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月に喚ばれし悪魔の群と、とある落神の願い
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◇◇エノコロ岬
「私も手伝ってあげるよ」
腕に絡みつく蔦をふわり、砂漠の夜風に流し、
アルレッテ・ザメニス
はそっと靴を脱ぐ。冷たい砂を裸足で踏む。音もなく砂漠に降る月の光は、どこまでも清浄に思えた。月の光に心の鎮まるがまま、たとえば彷徨うように月の砂漠を歩き始めて間もなく、白銀の砂の海に一粒、星屑のように金色に光る砂を見つけた。
これがそうかなと手を伸ばし、触れた途端、
「……っ!」
脳裏を、二度と戻ることのない場所の記憶が過った。
星幽塔に迷い込む以前、月の神の神殿に仕えていた頃の記憶に胸を掴まれ、アルレッテは目を伏せる。一呼吸のうちにざわめく心を凪がせる。
腕に絡む蔦を操り籠してその中に砂を納め、再び歩き始めようとして、ばさり、背後に漆黒の翼の羽ばたきを聞いた。
振り返る。翼に傷を得た首無し馬の前には、いつしか翼と化した腕持つ薄紅の髪の少女がひそやかに立っていた。
「お名前を、お聞きしても?」
ペルラ・サナーレ
は柔らかく微笑んで見せる。
「見たままで呼ぶのも失礼かと……」
「バワー」
「バワーさん」
名を呼び、翼と化した手を伸ばす。元より翼を持つ種族にあれど、まさかこの地で別の種族に変化してしまうとは思ってもいなかった。
初めての経験に惑いつつも、ペルラは漆黒の翼を赤黒く汚して垂れる血に恐れげもなく触れる。星幽塔ではないここで、星の力は使えない。バワーの傷を癒すことは叶わない。
肩を落とすペルラの背に、そっと柔らかな掌が触れた。
薄紅の桜花を震わせる枝に変化した左の腕をもたげかけ、
青龍寺 琴理
は艶やかな黒の瞳を困惑の笑みに細める。そうしてから、ひとのかたちを保っている右の腕をバワーへと伸ばす。
「私が治してあげるからじっとしててね」
ろっこんを使えば、翼に負った酷い傷もきっと癒せる。飛べるまで治すには相当の集中を必要とするだろうけれど、それは酷く疲れるだろうけれど、そのときにはオアシスの水を口にしよう。諦めず、自分はどれだけ疲弊してもいいから少しずつでも傷を癒してあげよう。
「否」
けれどバワーは拒絶を示して後退った。悲しく瞳を伏せる琴理に、バワーは足元の光る砂を蹄で示す。
「汝が力、彼の女神の力。感謝、然れども否。否否」
恐れさえ示すバワーの様子に、琴理はそっと頷いた。伏せていた睫毛を上げ、健気に笑う。
「大丈夫よ。じゃあ、砂を集めて来るわね」
「この光の砂を集めれば薬が作れるのですね?」
バワーは繰り返し頷いた。
ろっこんは使わないと前置いて、琴理は優しい手でバワーの頸に触れる。
「痛いよね……すぐ戻るわ。頑張ってね」
奇しくも同じ種族に変化したペルラと琴理は連れだってオアシスを離れ砂漠へ踏み出す。
一面の砂漠を見渡し、ペルラはそっと微笑んだ。懐かしい誰かに呼ばれた気がしたけれど、それが誰であったのか、今の己には判然としない。
「ペルラさん」
琴理に呼ばれ、足を向ける。冷たい砂に膝をついた琴理のもとには、星雲のように光る砂粒が集っていた。
「綺麗な砂ね」
琴理は呟く。触れれば、失った恋の相手の笑顔が何故だか浮かんだ。胸を締め付けるような感情に、琴理はけれどやはり、淡く笑む。
(いい思い出よ)
琴理の掌に乗り切らぬ砂を、ペルラは羽の手ですくい上げる。途端、木々の懐かしい香と、それから、二度と会えぬ懐かしい人々の顔が過った。
(ノスタルジア)
ペルラは瞼を閉ざす。それは、手に届かないからこその宝物。
目を開く。翼の手の中、光は失われていない。
(寂しくないといえば嘘になりますが……)
けれど、この今でさえも、きっといつかの宝物となる。
何でここに、と問おうとした唇が歪んだ。
神嶋 征一郎
は精悍なドーベルマンのかたちした鼻先に皺を寄せる。肉球の手に握りしめた砂が見せた記憶は、幼かった姉弟の姿。姉はフルートで、弟はヴァイオリンで。ふたりで奏でたグリーンスリーブス。
聞かなくてはいけないことがある。
真直ぐに見つめるのは、口を茨で覆われ言葉を発せぬ姉、
神嶋 綾瀬
。
「前から聞こうと思ってた」
低く、唸る。
「何で、やめた」
問う声が震えた。
「お前が吹かないのは、僕の……所為なのか」
(これがおかしな夢なら、嫌な夢ね)
だからこそ、避け続けて来た弟と、ひいては己と向き合わなくては。
(全ては私が弱かったから)
最も身近な才能と自分を比べて、逃げた。
弟が奥歯を噛みしめる。
(あんたは悪くない)
差し出す細い指の上には、苺の小さな花。
(前を向いてなさい)
花言葉を『尊重と愛情』とするその花の受け取りを、けれど拒んで征一郎は後退った。犬耳が悲しく垂れる。
「お前のフルートに合う音は、自分はヴァイオリンだと思った」
だからヴァイオリンを、音楽を志した。
「僕のグリーンスリーブスはアヤ姉の吹く世界が全てで、」
(なのに)
ひとりで進めと言うのか。
「勝手に託して逃げるな、責任取れッ……! 自分は、……自分は、悪夢を見ても尚進む、だから、……」
押し込めた感情を爆ぜさせる弟に、たとえば縋るように叫ぶように、姉は項垂れたまま反対の手を差し出す。
(クリスマスローズ)
花言葉を、『私の不安をやわらげて』。
(……本当、嫌な夢)
花を見、弟は声を掠れさせた。
「好きだから続けるじゃ駄目なのか?」
クリスマスローズが宿った方の姉の手を掴む。己にとって特別な音を奏でられる姉の手を取り、不器用に、笑う。
「アヤ姉の音が聞きたい」
月より青白くなってしまった屍人の腕にミルク色のスライムとなったミラを抱き、
恵御納 理沙
は月の砂漠を彷徨う。
「光る砂を集めればいいのよね……」
「そうです、理沙さん!」
ぷるるんと震えて答えるミラに、理沙はこくりと頷きその場に膝をつく。砂の中から一粒一粒丁寧に摘まみ上げ、持っていた蓋つきの容器の中に入れてゆく。
「ま、ま、ま、ま、まっままままままたフツウかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「きゃっ?!」
砂漠のどこからか響いてきた女の子の悲鳴とも雄叫びともとれる大声に、理沙は瞬いた。
月の砂漠の真ん中にひとり立った黒髪の女の子は、黒髪の隙間から見える小さく細い角を振り立て地団駄を踏み、たいそうお怒りの様子。
「また神魂現象とやらか! またか! まーたーなーのーかあぁああ!」
水上 桜
は怒り冷めやらぬ黒い瞳を周囲に巡らせる。砂を踏みつけて歩いて、ふと立ち止まる。
「……っと」
(いつものフツウより簡単よね)
地道な依頼ではあるけれど、アクセサリー作りを趣味にしているだけあって細かい作業は得意だ。
深呼吸をしてともかく落ち着きを取り戻し、普通を取り戻すために光る砂集めに取り掛かる。碧、緋、翠、蒼、白、星屑のように散らばる光る砂は、
(結構アクセサリーに使えそう)
鎖を通した小瓶に詰めて首飾りに。
レジンで封じ込めてブレスレットに。
「いけない、探さなきゃ!」
ついつい目的を忘れて脱線してしまいそうになる自分を律し、桜は足元に目を凝らす。見つけたら確実にあの首無し馬のところに届けてやらなくては。そうして早々にお帰りいただかなくては。
黙々と砂探しに没頭し始める女の子を微笑ましく見守って後、理沙は張り切って砂集めを再開するも、地道な作業を続けるうち、何故だか家族の顔が思い浮かんだ。どうしようもなく寂しくなってしまった。
(あらあら、あら~?)
今すぐ会いたいのに、会えないのが堪らなく寂しくて悲しくて、涙がぽろぽろ零れる。
「泣かないでなの!」
流れ続ける涙を拭いながら砂を集める手は止めない理沙の前、ふわり、薄柿色の羽を頭に生やした
橘 明里
が朗らかな声と共に空から舞い降りた。
「天使さんみたいね」
「あたしは候補生だけど天使なの! だんだん天使の力がでかくなってるからなんかそらだって飛べるの!」
ふわふわ笑う理沙とふわふわ笑い合い、明里は頭の羽をふわふわと揺らしてみせる。
「……あかりにまかせるの!」
明里もその場で砂集めを始める。ぴかぴか光る砂粒を掌に集めてゆくうち、静かに、どうしようもなく寂しい気持ちに心を満たされてしまった。
(ああ、そういえば結局)
友達には会えなかった。
(多分きっと、お友達の出ていった先はここじゃなかったなの)
探しに行きたい気持ちはある。でも、
(あかりはここを気に入ってしまったから、)
もうちょっとだけ、ここに居たい。
傍らで涙を零しながら砂を集める理沙に背中をそっと撫でられ、明里はちひひと笑った。
「こんな気持ちになるのは、光る砂の寂しさかしら……それとも、寝子島をこうした誰かの寂しさかしら……?」
理沙の言葉に明里は首を横に振る。
「あたしにそれはわかんないけど、思い出すだけでかなしいはおわり!」
頭の翼をぱたぱた羽ばたかせ、風と一緒に天使は笑う。
砂を集めているとなぜだか寂しくなってしまうけれど、砂を集めれば首無し馬の傷が癒える。あの馬が元の世界に帰ることは、
(きっと、それが道をつなぐことになるはずなの!)
だったら自分は自分のできることを続けよう。
(お友達をおもいだしながら!)
寂しくなっても笑いながら。
レイリー・マクティーラ
が鼻歌交じりにひょいと砂粒を拾い上げた、その瞬間。
(……ああ)
かつての師を、衛士の任に就いていた月の神の神殿の神官長を、神殿で言葉を交わした人々を、――思い出した。
以前は強い後悔の念と共にあった彼らの顔は、今は後悔よりも、ほんの少しの哀愁が胸を締め付ける。
ふわり流れ来た風に、星幽塔での姿とそう変わらぬ、黒犬の尖がり耳がピクリと動いた。
(……アイツも来てんのか?)
彼の匂いを運ぶ風を頼りに彼を探す。
月の光が降り注ぐ砂丘の稜線、白銀の髪を風に揺らし、彼がいた。
月に祈りを捧げるように、懐かしい記憶に追い縋るように、白い頬で時折空を仰いでは砂を拾い歩く彼の姿に、レイリーは一瞬、声を掛けることを忘れた。
神官が振り返る。
「やっぱりレイは、……私を見つけるのがうまいね」
ふわり、嬉しそうに微笑む。砂に足を取られながら駆けて来たアルレッテが転ぶ前に抱き止め、レイリーは安堵の息を吐いた。
「こんなに集めたんだよ」
子供のような笑みを浮かべるアルレッテと眼を合わせ、レイリーははいはいと笑ってみせる。
「ねえレイ」
「ん」
「この国では好きを月が綺麗ですねと言うらしいよ」
白銀の髪の下の紅玉の瞳が、空に輝く月を映す。
「……今日の月は綺麗かな」
そっと問われ、レイリーは月を映す瞳から目線を逸らす。がりがりと頭を掻く。それを口にするには、目の前の神官は美しすぎた。
「今日も明日も、月は綺麗だよ」
それぞれに砂を集め、首無し馬のもとに戻った皆を待ち受けていたのは、首無し馬の近くの砂の上をごろんごろんひたすら転がるオレンジ色したまるっこいスライムだった。
ごろごろごろん転がってはぷるんぷるんのスライムボティに砂をくっつけ、砂団子状態でごろんごろん転がって首無し馬の足元に戻る。その場でぷるぷる震えて砂を落とせば、光る砂まじりの砂がその場に山となる。
「クレイグさんもだらーんと落ち込んでないで手伝ってください」
クレイグ・ドナハ
におっとりと言いながら、
万条 幸次
はぽいんぽいんと跳ねる。
「スライムでも出来ることあるんだから、ほら」
「……うむ」
こうすればいいですよとスライムなりの砂の集め方を教示され、コーヒー色したスライムドナハはぷるぷるとかたちを取り戻した。
「こうやれば、ほら、楽々集めれる。これは便利、ですよー」
話しながら転がっては一ヵ所に砂を集める幸次のやり方を倣い、職人じみた地道さでひたすら砂集めに取り掛かる。
仕事を始めたクレイグの様子を確かめ、幸次は今度は首無し馬の観察をしてみる。
(首がないけど食事とかいらないのかな)
見続けているうち、首無し馬の頸から蒼い焔が零れて落ちた。かと思えば、幸次が集めた光る砂粒が焔に包まれ馬の身体に吸い込まれる。
(普通の生物と同じように考えない方がいいのかなあ)
さっきよりもほんの少し傷が癒えた様子の馬を眺めつつ、スライム幸次はごろんごろん。
「ごめんね、お待たせ」
「集めてきましたよ」
働く幸次を踏みつけないようにそうっと歩いて、琴理とペルラがバワーの前に立つ。
「これで治るといいのだけれど……」
理沙と明里が、桜が集めた光る砂を差し出す。アルレッテとレイリー、征一郎と綾瀬がオアシスに戻って来る。
「感謝」
漆黒の尻尾をぱたぱたと振り、バワーはその首からふわりと蒼い焔を吐き出した。焔は皆が集めた光る砂を音もなく吸い込み、馬の頸へと戻る。
バワーは傷ひとつなくなった翼で羽ばたいた。風を纏い、宙に舞う。
「痛くない? 大丈夫?」
琴理の言葉に、バワーは笑ったようだった。
夜の空に飛び去る翼持つ首無し馬の姿を見送りながら、理沙は祈る。
(あの馬さんが……私達の世界に滅びをもたらす存在じゃありませんように)
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バトル
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
165人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月19日
参加申し込みの期限
2019年01月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月26日 11時00分
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