初夏の照りつける太陽が昼休みの屋上を焼いていた。
燃えるハートでメガホンを握りしめ、一人の男が校庭を見下ろす。
和やかなランチタイム。
そこに、キィンと耳に痛いハウリングが響いた。
「諸君、俺だ! 堂島 貞二だ!!」
名乗りに、学校内がざわめく。
以前白昼堂々とおっぱいを連呼していた
騒動が誰の脳裏にも蘇った。
そしてそんな期待と不安に渦巻く校内の様子を知らず、堂島は大きく声を張った。
「パンツを作らないか!!」
唐突な誘いだった。
「パンを作るんじゃないぞ! そう、作るのは
パンツ! いや、女子的に呼ぶのならば
ショーツ!! もしくはパンティ!!
フリル だったり
しましま だったり
紐 だったりするあの
パンツ だ!!」
熱烈な叫びである。
「
パンツ ……! 誰もが履いてるあの薄布! 制服の下からちらりと覗き見えたり見えなかったりするあの素晴らしい
パンツ ……!! そう、パンチラとは
男の夢、男のロマン!!」
校内、ポカーンである。
もちろんその中には色めき立って目を輝かせ、響き渡る声に傾聴している者も数名いた。
「だがしかし、君達は経験があるか!?
自分の好みのパンツを! チラ見したことが!! ないだろう!? そう、パンツはあくまで個人の好み……決して強要すべきものではない! だが、だからこそ!!」
すぅと息を吸い込み、堂島は拳を握る。
「好みのパンツをチラ見するという天文学的数値の奇跡を! 自分の力で引き寄せてみないか!!」
張り上げられた声は校舎中を駆け巡る。
「市販品とは違う自分のこだわり。それをこの手で作り上げ、そして柔らかな肉に! 纏わせてみたい! この気持ちを共有してくれるみんな、俺と共にパンツを作ろう! そして……!」
わずかな沈黙が落ち、校内もその静寂に息を飲む。
果たしてこの男、今度は何を叫ぶのか。昼休みの話題としてはいささかハレンチすぎるものではあったものの、それはなぜか心を引き付けてやまなかった。
そしてやがて、堂島は再度声を大にする。
「作ったパンツを!! 誰かに履いてもらおうじゃないか!!」
おぉおおおおおおおおおい!!!!
校内にツッコミがこだまする。
「むっ、こうしてはいられない。俺のこの滾る思いに水を差そうと、誰かが上がってきた気配がする!」
やはり、二度目となるこの暴挙をスルーしている人間ばかりではない。
まるで敵対者が近付いているかのような緊張した声が響くと、彼は最後にこう呼びかけた。
「では俺と志を同じくする諸君、今日の放課後、
ホメマキングのコース部屋 で会おう! さらばだ……女体最高!!」
暗号を残し、それ以降居た堪れない沈黙が落ちる。
己の意思に関係なく、パンツパンツと連呼を繰り返す脳内。
どうしようもない残念な空気感の中、誰かがぼそりと呟いた。
「そういやアイツ、履かせるって叫んでたけど……パンチラの目的はどこ行ったんだ」
「確かに!!」
とあるクラスの心が一つとなった瞬間だった。
パンツ!パンツ!!
以前「おっぱい!おっぱい!!」シナリオで人工おっぱいを作ろうと叫んでいたあの男。
またしても登場しました。
堂島 貞二です。
今度はパンツを作ろうという呼びかけです。
パンを作るんじゃないよ!
そしてパンツ食おうでもないよ!
一枚の布から縫うもよし、市販の白いパンツに染料で柄を付けるもよし、作り方は人それぞれ。
このこだわり抜いた至極のパンツを誰かに履いてもらいたい、その思いを一枚のパンツにぶつけてください。
プレゼントしたい相手がいる場合、手紙を添えてその人の下駄箱にそっと入れておくのもいいでしょう。
もちろん正面から堂々と渡すのもいいでしょう。
すべてあなたの自由です。
ただし、製作場所として堂島は以下の暗号を残しています。
ホメマキングのコース部屋
こちらにたどり着けない限り、堂島と合流は出来ません。
それでは、皆様のご参加をお待ちしています。