【星幽塔】第一階層　マイ・フェイタル・シャドウ｜リアクション

【星幽塔】第一階層　マイ・フェイタル・シャドウ

【作戦３－１：扉】

　結論から言えば、空を飛ぶことで月影塔のショートカットは可能であった。
　窓らしきものは存在していないが、最上階部分に元・ミャトゥ遺跡の入り口だった扉が存在していたのだ。
　ニョキニョキと上に伸びたのならば、元の入り口もまた上空に存在しているはず。
　彼らのその読みは、見事に的中したのだ
「真面目に一階から攻略してたらタイムロスしてたねー」
　桜庭が遥か下層を眺めながら呟いた。

「それじゃ、みんな、いくよ！」
　白の顔に疲労の色が見える。
　遺骸の部位を１つ多く持っている影響か、星の力の消費が激しいようだ。
「いつでもいいぜ、真白嬢。よしスペキュタクラーに行くＺ！」
　鎌八も準備万端だ。
「ラピスを助けよう。そして話を聞いてもらおう！」
　御剣は腰元に提げた愛刀を手に取った。
　かくして、２騎は星の力を爆発させて、扉を強引に蹴破って侵入！
　目の前には深淵の闇が広がる。
　扉を破壊しなければ、内部の構造が上手く把握できなかっただろう。
　この４人は照明を持ってきていなかったのだから。
　すると、無数の影がスライムめいた水のようにうごめき出し、４人へ襲い掛かってきた！
「邪魔すんな。スパイダースバイダー！」
　鎌八がろっこん『クモ男』の効果で糸を影に発射！
　それに桜庭が魔火の光で引火させる！
　まるで石油が燃えたかのように、影が勢いよく炎に包まれ、室内が明るくなる。
「照明ついでにファイアウォールだ！」
　桜庭は炎の壁をつくり、影たちを分断！
「アルターエゴがこんなにいるのか、退いてくれ！」
　御剣は愛刀を鞘から抜くと、そのまま蔭へ斬り付ける。
　だが、いまいち手応えがない。
　まるで空気を切っているかのようだ。
「感じる……。ラピスちゃんはこの奥にいる！　遺骸からラピスちゃんの気配を感じるよ！」
　白の言葉通り、他の３人もラピスの気配を遺骸を通して感じ取っていた。
「だったらここはずらかるぞ！　狼煙で煙幕代わりにして逃げるぞ！」
　御剣は城から持ち出した狼煙を、桜庭が作った炎の壁に放り込んだ。
　すぐに煙が辺りに立ち込め、視界を遮ってゆく！
「よーし、ボクに任せて！」
　桜庭が炎を操り始めた。
　それは巨大な炎の渦だ。
　炎が発生させる気流の流れによる通路確保と、影を焼き払う防御壁の一石二鳥だ。
「さぁ、急ごう！　まもるくん！」
「円嬢、掴まれ！　スパイダースバイダー！」
　桜庭の差し出す手を意図で絡めとると、そのままハダルまで引き寄せる鎌八！
　先攻せんと白が駆る白馬の前に、数体のアルターエゴが出現！
「前が危ないな」
　鎌八の愛銃である星のリボルバーを連射！
　アルターエゴは粘土細工めいてぐにゃりと歪んで消えていった。
「おお、まもるくんカッコイイねー！」
「カウボーイだからな！　御剣はサムライだがな」
「俺の刀の出番がないのが一番なんだけどな……」
　ラピスの元へ近付くごとに、御剣は何故か胸騒ぎを抑えることが出来なくなっていった……。