶はグラドルを天職として来たのに、そこから与えられた試練の何という理不尽さ。
しかし、そこに紗月という存在があった。
彼女と共に大学に通いたい──その思いは、努力という形を伴い、奇跡と言っても良い程にグラドルと学業の両立を、可能な範囲へ持ち上げようとしている──
「半日だけじゃなくて、一日くらいは息抜きもしなくっちゃ」
「……──うんっ、紗月がそう言うなら遊ばなきゃ損か!」
落ち込み気味に曇っていた理緒の顔が、照り返す太陽のように素敵に明るく輝いた。
そして、お互いが再び自分の浴衣を着付け直していく。
理緒のグラドルとして欠点が何一つないその身体を浴衣で整えれば、透き通った空の水色に牡丹を添えたそれは大きな胸から腰、足までのラインを色っぽく強調して。
そして、最後に長くキューティクルの整った黒髪を結い直せば、そこには周囲の女性も目も引く程の、溢れんばかりの艶やかさを漂わせた理緒の姿があった。
(綺麗……)
自分も着替えなければならないのに──紗月は理緒の『魅せる事に躊躇いのない』妖艶な美しさに目を奪われた。
見た瞬間に胸が高鳴った。昼間よりずっと今、湯上がりの理緒が美しく見えた。
紗月は心まで奪われつつ、理緒に対して勝手に唇が紡ぎ掛けた賛美の言葉を慌てて抑えて飲み込む。
『綺麗』──例えそれが事実であっても、今の理緒には、そんな言葉では足りない何かがあった。言葉にすればそこに収まって色褪せてしまうと思った。
理緒の今の姿は、紗月にとってその言葉で形にするにはあまりにも勿体ないものだったのだ。
一方、先に着替えた理緒は、躊躇いなく紗月の姿をじっと見つめていた。
白の繊細な生地に月下美人の華が咲く浴衣。理緒とはまた異なる質の黒髪をハーフアップに結わえて、そこに小さな白花を飾り添えた、紗月の『清楚可憐』をどこまでも体現した姿は、到底自分では及ぶべくもない。
自分の恋人は、やはりどこまでも、例え何を着ても可愛いのだ。
いつまでも、見ていたかった。
だが、二人ははたと我に返る。これからは夜が、祭りの灯りが、思い出と共にお互いをさらに美しく際立たせてくれることを思い出したのだ。
「それじゃ、行こうか」
「うん」
こうして、二人は『杜の湯』を後にして歩き始めた。
二人の胸の下にはムーンストーンのペンダント。
そしてお互いの耳には、カイヤナイトのノンホールピアス。
──それらは互いの誕生日に贈り合った、秘めやかだけれども確かな絆を伴った、大切な恋人同士の証。
そうして、他に二人といない、互いが恋人である事が誇らしい麗しの浴衣美人が、再び夜のほおずき市に姿を見せた。
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ホラー
バトル
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年02月23日
参加申し込みの期限
2019年03月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年03月02日 11時00分
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