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三歩、進んで
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アスファルトの道が延びている。
白く照り返る太陽の光が眩しくて瞳を細める。
俯いた視線の先、小さな靴が見えた。ピンク色したぴかぴかの靴に白いレースの靴下、少女のかたちした線の細い脚。
自分のものらしい身体に視線を添わせる。白いフリルつきのピンクのスカート、上品なパフスリーブの袖から覗くのは重いものなど持ったことのないような白く細い腕。
腕を持ち上げてみる。瞳の高さに上げた繊細そうな指先を軽く握ってみる。
(……私、)
わたくし、と胸に呟き、伸ばした指先で頬にそっと触れる。肩先で朝の光を跳ね返す金の髪に触れてみる。肩に掛けたランドセルのベルトに触れてみる。
(私……)
トワちゃん、と背後に幼い子供の声を聞いた。駆け足で近づいてきた複数の足音の主たちが自分を追い越し、正面に回り込む。
自分と同じほどか少し高いくらいの目線の高さの少女たちが、目の前で元気いっぱいに笑った。衣服の名札を見るに、彼女らは『寝子島小学校』の五年生であるらしい。おそらくは、『自分』もまた。
おはよ、と次々に声を掛けられ、目を瞬かせる。
(トワ)
少女のひとりが口にした名を胸に繰り返しても、何の感慨も浮かばなかった。けれど、自分がそう呼ばれていることは確かだ。こちらを向いた少女たちは間違いなく『自分』を見ている。
(それが私の名前かしら)
『自分』がどうしてここに立っているのかも、ここがどこであるのかも、そもそも『自分』が何者なのかも皆目分からないものの、とにかく、
(あいさつされているのなら、し返すのが礼儀ですわね)
そう結論づける。
ぱちぱちと瞬くばかりの『トワ』に戸惑った風を見せる同級生らしい少女たちに向け、『トワ』はふうわりと微笑んでみせた。
「ご機嫌よう皆さま」
少女たちが背に負う鮮やかな青空に知らず笑みが深くなる。
「今日もいい天気ですね」
軽やかな声でそこまで言ったところで、少女たちの不思議そうなまなざしに気が付いた。
(あら?)
「何か違いましたか」
小首を傾げて問うて、また物珍しそうな視線とぶつかった。
トワちゃん?、と少女たちが逆に問う。いつもと話し方が違うけど、どうかしたの?
彼女たちが不審に思うほどに、今の『自分』の挨拶は普段の『自分』のものとは劇的に変化しているのだろうか。
少女たちの視線を受けたまま、少し思案する。身体は動く。話すことも問題なくできる。であれば、
(記憶だけがなくなった様ですねー)
秘匿するべきことでもないだろうと判断し、その旨を同級生に打ち明ける。目を丸くした少女たちに口々に心配げな言葉を掛けられ、思わずふわりと微笑む。
「問題ありませんわ」
記憶がないということに困惑はしている。でも、
(無くても困らないというか)
だって身体は動く。周りの皆と話すことも出来る。周囲の状況を見て必要な判断を下すことも出来る。
今は朝で、皆と一緒に学校に向かっている途中だということも理解できた。だから問題はなにもない。それに、思い出す手段も特に思いつけない。
「その内思い出せると思いますが……ご迷惑をかけると思いますので、どうか宜しくお願いいたしますわ」
同級生たちに楚々とした一礼をして、『トワ』はまた不思議そうな視線を浴びた。
「そんなに違いますか?」
それが心底不思議で問うてみれば、全員からちからいっぱいの首是が返って来る。
いわく、『ですます』がカタカナ。
いわく、リアクションが薄い。
『いつものトワちゃん』の話を聞けば聞くほど、頭に疑問符ばかりが詰め込まれて行く。
「ど、どういうことでしょう?」
重ねて問えば、少女たちは困惑しきりの顔を突き合わせて相談し、その後揃って両手を空へと突き上げた。
「おはようございマス!」
声も揃えて元気いっぱいに言い放ち、次いでスキップとも駆け足ともとれぬ足取りで『トワ』の周りをぐるっと巡る。正面に立ったかと思えば爪先でくるりと回り、ぴょんと跳ねる。スカートの裾が大きく翻るのも構わない。
おはようございマス、ともう一度青空に突き抜ける声量で言う同級生たちに、今度は『トワ』が不思議なまなざしを向ける番。
いつもの『自分』は本当にこんなオーバーアクションをしているのだろうか。
(私、は……)
彼女たちと同じような動作をしてみようとして、思いとどまる。所かまわず大きな声を出すことや衣服が乱れてしまうことはやはりどう考えても恥ずかしい。それに、
「はしたなくないです?」
素直な感想を述べると、同級生たちはちょっと困った顔をした。『トワ』も同じように困った顔をする。
「記憶がなくなる前の私はどういう人だったんでしょう」
困った顔と困った顔を見合わせ、みんなで困る。
「と、兎に角、チャイムが鳴る前に学校に行きましょう」
取り繕うように言ってから、それが最適解な気がした。夢から醒めたように周りのみんながこくこくと頷きあう。
みんなと一緒に頷くと、何だか胸が弾んだ。学校の記憶も失ってはいるけれど、みんなと居れば不安なんてひとつもない。むしろなんとなくわくわくさえしてくる。
「学校というのはこちらかしら」
さあ行きましょう、と踏み出したのは学校とは反対側で、『トワ』は慌てたみんなにわたわたと引き止められた。
左右を友達に挟まれ、手をがっしり繋がれて学校に向かいながら、ふと思い出す。そういえば、いつもこんな風に学校に向かっていたような、そんな気もする。
体育の水泳授業は見学になってしまった。
――記憶がないから、……ね?
みんなと一緒に水着に着替えたところで、担任の先生と保健室の先生に繰り返し言い聞かされた言葉が頭の中でぐるぐる巡っている。
友達の歓声ばかりが聞こえてくるプルーサイドに膝を抱えて所在なく座り込んだまま、はしたないと知りながら思わずちらりと唇を尖らせる。
(一限も二限も、授業は静かに受けられましたのに)
記憶がなくても問題なく大人しくできるのに、水に浸かるのはいけないというのはどういうことだろう。
(大丈夫だと思うのですが)
先生にもそう訴えたのに、
――うーん、でも、何をするかわからないから
言いづらそうに、けれどはっきりと言い切られてしまった。
(何をするかわからないから危険、……)
水泳の授業にはしゃぐ同級生たちと、青空に跳ね上がる水飛沫を眺めつつ、退屈まぎれに先生の言葉やこれまでに得た情報を吟味してみる。
いつだって元気いっぱいで、びっくりするくらいオーバーアクションで、ふとした瞬間に居なくなって、周りを驚かせるくらい危ないことも笑顔で突然やってのけて、――
(記憶のある私は芸人さんの卵だったかしら)
記憶のある『自分』に思いを馳せてみても、謎は深まるばかり。
トワちゃん、とプールの真ん中から友達が声を掛けてくれる。手を振れば嬉しそうな笑顔を浮かべて振り返してくれる。
記憶を失くしても、友達はみんな良くしてくれる。心配しながらも笑いかけてくれて、困っていないかと手を差し伸べてくれる。『トワ』にはそんな友達がたくさん居る。彼らと過ごしてきた日常はきっととても楽しくて、だからこそ大切な記憶であったに違いない。
(大切な記憶がなくなった)
そう前提することに、きっと間違いはない。きっと、『トワ』は今の毎日が大切だった。そうに違いない。だとすれば、そう考えれば、
(記憶がなくても困らないですが、)
記憶を取り戻したい。そうも思う。今までの記憶を取り戻した上で、今この瞬間の思い出も大事に胸に仕舞っておきたい。
友達が声を掛けてくれたこと。手を振り合ったこと。話をして、笑い合ったこと。何もかもをきちんと覚えておきたい。
(だから)
青い空を瞳に映す。膝を抱えた両手を解き、プールサイドに手をついて立ち上がる。
(だから私は、)
「トワはー記憶を取り戻したいと思うのデス!」
空に向けて大きな声で宣言した途端、トワは気づいた。
空色の瞳を瞬かせ、
トワ・E・ライトフェロゥ
はその場でぴょんと跳ねる。スクール水着姿でぴょんと跳ねて、楽しくなってもう一度飛び跳ねる。何度か跳ねたところで滑って尻餅をついた。プールで遊ぶ友達のまん丸になった目と目が合った。
トワちゃん、と口々に声を掛けられ、トワは尻餅をついたままぱちぱちと瞬く。
「ヌヌ、何かおかしいデス?」
きょとんと言ってみれば、みんなはホッとしたような複雑なような顔を見合わせあった。
「おかしいけど」
「おかしくない」
くすくすと楽し気に笑う友達からの言葉に、トワはフムフムと難しいような顔を作って頷く。
「なんとなくわかるよーな気もするマス」
お尻で水際まで進み、水へぽいと足を投げ出す。ぱしゃぱしゃと水を蹴とばして笑えば、友達のひとりがぽつり、
「でも、記憶そーしつなトワちゃん、お嬢さまって感じがした」
ほんの少し残念そうに呟いた。ヌヌ、とトワは顔をしかめる。
「しつれーなー、記憶があってもなくてもトワはートワデス!」
跳ねるようにプールサイドに立ち上がる。二歩三歩と後退してから、ふと思い直す。こんなときでも準備運動はしっかり忘れずに。
「立派なレディーもー」
屈伸運動をして、手首足首ぐるぐる回して、
「やろうと思えばやれるマス!」
全力で言い放ち、ビシィ! と彼方を指し示すポーズを取った直後、全力でプールサイドを蹴る。
「あっコラ、トワさん!」
監視していた先生の制止も何のその、全力全開、プールに飛び込む。
盛大に跳ねる水飛沫に、小学生たちの楽しい歓声が重なった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年08月21日
参加申し込みの期限
2018年08月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年08月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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