早朝の寝子島漁港。
魚市場は競りで賑わい、漁船からは大漁の魚が降ろされたりと朝から忙しない。
寝子高1年の鳴鏡院 総悟(めいきょういん そうご)は、寝子島探索を兼ねた早朝の散歩をしていた。
長い時間歩いたこともあり、腹が減ったので漁協近くの食堂に立ち寄りそこで早めの朝食を済ませた。
その帰り道、漁港から少し離れた場所にある大衆食堂の前を通りかかった。
大衆食堂の前には、困り果てた表情の年配の夫婦が立っていた。
「あの……どうかしたんですか? 宜しければ、僕にお話を聞かせてくれませんか?」
困っている人を放っておけないと、総悟は夫婦に声をかけた。
話しても良いものかと悩んだ夫婦だったが、誰かに聞いてもらいたそうにポツリと話し出した。
大衆食堂『うみねこ』経営者である魚戸ケンゾウ、ハルコ夫妻は、老朽化に伴い、思い切って食堂を改装することを決めのだが……
「母ちゃんが俺俺詐欺に引っかかちまってよぉ。それで業者が来られなくなっちまったんだよ」
「可愛い孫が交通事故を起こしたっていうからしょうがないじゃないか! 詐欺だとは思わなかったんだよ」
詐欺とはわからず改装費に充てるはずのお金を全額振り込んでしまったため、1ヵ月ほど前に依頼した業者に改装を断る羽目に。
困っている夫婦の力になりたいと、総悟は人手を集めると申し出た。
「坊主、そう簡単に言うな。長年やってきた店だが、こうなっちまったからには閉めるしかねえだろう……」
「長年やってきたお店で、愛着があるんですよね? だったら、何が何でも改装すべきです! 僕もできる限りのことをします!」
総悟と夫婦の側をたまたま通りかかり、話を聞いた赤髪、豊満な胸の少女が「彼の言う通りだよ」と話に割り込んできた。
「夫婦二人三脚でやってきたお店なんだよね? 本当は閉めたくないんでしょう? あたしの家、寿司屋だからお店を愛する2人の気持ちは良くわかるよ」
琴村 嬢と名乗った少女は、自分もできる限りの協力をすると申し出た。
「あなた達の話を聞いて、放っておけないと思ったからね。お2人さん、どうする?」
総悟と嬢の言葉に甘えて手伝ってもらうか、泣く泣く閉店するか迷ったが、夫婦が出した結論は手伝ってもらい、新装開店することだった。
「決まりですね」
「あたしも何人かに声かけてみるよ。うちの寿司屋の客とか、クラスの子とか」
若い者に負けてはいられないと、夫婦も協力者を募ることに。
こうして『うみねこ』新装開店計画が実行されることになった。
カターレです。
皆様には、大衆食堂『うみねこ』新装開店のお手伝いをしていただきます。
●依頼人紹介
魚戸ケンゾウ(75歳)
大衆食堂『うみねこ』店主。
威勢の良い江戸っ子気質の料理人。魚料理が得意。
気さくな親父で、店の常連客達から「おやっさん」と慕われている。
短気なのが玉にキズ。
魚戸ハルコ(71歳)
年齢を感じさせないほどテキパキ動く、元気なふくよかなおばちゃん。
多くの注文を聞き取ることができる耳を持つ。
孫が可愛くて仕方がない。
それ故、俺俺詐欺に引っかかってしまった可哀想な人。
改装期間は1週間。お手伝いの内容は以下の通りです。
●大工仕事
立てつけの悪い開き戸、外壁、内壁、床の修繕、ペンキ塗り等。
工作や日曜大工が得意な方向き。
食堂内外を綺麗にするのが主な仕事です。
●お品書き書き直し
壁に張り付けてあるお品書きは古くなっていますので、新しく書き直すことになります。
それだけでなく、各テーブルに置くメニューも新調します。
●店内飾り付け
テーブルと椅子は古いですが、まだ使用できますのでそのまま使用します。
テーブルクロスを使ったり、花を活けたりして店を飾り付けしてください。
飲食店であることを心がけた飾り付けをお願いします。
●メニュー考案
『うみねこ』は定食がウリの大衆食堂ですが、丼、刺身の盛り合わせといった海の幸メニューも充実しています。
新装開店祝いを兼ねた新メニューの考案もしていただきます。
試作、試食、料理の盛り付け、料理デザイン等が役割です。
値段を考える役割もこちらとなります。
料理が得意な方、盛り付けデザインはお任せ! な方向きです。
●開店セール宣伝
チラシを作り、各地に配ったり大々的に宣伝する役割です。
絵を描いたり、文章を書いたり、セールストークが得意な方向き。
●接客・調理補助
開店時には混雑が予想されます。
そのため、接客はハルコさんだけでは人手が足りません。
ケンゾウさんの補佐として調理、配膳。
ハルコさんの補佐として接客。
裏方として皿洗いが仕事です。
皆様のご協力、お待ちしております。
※俺俺詐欺の犯人を追ったり、捕まえたりすることは内容に含まれていませんのでご注意ください