携帯戦記カプセルギア　第四話「侵略のユグドラシル！！」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　第四話「侵略のユグドラシル！！」

■シーン２：心の炎

　ボナパルトの援護射撃を受け、セイクビリットがまっすぐに切り込んでいきました。
「リットはただのモノじゃない！」
　エアトリックとの攻撃が交差し、セイクビリットは再びのダメージに右腕パーツを失いました。一方のエアトリックはダメージと衝撃に動きを鈍らせたものの、パーツ事態の損傷はありません。これが正規パーツとユグドラシルパーツの違いでした。
　にやりと笑うスケボー少年。
　そんなエアトリックに複雑軌道を描くミサイルが接近。
　跳躍と回転によって回避するエアトリックでしたが、爆発のなかに現われたぐれーと☆まんもすの姿を発見してびくりと震えました。
　そう。ぐれーと☆まんもすのヘッドパーツから吹き出された冷凍ガスがエアトリックに直撃したのです。
　爆風にあおられ勢いを増したガスと、空中で回避動作のとれないエアトリック。それが致命的なダメージであることは、誰の目にも明らかでした。
「ぐれーと☆まんもす――ふるふぁいあ！」
　マンモスが端末に向けて叫びます。
　するとぐれーと☆まんもすの両腕に装着されたガトリングガンが重々しく唸り、はげしい音と共に大量の弾を発射したのです。
「しまった……！」
　体力を失い、地面に転がるエアトリック。
「くそっ、こんな所放送できるか！　カメラをとめろ！」
「ギアマスターが勝負から逃げるのか！？」
　びしりと指を突きつけた拓磨。連動したようにトリプルスリーもまた、バットをびしりと突きつけました。
　バレーボール選手のような相手ギアマスターの額に緊張の汗が流れます。
「この……粉々にしてやる！　殺人スパイク！」
　バレーボールギアは高く跳躍すると、エネルギーで形成されたバレーボールを次々に放ちました。
　対する拓磨は鼻頭を手首でぬぐい、端末に呼びかけます。
「トリプルスリー。わかるな、千本ノックだ！」
　トリプルスリーは夢の姿。若い自分とは比べものにならないほど過酷な練習量の上に成り立つプロ野球選手という夢の姿です。拓磨と共に成長するトリプルスリーもまた、過酷な練習を心にしみこませていました。
　飛来するボールをあえてよけることなくミットでキャッチすると、次々に落としていきます。
　ミットで衝撃を殺されたからでしょうか。ボールのダメージはとても小さいものです。しかしやがて蓄積したダメージが、トリプルスリーのアームパーツを破壊してしまいました。
「トリプルスリー……」
　歯噛みして、けれど下を向かない拓磨は、残った腕でバットを強く構えさせました。
　片腕から繰り出すスイングは最後のボールを直撃して、ミサイルのような軌道を描き、バレーボールギアへと直撃したのでした。
「なんです、二人とも情けない……！」
　体力を失って倒れるバレーボールギアを横目に、扇子を広げたギアマスターは目を鋭くしました。
　口でそう言ってはいても、樹のソードマンに対して攻めあぐねている様子です。
　互いの剣による攻撃がぶつかり合い、鎧を弾く金属的な効果音が響きます。
　破壊はとても一方的でした。ソードマンの騎士鎧をモチーフにしたパーツはヒビ入り、表面塗装ははげ、気づけば頭部のパーツは失われていました。
　けれど戦う意志は、闘志は、ギアマスターの心の中にあります。
「ソードマン、今だよ！」
　鋭い剣の連続攻撃。武者鎧の各部パーツに一撃ずつ打ち込んだ高速の攻撃は、相手を派手に吹き飛ばすに充分でした。
　ベンチの背もたれにぶつかり、ころんと転がって止まる武者鎧のギア。
　それを拾い上げて、扇子のギアマスターは悔しげに舌打ちしました。
「まあ、今日の所はこれで許してあげましょう。引き上げますよ！」
　ユグドラシルのギアマスターたちは捨て台詞をはくと、そそくさと退散したのでした。

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