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くうねるところに ねこいるところ
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紅い月が闇にぽとりと投げ捨てられている。惑うように飛んでいるのは蝙蝠の類か、それともそれ以外のナニカか。
血色の月光に濡れて浮かび上がるのは、光を吸い尽すような濃緑色の蔦に半ば呑まれた煉瓦造りの古い洋館。アプローチには白骨じみた枯木が立ち上がり、吹き寄せる生温い風に合わせ手招きするように揺れている。
血腥ささえ孕んだ風を背の白翼に受け、
アケーチ・タッマーキ
は黒髪の下から左だけ覗く紫水晶の瞳をうっそりと細めた。
「……おや」
ゆったりと低く響く声で、甘く笑う。一瞬、いつの間にか星幽塔の我が家の前に立っているのかと間違えそうになったが、そうではない。ここは何処か、星幽塔でも寝子島でもない何処かのようだ。
(しかし見覚えが……)
己が家と似ているというだけではなく、何処か別の場所でよく似た屋敷を目にした覚えがある。
(何処でしたでしょうか)
さらりと髪を揺らし首を傾げたとき、
「うっわ、雰囲気あるー! サイコーじゃん!」
背後に年若い少年の張りのある歓声を聞いた。
「……ふふ」
我が家を褒められたような気がして、アケーチは笑みを零す。翼を畳み肩越しに振り返れば、後ろに立っていた黒髪にローズグレイの鋭い瞳した少年が人懐っこい会釈を返してくれた。
「こんちわっす」
「ええ、ええ、ご機嫌よう……!」
畳んでいた翼を歓喜極まりうっかり広げてしまいつつ、アケーチは見知らぬ世界で邂逅した怖じぬ瞳の少年に手を差し伸ばす。
(これぞ正に運命的……!)
瞳にキラキラと星を宿しながら、ふと思い出した。
先に、寝子島の公園で遊んでくれた子供が見せてくれた光景に、ここはとても似ている気がする。
「どもっすー、にしてもドコでしょーねー、ココ」
「えぇと、すまほあぷり……?」
「スマホっすか?」
瞬くローズグレイの瞳の美しさに見惚れながらも、アケーチは記憶を辿る。
「確か、『ぬっこ育て』なる電子遊戯……!」
その世界に迷い込んだのではあるまいか、というアケーチの推理に、少年は目を丸くする。そうしてから、楽し気に頷いた。
「りょーかいっす! んーじゃ、やることはひとつっすね」
寝子島の住人である少年、
紗雪 幽
は、ゲームの仔細は知らずとも多少のシステムを理解しているらしかった。
「猫を集めるといいっす」
「にゃんこたんを?」
言われてみれば、洋館の内部からニァニァと切ない鳴き声が聞こえている。ふしゃー、という威嚇の声のする一階の出窓部分に目を向けてみれば、窓辺に追い詰められて毛を逆立てる黒猫と、その猫に今しも飛びかかろうとしている、
「うわっ、猫のゾンビ!?」
毛のところどころが剥げ、爛れた皮膚片を顔半分から垂れさせた猫ゾンビ。それを目にするなり幽は迷うことなく走った。足元に転がっていたバールのようなものを拾い、窓辺に寄る。半分割れた窓にバール状の先を掛けて強引に窓を開け、出窓に飛び乗る。
「っ……」
腰の高さの出窓の下の床、みゃあみゃあと哭き這い回るおぞましい姿となり果てた猫ゾンビ数匹に一瞬息を呑みながら、幽は足にしがみついてくる黒猫を片手で抱き上げる。
(これ噛まれたらゾンビになる系のやつじゃねーの?)
引きつった顔で黒猫を懐に押し込んで隠し、侵入した部屋を見回す。
壁際の本棚を埋める無数の本を見止め、
(浮け!)
ろっこん『ポルターガイスト現象』を発動させる。音もなく浮かび上がった本棚から何冊もの本が零れて落ちかけ、また宙に浮かぶ。
跳ね飛ぶ力もなく床を這いまわるだけの、ゾンビとは言え猫のかたちしたものへ痛まし気な眼差しを向ける。
(とりあえず軽そうな本で!)
ゾンビ猫の上を狙って薄い本を数冊、落っことす。ばさばさと軽い音を立てて落ちてきた本に、ゾンビ猫たちはしゃがれた悲鳴を上げた。けれどそれだけ。があがあと喚いて出窓のある壁に這いより、がりがりと爪を立て始める。
「うわっ、だめじゃん!」
可哀想だけど重い本で潰してしまうか、窓から外へ一旦撤退するか。僅かの間迷う幽の耳に、邸内の廊下に響く猫の悲鳴が届いた。外に逃げてしまえば、悲鳴の主は助けられない。
(突っ切るかー!?)
覚悟を決めるべく奥歯を噛みしめたとき、ふわり、背後から涼しい風が吹き寄せた。
「あぁ、このダークな雰囲気……」
振り返った幽の瞳に映ったのは、窓辺に片膝ついて白翼広げるアケーチの姿。今にも身をよじって悶絶しそうな恍惚の表情を浮かべていることさえ見ないふりをすれば、天使の翼背負った悪魔の如き美貌の男は、心強い援軍に見えなくもない。
「ここはお任せを。貴方はその愛らしいにゃんこたんをお守りください」
白磁の頬に歓喜の笑みさえ浮かべ、アケーチはいっそ優雅に見える仕草で窓辺から飛び降りた。黴じみた壁を引っ掻くゾンビ猫たちの頭上を飛び越え、コツリ、革靴の音をたてて床に降り立つ。
「ふふ……!」
怪しげな笑み湛える男の気配に惹かれ、ゾンビ猫たちが幽からアケーチへと標的を変えた。濁った眼の視線を浴び、アケーチはますます笑みを深くする。
「さあ、今のうちに廊下のにゃんこたんも」
アケーチの言葉と胸に抱いた猫の温もりに、幽は唇の端を引き上げた。
宙に浮かんでいた本棚が音もなく元の位置に戻る。ばさばさと音たてて本が床に落ちる。
「猫助けって超良い事っすよねー!」
「もちろん」
幽は床に降り立つ。床を蹴り、弾丸の如く駆けだす。
「暴れ回りますか!」
気合いの入った一喝と共、白翼を掠めて脇を駆け抜けて行く少年をアケーチは振り返りもせず、
「ええ、もちろん……!」
華やかな声で応じた。
(ああ、ゾクゾクいたします……!)
そうしながら、少年の闊達さとゾンビ猫に囲まれた今の状況にときめくことも忘れない。
ぐぁ、濁った声でゾンビ猫が喚く。
脛に縋りつき咬みつこうとする猫の姿した魔物を、
「……ふ、ふふ」
艶やかな笑み浮かべると同時、微塵の容赦もなく蹴り飛ばす。べしゃりと血と粘液を撒き散らし、ゾンビ猫の一匹が壁に潰れた。
「貴方も私と遊びたいのですか?」
睦言じみて囁くアメジストの瞳の奥、狂気の色が静かに揺らぐ。白翼が羽ばたき、凶暴な風を巻き起こす。たじろぐゾンビ猫たちに向け、アケーチは腰に差していたサーベルの鞘を払った。
「く、ふふ、」
青薔薇を象る鍔へ寄せる唇には、堪え切れぬ笑み。それはたちまち哄笑となる。
「ふ、ふはははははは! さぁ、踊りましょう……ッ!」
背後の扉が音たてて閉まる。
(……バーサーカーっぽい割に冷静、だよね?)
室内にゾンビ猫たちと共に籠り、廊下への流出を防いだアケーチの行動をそっと読み解きつつ、幽は懐に抱きかかえた猫を優しく撫でる。ともかくも、
(よーっし、まずは一匹救出っと!)
片手に持ったバール状の鉄棒を握りしめ、廊下の奥へと視線を伸ばす。霧のように濃い闇がわだかまる廊下の向こうから、白い猫が泣き喚きながら逃げてきている。
白猫を追いかけてきているのは、声にならぬ声をあげて宙を翔ける半分透けた白いワンピースの女。
「お姉さーん」
胸に飛び込んでくる白猫をしっかり受け止めつつ、幽はおっとりのんびり、僅かも怖じず蒼白い顔した幽霊女に話しかけた。
「猫怖がってますよー、っと!」
廊下に転がる半分割れた花瓶や燭台をろっこんで浮かばせ、女の上に次々と落とすも、
「って、あー……」
相手は透けている。物理攻撃は効かない。
幽霊女が真っ黒な口と眼を大きく開く。真っ黒な涙と唾液を撒き散らして速度を上げる幽霊女を数瞬見遣って後、
「ごめん猫! 一緒に逃げよう!」
幽はくるりと踵を返す。猫二匹を胸に抱え、全力全霊、走って逃げた。
廊下を短距離ダッシュし、見かけざまに角をいくつか曲がり、ドアを見つけて迷いなく飛び込む。閉ざしたドアに耳をつけ、廊下の気配を探る。幽霊女の掠れた声も衣擦れの音も、とりあえずは聞こえないことに安堵して息を吐く。
「……危なかった」
にゃ、と胸の中の黒猫が応じる。にゃう、と腕の中の白猫が誰かに呼びかけるように鳴く。破れたカーテンの暗がりに包まれた部屋の中は、どうやらワードローブらしかった。埃に塗れた古びた服が何十何百着とハンガーに掛けられてつり下げられている。
集団首吊りの現場にも見えかねない、異様な雰囲気を帯びた部屋の奥から、黒猫の鳴き声に応じるような小さな鳴き声が聞こえた。
さらさらさら、風もないのに衣擦れの音がしている。
胸に迫る嫌な予感を振り払い、幽は部屋に踏み入る。猫がいるのなら、助けなくては。
「大丈夫?」
視界を塞ぐ埃っぽい服をかき分けたその先、部屋の角に丸まって尻尾も耳も丸めて毛ばかりを逆立て震える仔猫を見つけた。そっと話しかけ、手を伸ばした次の瞬間。
ニャア! 猫が警戒の声を上げる。
「って、」
振り返りかけた視界の端、銀色に光る刃物が見えた。
「うわ!?」
転がるように伏せる幽の頭上、何枚もの衣を裂いてナイフが過る。
「うしろからはっ、」
床に伏せたついでに猫を庇い、幽は周囲の衣服をろっこんで浮かせる。
背後に音もなく立ち無言のままにナイフを振りかざす、ペストマスクに血みどろの白衣を纏った男を鋭く睨みつける。
「卑怯じゃないっすかー」
天井近くの棚に乗せられた小物入りらしい櫃も浮かせる。相手がこちらを本気で殺めようとしてきているのならば、手加減する気はない。
視界に捉えたあらゆる家具と衣装を浮かせ、
「離れててね!」
猫たちに明るい声で言い聞かせるなり、襲い掛かってきたペストマスク男に家具や衣装を一気に落とす。大量の衣装に動きを絡め取られてもがく男に向け、
「これが寺生まれの実力ってやつっすよ!」
バール状の武器を両手に持ち直し、力いっぱい振り下ろす。二度三度とぶん殴れば、男はぴくりとも動かなくなった。
ふー、と息を吐き出して額の汗を拭ってから、幽は力の抜けた笑みを猫たちへと向けた。にゃー、と猫たちが鳴く。もの言いたげな視線を幽に突き刺す。
「……それ寺関係無くない? 的な視線やめてくださーい」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年05月21日
参加申し込みの期限
2018年05月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年05月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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