うみねこ新装開店手伝い求む｜リアクション

うみねこ新装開店手伝い求む

●ラストスパート！

　新装開店が近づいてきた頃には新メニューも決まり、うみねこ改装もあともう少しで終わろうとしていた。
　外装は初島優達の頑張りですっかり見栄え良くなり、店内はバリアフリー化を提案した八神修を中心に修繕を。
　店内のテーブルと椅子は宇佐見望月と後木真央が綺麗に修繕。
　小上がりのお座敷にある机は、北原みゆきが下書きした線に沿って修が分解したものを邪衣士が丁寧に紙やすりで表面を削り、ニスを塗って綺麗に。
　海を思わせる店内の壁の絵は、小山内海と旅鴉月詠の力作。
　壁にかけてある流木を模した引っ掛け板には、木の板に天満七星が一筆ずつ丁寧に書いたお品書きと値段がかけられ、各テーブルには恵御納夏朝と海、みゆきと力を合わせて作り直したお品書きが置かれている。

　残るはチラシ作りのみとなったので、月詠は急ピッチで作成する。
　うみねこ新装開店の文字を目立つように大きく書き、新メニューの写真は中央に配置してその下に値段をわかりやすく書いていく。
　右下にデフォルメ化された魚戸夫妻の絵を描き、吹き出しに「うみねこに来ておくれ」と台詞を書く。
　これを大量に印刷すれば、宣伝班が配るチラシの完成。
「チラシができあがったか。ようやく、僕達、宣伝班の活躍する時が来た！」
　出来上がるのを待ってたよ、と喜ぶ新井すばる。
「手伝うからには、俺も頑張るぜ。宣伝班だけじゃ人数足りそうもないから、皆も手伝ってくれ」
　手伝いに来た当初はゆったり頑張るかと思っていたクロウディア・Wだったが、他の皆のやる気に負けられないと張り切っている。
「それじゃあ、皆で協力して配ろう。ここから近い漁港関係者、魚市場が集まってる場所に行こう」

　店内改装が終わり、厨房もレジも使えるようになったので接客班はハルコにレジの使い方、注文の取り方と手っ取り早い運び方を教わる。
「まずは挨拶。大きな声で、元気良くいらっしゃいませ、って言うんだよ。それと、注文は間違えちゃ駄目だよ。お薦め料理は絶対に覚えること。何が良いんだと聞かれたら、すぐに答えるんだ、良いね」
　こりゃ大変だ……と溜息をつく風雲児轟。
「……手製の衣装を持参して……それに着替えたいですが……良いでしょうか……」
　哀坂零葉が遠慮がちに訊ねると、変な服装でなきゃ構わないよとＯＫしてくれた。
（メイドウェイトレスのコスプレ衣装なのですが……着用して良いと言ってっくれたので大丈夫……ですよね……）
　少し不安になる零葉だった。
「レジ打ちって楽しいですね」
　初めてのレジ打ちを楽しむ綾辻綾花。
「当日は忙しくなりそうだから、楽しいなんて言ってられないよ？」
　その様子を見て、総悟が意地悪な笑みでからかうので「そんなこと言わないでください」と泣きそうに。
「ご、ごめん。僕が悪かったよ。開店当日、頑張ろうね」
「はい」

　次の日。
　七海真帆は、学校を早退して魚戸夫妻と銀行に返金手続きの申請に行った。
「お金、返ってくると良いですね」
「こればかりは、結果を待つしかねえわな。そうだろう、母ちゃん」
「そうだね」
　少しでも良いから返金されることを、うみねこに向かい歩きながら願う真帆だった。

　学校が終わるなり、ちくわくんの着ぐるみを着たすばるは道行く人々に声をかけチラシを配っている。
「こんにちはー、おっちゃん景気どう？　うちはおかけさまで大丈夫だよ」
「ああ、そうかい。おっ、うみねこ、いよいよ新装開店か。楽しみだな」
　受け取ったおじさんは、チラシを見て喜んだ。
「開店セール来てよ、皆、連れてさ。美味いのは保証するよー」
「うみねこの飯は美味いからな。期待してるぜ。おやっさんにそう伝えといてくれ」
　おじさんは、うみねこの常連客だった。
「あ、ちくわくんだー」
　学校帰りの小学生の女の子がちくわくんに駆け寄ってきた。
「お、もう学校終わりか？　これ、うみねこ新装開店のチラシ。帰ってお母さんに見せてくれるかい？」
「うん、いいよ。抱っこしてたらね」
「良いよ。一緒に宣伝するかい？」
　それはちょっと……と抱っこされながら遠慮する女の子。
「あら、魚新さんとこのちくわくんじゃない。お店の宣伝？」
「あ、奥さんこんにちは。いえ、今日は別のお店の手伝いです。良いお店なんで、是非いらしてください」
　着ぐるみの中でウィンクするが、奥さんは気づかず。
　ろっこんを使い、白色の装甲の丈夫な二足歩行のロボットに変身したクロウディアは戦隊物っぽく振る舞いチラシ配り。
「ロボットだ、かっこいいー！」
　男の子達が集まってきたので、家の人に宣伝してくれよとチラシを配っていく。

　新メニュー開発班の浮舟久雨、琴村嬢、御鏡聖の料理が得意な３人娘は開店時に出す料理の仕込みを。
「たくさん用意しておいたほうが良いだろうな」
「新井くん達が頑張って宣伝しているんだから、絶対お客さんがたくさん来るって」
「そうだと良いですね。あともうひと踏ん張りしましょう」
　月詠は、ねこったーに宣伝チラシの画像を流して【拡散】してもらうことに。
「新しくなった店舗の画像やアクセス情報を流せば、改装中に食べたものの画像や感想を流してステルスマーケティングできるな」
　チラシだが、学校に頼んで学校掲示板に貼らせてもらったので寝子高生の客も来るだろう。

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