【星幽塔】第一階層　マイ・フェイタル・シャドウ｜リアクション

【星幽塔】第一階層　マイ・フェイタル・シャドウ

　こちら、ぺルラ隊。
　上空の八神隊を発見して風雲児同様あんぐり口を開けていた。
「何ですか、あれは……？　って、竜牙兵が反応してますね……」
　ぺルラ隊を襲っていた竜牙兵が突然、空を飛ぶ八神隊を追い掛けるように砦の中へ突撃しよう試みる。
　どうやら、星の力を感知して行動をしているようで、八神隊の魔火の力に引き寄せられているのだ、とペルラは瞬時に察する。
　その時、上空に上がる花火！
　これは作戦準備完了の合図である！
「なるほど、準備万端ですか。……皆さん！　砦までの道を空けて竜牙兵を中に入れてください！　八神さんが囮になってくれていますので、今のうちに北門まで退きます！」
「ぺルラ殿！　このゲース・アイルンアルム、援護する！」
　ぺルラ隊の撤退を阻む竜牙兵をゲース隊の騎馬突撃で轢殺！
「ボクも忘れるなー！　この一撃をくらえ、骨共ーっ！」
　ヴォーパルを嵐のように振り回すアスワドも、ぺルラの撤退支援に駆け付けた！
　更に、白き癒しの光を宿した戦輪が、ぺルラ隊の行く手を阻む竜牙兵をまとめて浄化！
　その戦輪は猫の肉球型をしていた。
「……ここは任せて」
　言葉少なに竜牙兵に立ちはだかる恵御納夏朝。
　その傍らでは、巨大な翼猫に跨る恵御納理沙の姿が。
「フランチェスカさんたちは、私たちが守るわ」
　内心、娘の夏朝の事が心配で仕方がなかった理沙。
　砦内の物資を回収して北門へ戻る途中、理沙はフランチェスカの壁として動いていたのだ。
　夏朝も理沙も、身を挺して仲間を守ろうと単独行動を採っていたがゆえ、どこかで合流するのは当然の帰結である。
　母と娘はじりじりと竜牙兵たちを浄化しながら後退してゆく。
　こうして、彼らが撃ち漏らした竜牙兵は砦の中へ入り、破壊行為に躍起になっている。
　敵の拠点を破壊するように刷り込まれているのだろう、とミハイルは推測する。
「まぁ、その修正、活用させてもらうぞ」
　ミハイルは２発目の花火を打ち上げ！
　それを上空で確認した八神隊は行動を開始！
「総員に告ぐ！　虹の光を今こそ灯せ！　３つ数えたら発動するぞ。３・２・１……」

『大・分・解！』
　八神と50人の兵士によるろっこん『分解』が発動！
　兵士が500人ほど収容できる大きな木製の砦が轟音を立てて崩れてゆく！
　侵入した竜牙兵の多くが残骸の下敷きになったのを視認したミハイル隊も動く！
「全員！　火を放て！」
　兵士が矢に魔火の光を宿して斉射！
　ミハイル自身も炸裂弾を発砲！
　直撃した砦の残骸に引火！
　見る見るうちに炎が大きくなってゆく！
　だが肝心の火薬に引火するまでにタイムラグが発生、残骸から無事だった竜牙兵が這い出てくる……！
「ミハイル！　俺達に任せろ！　獅子目、ぺルラ、聞こえるか！　ろっこんを頼む！」
　八神隊が足元の魔火の光を強めて天高く急上昇！
　撤退途中の獅子目とぺルラは八神隊へ半透明の障壁を展開！
「総員！　必殺技は叫ぶのがお約束だ！　ゆくぞ！！」
　八神隊は一斉に鋭角45度で上空から急降下！
　脚に宿した炎が赤々と八神たちを包んで燃え上がり、火の玉めいたドロップキックとなって突撃！
　ろっこんの障壁によって炎に守られながら、八神たちはキリモミ状態で砦の残骸に直撃！

「「　ヤ　ガ　ミ　プ　ロ　ミ　ネ　ン　ス　キ　ー　ッ　ク　！！　」」

　51人分の魂のキックが砦の残骸を貫き、八神たちが地面を滑走しながら着陸！
　その背で紅蓮の火柱と共に大爆音が戦場に轟いた！
　巻き込まれた竜牙兵たちは爆発四散！
「よし、作戦大成功だ！　このまま北門へ戻るぞ！」
　八神隊は再び足から炎を噴射して北門へ飛翔。
　北門では、火柱の上がる砦を見て兵士たちが歓喜の声を上げていた。