パンツ作ろうぜ！｜リアクション

パンツ作ろうぜ！

【パンツは奪うものです】

　くしゅんっ、と少女２人は同時にくしゃみをした。
「風邪……でしょうか？　悪寒が……」
　ぶるぶるっと体を小刻みに震わせる哀坂零葉。
「初夏になって……、いつも履いてるストッキングを脱いでるのが原因でしょうか？」
『昼夜の寒暖差が激しいですから。哀坂さんも私も気を付けましょう』
　筆談で浅山小淋は体調管理の徹底を確認する。
　２人は学生支援部の部室へ向かうところだ。
「そういえば、何か変な宣言があったみたいですね……」
　昼休みの堂島の叫びの件だ。
　彼女はあまり気にも留めていない様子であるが。
『堂島さんを通じて下着作りを行う方がいそうですが……。怪しい動きがないか注意しないとですね』
　対して浅山は支援部部長として、騒動の発端になりそうな堂島の主張を気に掛けていた。
　そんな浅山に哀坂は「杞憂……じゃないかしら？」と苦笑する。
「パンツ制作なんて、私と小淋さんには関係ないです、ってあら……、凪さん？」
　２人が廊下の角を曲がると、校内なのにポンチョ姿の魂行凪が無表情でウロウロしていた。
　どうやら誰かを探しているようである。
『あれ、あの姿は魂行さんでしょうか？』
　浅山は声（筆談）を掛けようと哀坂と共に魂行に近付こうとした、その時である。
　魂行が浅山と哀坂を見つけるや否や、彼女のろっこん『凪風』を起こした！
　突如少女２人の制服のスカートが捲れ上がり、履いているパンツが丸見え！
「きゃっ……！」
【な、なんですかいきなり！？】
　哀坂は口に出し、浅山は心の中で悲鳴を上げる！
　２人が怯んだ隙に魂行はまず浅山に駆け寄る。
　いや、駆け寄るというより突き飛ばした。
　そしてそのまま、仰向けに倒れた浅山の、丸見えのパンツに両手を掛けて、一気に剥ぎ取った！
【ちょ、え、ええええ！？】
　浅山、校内でモロ出し。
　下半身が生まれたままの姿だ！
　文字通り『御開帳』である。
「な、何を……！？」
　必死にスカートを抑える哀坂は、目の前で行われた行為の意味が理解できていない。
　だが魂行が更に念を込めて風を送り込むと、もはや哀坂は立っていられない。
「……パンツ……」
　魂行は片言でポツリとこぼす。
「……パンツ……作る……プレゼント……」
　魂行の手が亡者のように哀坂のパンツへ伸びると、無慈悲にずり下ろす！
　自身のスッポンポンの下半身に、哀坂の思考回路がショート。
　まるだしの女子高生２人を尻目に、魂行はホカホカ脱ぎたてパンツを握り締めて逃走するのだった。
　逃げる際、彼女のポンチョが一瞬ぶわっと捲れ上がる。
　……その下は、一糸纏わぬ姿だった。
「し、下着を……奪われました……！」
　ようやく状況を理解した哀坂は、羞恥心に耐え切れず蹲ってしまう。
『まさか、下着を奪うなんて……！　追いかけたいところですが、既に見失ってしまいました……』
　浅山も顔を真っ赤にして狼狽えるばかりだ。
『ともかく、魂行さんを探しましょう。下着を取り返さないと！』
「そうですね……！　では、私は……、こっちを！」
『私はこっちを』
　浅山と哀坂は２手に分かれて魂行を探すこととなった。
　……ただ、走ると全て丸見えになるため、浅山は筆談用スケッチブックで抑えながら、哀坂は早歩きで捜索を開始する。

　一方、パンツを奪った魂行。
　彼女にはちゃんとした思惑があった。
　生来、彼女は下着を付けることを嫌い、制服姿でもノー下着を貫いている。
　しかし、堂島の熱い想いが、魂行の心に変化をもたらした。
「……パンツ……作って……想いを……伝える……」
　最近、魂行には女の子のように綺麗な彼氏ができた。
　その彼氏へパンツをプレゼントしようと思い立ったわけだ。
　しかし、魂行にとってパンツという代物がどういったものなのか、全く把握していないことが問題だった。
　だって、履いたことないんだから！
「……誰かの…参考に……」
　そうだ、誰かが履いているパンツを参考にしよう！
　思い立ったら吉日。
　まずは親しい浅山からパンツをもらおうと考えたら、ああなったわけである。
「……もっと……もっと……参考に……」
　首尾よく２枚もゲットできた魂行は、貪欲にモブ女生徒のパンツを乱獲し始める。
　パンツを両手に抱えてホクホクの魂行だったが、一番重要な事に気が付いた。
「……ホメマキング……コース部屋……どこ……？」
　パンツ剥ぎ取りマスターと化した魂行は、『約束の地』を求めつつ、更にパンツを乱獲し続けていく。

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パンツ作ろうぜ！

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